AzureのIoTソリューション、AWSとの比較

AzureのIoTソリューション、AWSとの比較

次々に新しい機能を追加して進化を遂げているマイクロソフトのAzure。IoT(モノのインターネット:Internet Of Things)の領域に関してもPaaSSaaSなどクラウド基盤に加えて、デバイスのマイクロプロセッサや組み込みOSまで、IoT分野全体にソリューションを拡充しています。組み込みOSでは、2019年4月にリアルタイムOS大手Express Logicを買収したことが報じられました。

AzureのIoTソリューション、AWSとの比較

IoTは消費者向けの生活家電にとどまらず、公共機関のインフラや産業プラントなどで、常時監視による予知保全のシステム導入が進んでいます。センサーなどのデバイスから送られた膨大なデータを扱うため、処理速度はもちろん拡張性やセキュリティの面で高性能のクラウドソリューションが求められます。この高度かつ複雑な要求にこたえるクラウドプラットフォームがAzureです。

ここではAzureのIoTソリューションが優れているポイントと、競合製品となるAWSとの比較、今後の動向について解説します。

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AzureのIoT機能が優れているポイント

IDC MarketScapeのレポートでは、Azureが製造業およびエネルギー業界のインダストリアルIoT(IIoT)プラットフォームのリーダーとして高く評価されました。要約すると次の3つです。

  1. オープンソースの利用を含めた自由度と柔軟性の高さ
  2. プラットフォームに依存しないアーキテクチャ
  3. グローバルクラウドとしての可用性

参考:Microsoft Industry Blogs(英語)

IDC MarketScape: Microsoft a leader in IIoT platforms for manufacturing and energy
https://cloudblogs.microsoft.com/industry-blog/manufacturing/2019/07/10/idc-marketscape-microsoft-a-leader-in-iiot-platforms-for-manufacturing-and-energy/

Azure Edgeでは、オープンソース・ソフトウェア(OSS)を積極的に活用しています。このことにより開発コストの削減だけでなく、OSSで共有されたノウハウを活用して工程を短縮し、IoTのサービスの迅速なデプロイ(システムを利用可能にすること)を実現します。また、公共のエネルギー事業のような巨大な施設や大手企業から中堅企業まで、幅広いシステムを構築できるスケーラビリティ(拡張性)が大きなメリットです。

Windowsプラットフォーム以外のLinuxなどOSに依存しないアーキテクチャも、開発の幅を拡げているメリットのひとつ。世界中の開発者がAzure上でIoTを開発することによって、あらゆる国々の事例が蓄積されていきます。そして、Azureをデファクトスタンダードとして世界各国の拠点で稼働するIoTシステムが構築されています。

AzureのIoTソリューションにはどのような製品があるのか

それでは、具体的にAzureのIoT関連製品にはどのようなものがあるでしょうか。

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工場の予知保全や物流管理など、どのようなIoTであっても、基本的には情報を取得するデバイス、デバイスと解析するアプリケーションを接続するネットワーク、デバイスからの膨大な情報を蓄積するデータベースやストレージ、そしてデータ解析をするアプリケーションが必要になります。

別々のハードウェアやソフトウェアでシステムを構成することも可能です。しかし、ワンストップのソリューションがあれば、効率的なIoTシステムを構築できます。マイクロソフト社はサードベンダーとAzureを核としたエコシステムをつくり、コスト削減と開発時間を短縮できる総合的なソリューションに注力しています。

AzureのIoT関連製品を「統合ソリューション」「ネットワーク管理と監視」「データ解析」「デバイス管理」の3つの領域に分けて主なIoT製品を解説します。

統合ソリューション

Azure IoTソリューションアクセラレータ

リモート監視や予知保全のシミュレーションなど、需要の高いソリューションのテンプレートがGithubに用意され、カスタマイズしてデプロイ(実装)できるIoT統合ソリューションです。プロビジョニング(予測、準備)によって、効率的かつ迅速にビジネスへの導入を可能にします。

産業プラントのメンテナンス自動化や、障害発生時にリアルタイムでアラートを発信するシステムは、これまで実装に手間がかかったため、現実的ではありませんでした。しかし、Azure IoTソリューションアクセラレータは、プロビジョニングされたテンプレートをカスタマイズして、その名の通りビジネスを加速(アクセラレーション)します。

ネットワーク管理と監視

Azure IoT Hub

安全で信頼性の高い双方向通信を構築します。何十億台ものあらゆるデバイスに対して、セキュリティを強化した通信チャンネルを確保し、IoTアプリケーションを接続。デバイスのネットワークを管理します。

Azure IoT Edge

これまでクラウド側で行っていた解析と企業個別のビジネスロジックをデバイス側で実行し、煩雑なデータ管理から解放します。Azure IoT Hubとの大きな違いは、クラウド上で行っていた解析をデバイス上で解析できることです。したがって、データをクラウドに転送する必要がありません。

Azure IoT Central

Azureには多様な機能がありますが、Azure IoT Centralでは必要な設定、管理、運用で機能を絞り込み、運用担当者の負担を軽減した製品です。IoTデバイスをAzure IoT Centralに接続し、データの送受信を行います。アプリケーションで取り扱うユーザーのデータなどは、クラウド上に保存します。

データ解析

Azure Time Series Insights

デバイスから送られたIoTのデータを時系列で処理およびデータ解析するための製品です。デバイスによって生成された大量のデータを格納し、時系列で視覚化したり、検索、抽出、更新、削除などクエリを実行したり、データを有効活用できるようにします。

Azure Maps

Azure Time Series Insightsが時系列情報のデータ解析であることに対して、Azure Mapsは「空間情報」を扱います。物流管理では、位置情報に対応したWebアプリケーション、モバイルアプリケーションが活用されています。動的な位置情報でトラックの経路をリアルタイムで追跡したり、障害をシミュレーションしたり、空間情報を活用したアプリケーションを作成するためのAPIです。

デバイス管理

Azure Sphere

IoTデバイスに組み込むマイクロコントローラユニット(MCU)を作成し、デバイスを安全にインターネットに接続、リアルタイムによるデータ処理を可能にします。IoT用に最適された組み込みOSが用意され、Azure Sphere Security Serviceによって堅牢なセキュリティを実現します。

Azure Digital Twins

デバイス、センサー、人間などの空間的な関係などをトラッキング(追跡)して、データの照合や検証などを行い、通知やイベントを自動的に生成するインテリジェント機能を提供します。AI(人工知能)やクラウドの分析サービスと組み合わせることで、分析結果から予測や洞察を導き出します。

IoT分野においてAzureとAWSの比較

Azureの最大の競合製品はAWS(Amazon Web Services)です。したがって、ここまで解説した統合ソリューション、ネットワーク管理と監視、データ解析、デバイス管理の4つの領域で、AWSの競合製品を比較しました。

完全に同じとはいえない対比もありますが、中心的な役割を果たす機能によって、おおまかな比較をすると以下のようになります。

 

Microsoft Azure

AWS

(Amazon Web Services)

統合ソリューション

Azure IoTソリューションアクセラレータ

AWS IoT Things Graph

ネットワーク管理と監視

Azure IoT Hub

Azure IoT Edge

Azure IoT Central

AWS IoT Core

AWS IoT Device Management

データ解析

Azure Time Series Insights

Azure Maps

AWS IoT Analytics

AWS IoT Events

AWS IoT SiteWise

デバイス管理

Azure Sphere

Azure Digital Twins

Amazon FreeRTOS

AWS IoT 1-Click

AWS IoT Greengrass

「AWS IoT Device Defender」でセキュリティに注力するとともに、AmazonもリアルタイムOS「FreeRTOS」を買収して組み込みOSを提供しています。しかし、Azureには「Azure Sphere Security Service」があります。ビジネスとして運用する上で、セキュアなIoTは前提条件として重要度が高まっています。

物流に関連するソリューションはAmazon自体の自社事例があるため、AWSに強みがあります。とはいえ、Azureの優れているところは幅広いビジネスに対応するスケーラビリティがあり、ビジネスにおける実稼働を加速する機能を拡充させている点です。

まとめ

HIS Markitによると、2018年における世界のIoT機器の出荷台数は年間約100億台で、2025年には年間約200億台強が出荷されると予測しています。産業分野の成長が著しく、特にファクトリーオートメーションなどによるIIoTが伸びる予測です。このIoT分野の成長に合わせて、IoTのセキュリティが重視されつつあります。

MCUとOSをセットにしたAzure Sphere、専用のAzure Sphere Security Serviceを提供している点で、Azureは業界をリードしています。HIS Markitは、今後センサーからAIまで一貫したソリューションの提供が主流になっていくだろうという見解を示しました。AzureのIoT分野におけるワンストップソリューションが今後どのように展開されていくくのか、注目したいポイントです。

参考:

IoT市場は今後どうなる? 急速に立ち上がるIoTセキュリティの「市場」と「懸念」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/36642

Microsoft Azure製品カタログ
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