この記事で分かること
- 安否確認システムの定義と、電話連絡網・災害用伝言ダイヤルとの違い
- 企業が導入を検討すべき理由(安全配慮義務・BCP)
- 主な機能と、災害発生から結果確認までの運用の流れ
- 導入時に比較したい6つのチェックポイント
- Microsoft 365・Teams環境での安否確認システムの活用例
安否確認システムとは、災害時に従業員とその家族の安否をメールやチャットで一斉に確認し、回答を自動で集計する仕組みです。電話連絡網のような手作業を減らし、被害状況を短時間で把握できる点が最大の特長といえます。本記事では、安否確認システムの基本、主な機能、運用の流れ、選び方のポイントを、総務・情報システム担当者の視点で整理します。
安否確認システムとは?企業の災害対応を支える仕組
安否確認システムとは、地震や台風などの災害時に、従業員の安否と被災状況を迅速に確認・集計するためのサービスです。配信、回答の回収、集計までを自動化することで、担当者の負担を抑えながら初動対応を支えます。
安否確認システムの基本的な仕組
基本の流れは、安否確認メッセージの配信、従業員による回答、管理画面での自動集計の3段階です。配信は管理者の手動操作のほか、気象情報と連動した自動配信に対応する製品もあります。
従業員は届いたメールやチャットから、無事・軽傷・重傷といった選択肢を選んで回答します。管理者は回答率や安否状況を部署・拠点別に確認でき、未回答者の把握にも役立ちます。
電話連絡網・メール・災害用伝言ダイヤルとの違い
最大の違いは、全社員の回答状況を自動で集計し、未回答者まで把握できる点です。主な安否確認手段との違いを、以下の表でご確認いただけます。
| 手段 | 特徴 | 企業利用での課題 |
|---|---|---|
| 電話連絡網 | 人づてに順番に連絡する | 連絡が途切れると以降に伝わらず、集計も手作業になる |
| 通常の一斉メール | 全員へ同時に送信できる | 回答の集計や未回答者の特定に手間がかかる |
| 災害用伝言ダイヤル(171) | 音声の伝言を録音・再生できる公共サービス | 震度6弱以上の地震発生時などに提供が始まる。企業の回答率を自動集計する用途には向かない |
| 安否確認システム | 自動配信・自動集計・未回答者への再送に対応 | 導入費用と、事前の従業員情報の整備が必要 |
災害用伝言ダイヤル(171)は、NTT東日本・NTT西日本が提供する家族や知人向けの安否確認サービスで、提供開始の基準は震度6弱以上の地震発生時などとされています。企業が従業員全員の状況を把握する用途とは役割が異なります。
企業が安否確認システムを導入すべき理由
導入すべき主な理由は、従業員の安全への配慮と、事業継続(BCP)における初動判断の迅速化の2点です。
安全配慮義務を果たす体制づくりにつながる
労働契約法第5条は、使用者に対し、労働者が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう必要な配慮を求めています。災害への備えもその一環として語られることが多く、安否確認の手段を整えることは有効な取り組みの一つです。
ただし、必要な配慮の中身は職種や労務内容、勤務場所などの状況に応じて異なります。厚生労働省の資料でも、安全配慮義務は労働契約法第5条に明記された使用者の義務と整理されています。システムの導入そのものを義務づけるものではない点には注意が必要です。
事業継続(BCP)の初動判断を早められる
BCPとは、災害などで被害を受けても事業を継続するための事業継続計画です。出社可否や業務の優先順位を決めるには、まず誰が無事かを正確に把握しなければなりません。
安否確認システムで回答が部署・拠点別に自動集計されれば、経営層や対策本部は被害の全体像を短時間でつかめます。BCPの策定にあたっては、内閣府の事業継続ガイドラインが参考になります。
安否確認システムの主な機能
安否確認システムの機能は、配信・回答・集計・運用支援の4領域に大別できます。製品ごとに搭載範囲が異なるため、自社に必要な機能を整理しておくことが選定の近道です。
押さえておきたい基本機能
多くの製品に共通する基本機能は、安否確認の配信、回答の自動集計、未回答者への再送の3つです。
| 機能 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 自動配信 | 震度などの基準に達した際に自動で配信する | どの災害・震度を基準にできるか |
| 手動配信 | 局地的な災害などで対象を絞って配信する | 拠点や部署ごとに送り分けられるか |
| 自動集計 | 回答率や安否状況を自動でまとめる | 部署別・拠点別に確認できるか |
| 再送・リマインド | 未回答者へ再度通知する | 再送のタイミングを設定できるか |
運用を楽にする便利機能
日常の運用負荷を左右するのは、組織情報の同期、訓練機能、家族への配信などの周辺機能です。
- 家族の安否確認:従業員本人が回答できない場合の状況把握に役立つ
- 人事情報・組織情報の連携:異動や組織改編のたびに手作業で更新する負担を減らせる
- 予行練習(訓練)機能:本番と同じ流れで回答率や配信状況を確認できる
- チャットツール連携:普段使っているツールで通知を受け取れるため気づきやすい
- スマートフォン対応:パソコンを開けない状況でも回答や配信ができる
安否確認システムの運用の流れ
運用の流れは、災害発生前の準備と、発生後の配信・回答・確認の大きく2段階です。以下の6つのSTEPで進めると、抜け漏れを防げます。
STEP1:対象者・部署・拠点を登録する
最初に、配信対象となる従業員、部署、拠点の情報を登録します。Microsoft 365などのユーザー情報と同期できる製品なら、登録作業と日常の更新が簡単になります。
STEP2:自動配信の基準と文面を決める
自動配信する災害の種類や震度の基準、メッセージ文、回答項目を事前に設定します。誤配信や配信漏れを避けるため、対象拠点の判定ルールもあわせて確認しておきましょう。
STEP3:災害発生時に安否確認を配信する
基準に達した災害情報が出ると自動で、あるいは管理者の操作で、メールやチャットに安否確認が届きます。担当者自身も被災する可能性があるため、自動配信に対応していると安心です。
STEP4:従業員が安否状況を回答する
従業員は届いたメールのURLやチャットの設問から、自分の安否や家屋の状況を回答します。ログイン操作が不要だと、混乱した状況でも回答しやすくなります。
STEP5:回答結果を確認して初動対応を判断する
管理者は集計画面で回答率や安否状況を確認し、未回答者への再送や出社可否の判断につなげます。部署・拠点別に見られると、支援が必要な場所を絞り込めます。
STEP6:定期的に訓練して設定を見直す
システムは導入しただけでは機能しません。定期的な訓練で回答率や配信状況を確認し、人事異動や組織変更に合わせて登録情報を更新し続けることが重要です。
安否確認システムの選び方:6つのチェックポイント
選定では、自社のIT環境に合うか、災害時に従業員が迷わず回答できるか、日常の運用負荷が低いかの3点を軸に比較します。
- 自動配信の基準:地震の震度や警報の種類など、自社の方針に合う基準を設定できるか
- 回答のしやすさ:ログインの要否や、普段使うメール・チャットで回答できるか
- 組織情報の更新方法:Microsoft 365などとの同期やCSV取り込みに対応しているか
- 集計の見やすさ:部署別・拠点別に回答状況をリアルタイムで確認できるか
- 家族への対応:家族の安否確認や登録を従業員自身で行えるか
- 訓練への対応:予行練習ができ、本番に近い形で運用確認できるか
料金体系は初期費用・月額・ユーザー数で比較する
料金を比較するときは、初期費用、月額費用、ユーザー数の区分、オプション費用を同じ条件でそろえて確認します。製品によっては、ユーザー数に応じた段階制の月額料金を採用しています。
無料トライアルがある場合は、実際の従業員情報で配信テストをして、回答のしやすさや管理画面の使い勝手を確かめておくと安心です。
Microsoft 365環境で使える安否確認システムの例:Coo Kai 安否確認
Microsoft 365やTeamsを日常的に使っている企業では、組織情報の同期とTeamsでの回答に対応した製品が運用しやすい選択肢になります。その一例が、株式会社ピーエスシー(PSC)が提供するCoo Kai(クーカイ)安否確認です。
Coo Kai 安否確認の主な特長
Coo Kai 安否確認は、気象庁の災害情報と連携した自動配信と、メール・Teamsでの回答を特長とするMicrosoft 365向けの安否確認アプリケーションです。
- 気象庁のAPIと連携した自動配信:地震、大雨特別警報、暴風特別警報、高潮特別警報、波浪特別警報、暴風雪特別警報、大雪特別警報、大津波警報が対象。地震は誤報の配信を防ぐため、発表後10分間待機してから配信する
- Microsoft 365との同期:ユーザー・部署情報を同期でき、安否確認用に新たなユーザー登録は不要。CSVのエクスポート・インポートでの更新にも対応
- ログイン不要の回答:メールまたはTeamsチャットから、選択式のアンケートに回答できる
- 家族の安否確認:従業員が家族情報を登録すると、家族にも安否確認メールを送信できる
- 回答集計:部署・拠点別に回答率や回答状況を表形式で確認できる
- スマートフォン対応・自動再送・予行練習:外出先でも操作でき、未回答者への再送や訓練にも対応
導入の流れと料金について
導入は、お問い合わせ・トライアル、ヒアリング・デモ、申し込み・契約、利用開始の4ステップで進みます。1カ月間の無料トライアルも可能です。料金プランの詳細については、株式会社ピーエスシーへお問合せください。
よくある質問(FAQ)
安否確認システムとは何ですか?
安否確認システムとは、災害時に従業員やその家族の安否をメールやチャットで一斉に確認し、回答を自動集計するサービスです。配信・回答の回収・集計を自動化することで、電話連絡網より素早く被害状況を把握できます。
安否確認システムの導入は法律で義務づけられていますか?
労働契約法第5条は使用者に労働者の安全への配慮を求めていますが、特定のシステムの導入を名指しで義務づけるものではありません。ただし、災害時の備えとして安否確認の手段を整えることは、安全配慮の観点で有効な取り組みです。具体的な対応は、必要に応じて社会保険労務士や弁護士などの専門家にご確認ください。
災害用伝言ダイヤル(171)があれば安否確認システムは不要ですか?
役割が異なるため、企業の従業員把握には安否確認システムの併用が望ましいといえます。171は音声の伝言を録音・再生する公共サービスで、震度6弱以上の地震発生時などに提供が始まります。一方、安否確認システムは全従業員の回答状況を自動集計できます。
従業員の家族の安否も確認できますか?
家族の安否確認に対応した製品なら可能です。従業員が家族のメールアドレスなどを事前に登録しておくと、家族にも安否確認が送信されます。登録は従業員の同意のうえで進め、個人情報の取り扱いルールも整えておきましょう。
安否確認システムを導入する前に決めておくことは何ですか?
配信対象者の範囲、自動配信の基準、回答項目、管理者の役割分担の4点を先に決めておくと、スムーズに導入できます。あわせて、Microsoft 365などとの組織情報の同期方法や、訓練の実施時期も確認しておくと運用が安定します。
安否確認システムの理解を、自社の備えにつなげるために
安否確認システムは、災害時に従業員の安否を素早く集計し、事業継続の初動判断を支える仕組みです。本記事のポイントを整理します。
- 安否確認システムは、配信・回答・集計を自動化し、電話連絡網より迅速に状況を把握できる
- 導入の背景には、労働契約法第5条の安全配慮義務や、BCPにおける初動判断の迅速化がある
- 自動配信の基準、回答のしやすさ、組織情報の更新方法、集計の見やすさ、家族対応、訓練機能が比較の軸になる
- Microsoft 365・Teamsを使う企業は、同期とTeams回答に対応した製品だと運用負荷を抑えやすい
まずは、自社の従業員数や拠点、利用中のITツールを書き出し、必要な機能を整理するところから始めてみましょう。無料トライアルを活用して実際に配信テストを行えば、導入後の運用イメージもつかみやすくなります。小さな一歩が、いざという時に従業員と会社を守る備えになります。










