商品管理

商品情報管理(PIM)とは?基本機能や導入するメリットを解説!

マルチチャネルでのマーケティング・販売戦略の実施や、次々と続く新商品の販売に伴って、増大する商品情報の管理に課題を感じている企業も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、商品データの管理運用に役立つITソリューションとして、PIMツールの基本機能や導入メリットなどについて解説していきます。

1.商品情報の管理はなぜ難しいのか

近年、商品情報管理を管理する「PIM」が注目を集めています。その背景には、多くの企業が商品情報の管理について課題を感じていることが挙げられます。

スマホなどのモバイルデバイスの普及に伴って、現代の顧客はさまざまなチャネルから企業の商品情報を取得できるようになりました。それに合わせて、多くの企業はECサイトやモバイルアプリ、SNSなど、マルチチャネルでの商品プロモーションを実施するようになっています。しかし、その際は掲載メディアに応じて画像や動画、仕様書などを多種多様な形で提示する必要があるため、企業が管理しなければならない商品情報は非常に膨大かつ複雑です。

また、現代ビジネスでは即時的なマーケティング施策や商品投入が重視されているため、分野によっては新商品が次々登場しています。これにより、商品情報の更新作業を頻繁に行わなければならず、データマネジメントの業務量は増える一方です。

しかも日本においては、多くの企業が部門ごとにデータ管理をしており、部門横断的なデータ共有が十分にできていないので、マルチチャネルで商品プロモーションを行っても、チャネルごとに商品説明がちぐはぐになってしまっていることもあります。このように、現代企業が直面している煩雑化した商品情報管理を効率化するためのソリューションとして、注目を集めているのがPIMツールです。

2.商品情報管理(PIM)とは

それでは、PIMとはどのようなツールなのでしょうか。そもそもPIMとは「ProductInformationManagement(商品情報管理)」の略で、その名の通り企業が保有する商品を一元管理するシステムを指します。

PIMの役割

先述したように、現在の企業はWebサイトやSNSなど、さまざまなチャネルで商品情報をプロモーションしています。PIMの役割は、これらすべてのチャネルにおける商品情報を集約的に管理し、円滑な配信ができるようにプロモーション活動をサポートすることです。

具体的には、製品に関する情報を一元的に管理することで、情報の重複や矛盾が生じるリスクを低減し、情報の整合性を保ちます。また、情報集約を進めることでデータマネジメントの業務量の削減にも貢献します。さらに、ECサイトや実店舗、Webカタログ、SNSといった多様なチャネルに対し、正確な情報をリアルタイムに、かつスムーズに供給することも、PIMに期待される役割です。

PIMの基本的な仕組み

PIMは、単体で見れば商品情報を管理するデータベースです。しかし前述のような役割を果たすために、仕様/スペックに関するデータと、顧客に提供する際の「商品」としてのデータを、複数のテーブルを用いて管理しています。また、こうした情報を入力・提供するために外部とのインターフェース機能も搭載していることがほとんどです。

商品情報管理(PIM)の主な機能

PIMの主な機能としては、「商品情報や関連コンテンツの総合管理」「外部インターフェース」「承認ワークフロー」などが挙げられます。それぞれ簡単に解説します。

商品情報や関連コンテンツの統合管理機能

PIMは商品情報を属性ごと・階層ごとに整理できるため、類似商品や関連商品も合わせて統合的に商品情報を管理できます。これによってユーザーは、必要なデータのより効率的な確認が可能です。

外部インターフェース

PIMは、CRMやERPなどの外部システムと連携させることで、より大きな効果を発揮します。また、PIMにはECサイト・自社アプリ・SNSなど、さまざまなチャネルに効率よく商品情報を発信するための機能が搭載されています。

承認ワークフロー

PIMでは、商品情報が不十分・不適切な状態で公開されないように、承認ワークフローの設定が可能です。商品情報の公開など、重要なステータス更新を行う際は、このワークフローを通すことで商品情報を適切に管理できます。

PIMで管理できる主な情報

前述のように、PIMは製品に関するさまざまな情報を管理することができます。

ここでは、管理できる具体的な情報を整理します。

製品の基本情報

製品名:製品の正式な名称や通称、ブランド名など

説明:製品の詳細説明、利用方法や機能の説明

仕様:製品のサイズ、重量、材質、色、機能性などの詳細な仕様

価格:通常の小売価格、卸売価格、特別価格など

SKU(StockKeepingUnit):個々の製品を識別するためのユニークなコード

カテゴリー情報

カテゴリー:製品の主要な分類

サブカテゴリー:主カテゴリー内で更に細分化されたカテゴリーの情報

関連商品:他の製品との関連性や推奨される製品の情報

バリエーション:同じ製品の異なるバージョンやオプションに関する情報

メディアファイル

製品の画像:プロダクトショット、使用例の画像など

動画:製品の使用方法、特徴を紹介する動画など

カタログ:詳細な商品情報や仕様をまとめた資料など

3Dモデル:製品の3DビューやVR体験に使用するためのデータモデル

マーケティング/セールスに関する情報

製品の特徴やメリット:顧客に製品を選ぶ理由や利点を示すためのテキスト情報など

訴求ポイント:マーケティングや広告キャンペーンで強調するポイントに関する情報

SEOに関する情報

メタタグ:ウェブページの内容を表す短いタグに関する情報

SEOキーワード:検索意図や順位を加味したSEO対策のためのキーワード情報

ディスクリプション:サーチエンジンの検索結果に表示される製品の簡単な説明文

関連キーワード:製品に関連する検索キーワードやフレーズ

多言語情報

複数の言語による上記の情報

3.商品情報管理(PIM)を導入するメリット

PIMを導入する主なメリットとしては、

・商品情報の一元管理と標準化が可能

・生産性の向上

・各メディアとの自動連携

・マルチチャネル戦略の実現

・コスト削減

・リッチコンテンツによる顧客体験(UX)の向上

などが挙げられます。以下では、それぞれのメリットについて解説します。

商品情報の一元管理と標準化が可能

商品情報は、複数の部門・部署に散逸していることが多く、横串で統合されていないことがあります。また、生産拠点や管理拠点が複数ある場合には、各拠点から情報を吸い上げたうえでマージするといった作業が必要です。

さらに、PIMを商品データベースの中心にすることで、商品情報を標準化できる点も見逃せません。特にスペック情報(Specification)については、同一カテゴリーの製品に共通する値(共通値)と機種別に設定された値(個別値)での管理に加えて、部品の組み合わせマトリックスによるバリエーション違いも管理する必要があります。

こうしたデータをExcelで管理する方法もあるでしょう。しかし、データを管理する人材によって商品情報が異なる、チャネルによってスペック情報が変わる、といったリスクも想定されます。一方、商品情報の管理に特化したPIMであれば、これら複雑な商品情報の管理が容易にできるため、商品情報の標準化が進みます。

生産性の向上

商品情報が全社的に一元管理できていないと、必要な情報を求めてあちこちの部署を訪ねたり、データベースを探し回ったりしなければいけません。この点、PIMなら部門横断的な商品情報の管理体制を整えられるため、商品情報の管理運用業務の手間が効率化され、部門間の連携も取りやすくなり、生産性の向上につながります。

各メディアとの自動連携

PIMには、各メディアや外部システムとの自動連係機能が搭載されています。たとえば、CRMとPIMを組み合わせてデータ活用することで、顧客属性に合わせた商品情報の提供が可能になるでしょう。また、データオンボーディングとワークフローを自動化することで、情報の質を高めつつ顧客に対する効率的なアプローチが可能になり、マルチチャネルでの迅速な情報公開もできるようになります。

マルチチャネル戦略の実現

デジタルファースト時代のマルチチャネル戦略では、BtoBにおいてもWebの取り組みが不可欠です。具体的には、ECサイトやモバイルアプリ、Webカタログによる顧客接点の創出により、あらたな受注や売上を確保するといった施策です。こうした施策を実行するうえでは、PIMのもつマルチチャネル対応機能が欠かせません。

PIMは、商品情報を一元的に管理できるだけではなく、eコマースやモバイルアプリ、POSなどさまざまなチャネルに対して効率的に、かつ均一に商品情報を配信できるのです。

こうしたPIMの機能を活用することで、新商品ローンチ時のプロモーションやコンテンツ制作のスピードが向上し、タイムリーな情報提供によって受注や売上の向上が期待できます。

特に製造業においては、コーポレートサイトやECサイトに掲載される商品情報の充実度が、受注・売上に直結します。したがって、ほかの業界よりもPIMの重要性が増していると考えて間違いないでしょう。

製造業における製品ページの重要性については、こちらの記事も参照ください。
https://www.cloud-for-all.com/customer-data-cloud/blog/importance-of-product-pages-in-manufacturing

コスト削減

現代の商品情報はテキストだけでなく、画像・動画などデータ形式が多様化しており、しかもそれらがチャネルごとに最適化されています。こうした質・量ともに膨大な商品情報の管理運用を手作業で行っている場合、非常に手間がかかってしまいます。そこで、上記のようなPIMの機能を使うことで、各作業にかかっていた人的コストを大幅に削減できます。

リッチコンテンツによる顧客体験(UX)の向上

現在の顧客は、商品の購入前にさまざまなチャネルで商品情報を確認し、吟味するのが当然になっています。魅力的な商品プロモーションは見ているだけでも楽しく、顧客体験における重要な一局面として捉えられます。つまり、リッチコンテンツによる顧客体験の向上が重要な時代なのです。

実物を肉眼で確認できないECサイトなどでは、商品情報の充実度が企業の信頼性を左右します。また、仕向地や国、カスタマイズによって仕様が変化する製品の場合、商品情報を少しずつ変えながら表示させる必要があるでしょう。こうした情報をリッチコンテンツによって正確に提供するためには、PIMのもつ情報一元化と標準化、配信機能が欠かせません。PIMは、リッチコンテンツによる顧客体験の向上を促進するツールとも言えるわけです。

4.PIM導入の流れ

一般論にPIMは、スクラッチ開発で実装されることは稀です。大抵はパッケージソリューションとして導入されます。この前提を踏まえつつ、PIM導入の流れを見ていきましょう。

①現状分析と目的の明確化

PIM導入においてまずやるべきことは、現状分析と目的の明確化です。具体的には、商品情報について「デジタル化されているか」「標準化されているか」などの観点から管理状況を全社的に分析・把握します。

分析が完了した後は、商品情報に関連する課題を抽出していきましょう。この段階で「部品の組み合わせによる商品バリエーションが管理しきれていない」「仕向け地によるスペックと価格の違いが明確でない」などの課題が浮き彫りになるはずです。あとはこうした課題を整理して、PIMの導入目的や期待する効果につなげていきます。

②PIMの選定

①で決定した導入目的や効果に沿ってPIMの選定基準を設け、実際の選定を行います。

例えば、商品情報の標準化が目的であれば、ERP(基幹系情報システム)やPDM(製品データ管理システム)との連携と情報整理に強いPIMを選定すべきでしょう。

反対に、カタログ製作やWebサイトの更新作業を効率化したいのであれば、DAM(デジタルアセット管理システム)との連携や各チャネルへの情報提供機能に強みを持つPIMを選択すべきです。

上記に加えて、費用や機能性、カスタマイズの容易さ、サポート体制なども比較していきましょう。

③商品情報の整理とデータモデル化

次に、PIMに集約すべき商品情報の整理を進めます。ここでは商品情報の整理と、カテゴリー分け、バリエーションの定義などが主な作業です。

次に、上記作業の結果にしたがって、データモデル定義も行います。データモデル定義では、商品カテゴリーと個別商品名、品番(SKU)といった一般的な要素に加えて、色やサイズ、スペックによる違いなども加味しながら、管理すべき商品情報を関連付けていきます。データモデル定義はPIMの導入で最も重要なフェーズであり、社内外の情報を結集して取り組むべきものです。

④PIMの設定

③で定義したデータモデルに沿ってPIMの設定やカスタマイズを実施していきます。PIMの設定画面や管理ツールを使用して、商品情報の入力フォームや検索機能、連携機能などを設定・カスタマイズします。

⑤データクレンジング&データ移行

データ移行では、まず既存のデータをひととおり抽出したうえで、重複や不整合を排除するためのデータクレンジングを実施します。次に、クレンジング後のデータを、新しく設定したPIMに移行します。

⑥スタッフのトレーニング&利用開始

PIMの操作方法や管理方法について、各業務担当者への教育を実施します。実際の作業フローに即したトレーニングを実施し、実際の運用につなげていきます。

5.PIMの選定時における重要なポイント

どういったPIMが自社にマッチするかはケースバイケースです。しかし、一般的には下記のような選定項目を重視する方法がおすすめです。

拡張性と柔軟性

デジタルファースト時代の不確かな外部環境の中でビジネスの成長や変化に対応できるように、拡張性と柔軟性を備えた製品を選んでいきましょう。具体的には、「追加開発の余地があるか」「登録可能なデータの種類が豊富か」「カスタマイズと設定によって自社の要求を満たせるか」などを注視したいところです。また、商品数が多い製造業などでは、想定している商品数を満たせるかも重要な選定要素です。

統合/連携のしやすさ

PIMはERPやPIM、DAM、ECサイト、POSシステムなどと連携する仕組みです。したがって、これら外部システムとの統合/連携がスムーズに行えるかどうかも重視していきましょう。

ユーザビリティ

いわゆる「使い勝手」に関する部分です。「管理画面は直感的に操作できるか」「データ投入と編集がスムーズに進むか」などの観点も忘れないようにしたいところです。ユーザビリティを備えたPIMを選ぶことで、トレーニング時間の削減や社内への早期定着などが期待できるでしょう。

データ品質に関する機能

PIMに限らず、データ検証やクレンジングは地道な作業の連続であり、多大なリソースを必要とします。導入を早期に完了させるためには、データ検証やクレンジングなどの機能を搭載しているPIMが望ましいでしょう。

セキュリティ

PIMで扱う情報は、社外秘や非公開に該当するものが少なくありません。非常に重要な情報を扱うシステムのため、一定以上の堅牢性は不可欠です。したがって、十分なセキュリティ対策が取られているかも確認しておきましょう。

アップデートの頻度と内容

アップデートの頻度とその内容についてもチェックしておきましょう。市場のニーズに合わせた新機能のリリースや、既存機能アップデートなどが定期的に行われるPIMを選ぶと良いでしょう。

6.「SAPCustomerExperience」で商品情報を一元管理

このようにPIMを活用することで、商品情報の管理運用を大きく効率化し、より魅力的な商品プロモーションの展開が可能になります。そこで、商品情報を一元管理するための具体的ツールとしておすすめしたいのが、欧州の大手IT企業SAP社が提供する次世代クラウド型CRMソフトウェア「SAPCustomerExperience(SAPC/4HANA)」です。

SAPC/4HANAは、顧客データを1つのプラットフォームで一元管理し、顧客の全体像を把握できるツールです。また、CRMの顧客データと、在庫管理や生産管理といったERPの業務データの連携もできます。SAPC/4HANAによって商品情報をその他データと連携して運用することで、各顧客によりパーソナライズしたマーケティングが可能になるでしょう。

また、SAPC/4HANAの主要サービスにも注目したいところです。SAPC/4HANAは、以下5つのサービスによって構成されています。

  • SAPSalesCloud
  • SAPCommerceCloud
  • SAPServiceCloud
  • SAPCustomerDataCloud
  • SAPMarketingCloud

この中でも特に注目すべきなのが「SAPCommerceCloud」です。SAPCommerceCloudはeコマースを通じて顧客体験の最適化を促すクラウドベースのプラットフォームです。グローバルで使用できる高機能なコマース機能に加え、PCM(ProductContentManagement:製品コンテンツ管理)と呼ばれるコンテンツ管理機能も搭載しています。

PCMでは、商品情報や関連情報の付与、検索機能、マルチカテゴリ、マルチカタログ、カタログバージョン履歴などが利用可能です。つまり、一般的なPIMのように詳細かつ正確な商品情報管理が可能となります。

コマース機能に強いSAPCommerceCloudならば、現代の顧客ニーズに合致した商品情報をスピーディに提供しつつ、受注や売上に貢献するフロントエンドの実装も可能です。

7.まとめ

本記事では、PIMの概要やメリットについて解説しました。PIMは、企業が保有する多様かつ膨大な商品情報の一元管理や、その効率的な運用を可能にします。PIMによる情報の一元管理は、全社的な情報共有を容易にし、部門横断的なコラボレーションを促進します。また、PIMによって魅力的かつ信頼できる商品情報をマルチチャネルで展開することで、顧客体験の向上も期待できるでしょう。商品情報の管理運用に課題を感じている企業様は、ぜひPIMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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