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技能伝承を効果的に進めるには? 基本の手順と役立つデジタルツール

昨今の製造業などでは、熟練世代の大量退職に働き盛りの若い世代の人口減少が重なり、人材不足とあわせて技能伝承が大きな課題となりつつあります。
このような課題を解決するためには、熟練作業者の技能伝承を効果的に進めることが重要です。本記事では、技能伝承の基本的な手順と、実現に役立つデジタルツールについて詳しく解説します。

技能伝承を効果的に進めるには? 基本の手順と役立つデジタルツール

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技能伝承とは

製造業などをはじめとして、その職に対する経験の積み重ねが生産やサービス提供において重要な要素となる業種・職種は多数あります。最近では、熟練作業者の減少と受け皿となる技術者の慢性的な不足により、円滑な技能伝承が各業界で大きな課題となりつつあります。

従来型の産業では、機械化が重視されてきた経緯もあり、業務の標準化やマニュアル化は比較的単純な生産工程が対象となり、熟練作業者のノウハウは属人的になる傾向がありました。技能伝承を適切に行わなければ、熟練作業者のノウハウや暗黙知がブラックボックス化してしまう恐れがあります。

このため、ものづくりの根幹をなす熟練した技術を他の作業員に伝承することは、いまや喫緊の課題と言えます。ここでは、技能伝承の意味と課題について解説します。

技能伝承の意味

「技能」とは、熟練作業者が保持する固有のノウハウを指します。これまで技能は熟練作業者が属人的に保持し、現場では状況に応じて適宜判断するなどマニュアル化が難しい面がありました。

そのため、科学的なアプローチで客観的に定量化・形式知化が可能な「技術」と属人的な「技能」は切り分けて考える必要があります。その上で、熟練作業者から後継者に対して技能を伝承するための、たゆみない取り組みを行うことが求められているのです。

技能伝承の課題

技能伝承における課題を浮き彫りにするため、まずは企業の問題意識に関する現状を確認してみましょう。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「ものづくり産業における技能継承の現状と課題に関する調査」によると、将来の技能継承について「不安がある」が15.2%、「やや不安がある」が65.2%となっており、約8割の企業が技能伝承に不安を感じていることがわかります。

これまでは継承できていた熟練作業者の技能が、現在においては難しくなっていることを企業も懸念しているのです。こうした点に現れているように、技能伝承においては、取り巻く社会状況・経済環境から従業員の意識レベルまで、さまざまな面において課題が存在します。

例えば、熟練者が日常業務に追われてしまうと、時間的に後継者を育成する余裕が生まれません。また、伝承するマニュアルを作成するにしても、それに関しては時間外作業となる現場も多いという実情があります。経済的・人事的なサポートを受けられない環境であれば、伝承の大きな足かせになります。

熟練者自身が、自分の技能を価値あるノウハウだと認識できていないケースもあるでしょう。熟練者が一度に多く退職してしまうような職場環境であれば、「誰かがやるだろう」と多数が考えることにより、継承に積極的ではない雰囲気が醸成されてしまう可能性もあります。

日常の業務もこなしながら貴重なノウハウを企業に残し伝承していくことは、想像以上に困難であることをまずは認識し、工夫をこらして取り組んでいく必要があるのです。

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技能伝承を成功させるポイント

先に取り上げた「技能継承の現状と課題に関する調査」では、うまくいっている会社の回答も記載されています。
技能継承がうまくいっている場合に、その理由を問うた調査の結果では「計画的にOJTを実施しているから」が59.5%、「指導者と指導を受ける側とのコミュニケーションがよく図られているから」が39.0%となっています。円滑な技能伝承を実現するには、良好なコミュニケーションを取りつつ、計画的に取り組むことが重要であることがうかがえます。

技能伝承を効果的に行う方法

それでは、調査結果でも明らかになった「良好なコミュニケーションを取って計画的に取り組むこと」の重要性を踏まえつつ、効果的に技能伝承を行うための3つのポイントについて順を追って解説します。

  • 社内のノウハウを技術と技能に分ける
  • 動画なども活用してマニュアルを作成する
  • トレーニングを行う

社内のノウハウを技術と技能に分ける

技能の伝承においては、一連のプロセスを細分化して見える化できる「技術」の部分と、見える化できない「技能」の部分とを最初に切り分けることが大切です。

まずは、熟練作業者が属人的に保有しているノウハウを、技術と技能に分けて見える化して標準化するところからはじめましょう。

具体的には、熟練者と技術・技能を継承しようとする若手が共同でマニュアルを整備し、トレーニングをすることなどが取り組み例として挙げられます。

動画なども活用してマニュアルを作成する

熟練作業者のノウハウを見える化する際には、文字だけではなくイラストや写真、動画なども活用してマニュアルを作成するのが有効です。

熟練作業員と継承する若手が協力して伝承マニュアルを整備することで、良好なコミュニケーションが保たれるという副次的な効果も期待できます。協力関係なくしては円滑な伝承はできません。

マニュアル整備の共同作業に際しては、理論的な裏付けが明確にできない熟練作業者の「コツ」、つまり「技能」の部分を明確にすることが重要です。

トレーニングを行う

次に、作成したマニュアルを使いながらトレーニングを行います。マニュアルで説明しきれていないことこそが「技能」と定義できるので、技能の部分はOJTで実践しながら会得していくことになります。

この過程では、マニュアル化されていないことを伝承する熟練作業員の役割が大きくなるとともに、それを的確に記録する作業も重要となります。

技能・技術伝承に効果的なツールHoloLens 2

ノウハウの切り分けやマニュアルを整備した後のトレーニングにおいては、デジタルツールを有効活用できます。
Microsoft社のHoloLens 2を使えば、技能と技術それぞれを効果的に伝承することが可能です。

このHoloLens 2には、「遠隔地でも隣にいるようにアドバイス・指示ができる」、「空間上に表示されるガイドに従って作業できる」という特徴があります。以下で詳しく説明します。

遠隔地でも隣にいるようにアドバイス・指示ができる

HoloLens 2はMicrosoft社が開発したゴーグル型のヘッドマウントディスプレイです。このHoloLens 2のカメラ映像は、Microsoft Teamsの画面からリアルタイムで見ることができます。

つまり、HoloLens 2とMicrosoft Teamsを組み合わせれば、熟練の指導者が近くにいなくても、離れた場所から複数の若手作業者に対して技能伝承を行えるのです。他の方法では代替できないほどの効率的な指導を可能にします。

また、HoloLens 2はDynamics 365を通じて「Dynamics 365 Remote Assist」というアプリが利用でき、これと併用することにより声の指示だけではなく資料も共有できます。作業者が見ている空間に、指示者が直接書き込んだり、表示させたりして指示を出せるのです。つまり、Mixed Reality(複合現実・MR)上にデジタルマニュアルが浮かび上がることになります。

空間上に表示されるガイドに従って作業できる

HoloLens 2は「Dynamics 365 Guides」とも併用可能です。これらを連携させることで、Mixed Realityがもたらす効果をより大きく発揮できます。

HoloLens 2を装着しながらDynamics 365 Guidesを使って作業を行う場合、作業している空間に作業手順や補足説明を表示させられます。このため、作業者は各工程で表示されるガイドに従って正しい順序で作業ができます。

HoloLens 2を媒体としてデジタルマニュアルを活用すれば、先輩の熟練作業員が忙しくて質問できないような状況でも、若手が自分の手で解決できるようになります。また、作業の一部だけを切り取って、その部分だけを繰り返し復習するといったこともできるので、スキル習得の効率性が向上します。

つまり、従来の技能伝承の現場では実現できなかったような、効率的かつ効果的な伝承が可能になるのです。

まとめ

熟練作業者のノウハウをマニュアル化することで、これまで見えなかった技能も明らかになります。
Microsoft社のHoloLens 2を活用すれば、熟練作業者から若手作業者に対してスムーズに伝承が図れるようになります。技能伝承における課題解決に効率的に取り組みたい場合は、導入を検討されることをおすすめします。

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