
この記事で分かること
- リサーチツールとアナリストの役割の違い
- 通常のCopilot Chatとの違いと、選び方の基準
- 業務シーン別の使い分け例
- 利用条件と、使い始めるまでの手順
リサーチツール(Researcher)とアナリスト(Analyst)の違いは、前者が情報を調べてレポートにまとめるエージェント、後者が手元のデータを分析して傾向や外れ値を示すエージェントである点です。市場調査や競合調査にはリサーチツール、売上データや顧客データの分析にはアナリストを使います。この記事では、Microsoft 365 Copilotの2つのエージェントの違い、Copilot Chatとの使い分け、利用条件、使い方を、Microsoft公式情報をもとに整理します。
リサーチツールとアナリストの違いは「調べる」か「分析する」か
2つの違いは役割にあります。リサーチツールは調査とレポート作成、アナリストはデータの分析と可視化を担います。どちらもMicrosoft 365 Copilotのエージェントとして、アプリ内の「エージェント」から使います。
リサーチツールは複数ソースを調べて引用付きレポートを作る
リサーチツールは、複雑な複数ステップの調査に取り組み、出典付きの構造化されたレポートを作成するエージェントです。Microsoft公式ヘルプによると、Webに加え、職場でアクセスできるファイル、メール、会議、チャットから情報を集めて分析・要約します。レポートには、整理されたセクション、ビジュアル、引用元が含まれます。
アナリストはデータを分析して傾向と外れ値を示す
アナリストは、データ分析を支援するエージェントです。OpenAIの思考推論モデル「o3-mini」を基盤としており、複数のExcelスプレッドシート、CSVファイル、データベースなどを調べて統合・分析します。複雑なクエリに対してはバックグラウンドでPythonコードを生成・実行し、統計計算、傾向の特定、外れ値の可視化を行います。なお、対応言語は8カ国語です。
リサーチツールとアナリストの比較表
選ぶ基準は、手元にあるのが「調べたい問い」か「分析したいデータ」かです。主な違いを表にまとめます。
| 項目 | リサーチツール | アナリスト |
|---|---|---|
| 役割 | 調査と報告書の作成 | データの分析と可視化 |
| 基盤技術 | 37カ国語 | 8カ国語 |
| 対応言語 | OpenAI Deep Research | OpenAI o3-mini / Python実行 |
| 主な入力 | テーマや質問 | Excel・CSVなどのデータファイル |
| 情報源 | Web、社内のファイル・メール・会議・チャット | 添付したデータ |
| 出力 | 出典付きの構造化レポート | 傾向・外れ値を示すレポート、グラフ、表 |
| 向いている場面 | 市場調査、競合調査、会議準備 | 売上比較、実績の傾向把握 |
| 利用制限 | 2つのエージェントを合わせて1カ月最大25クエリ |
通常のCopilot Chatとリサーチツール・アナリストの違い
Copilot Chatはスピード重視の日常タスク向けで、2つのエージェントは時間をかけて深く処理するタスク向けです。公式ヘルプでも、リサーチツールは処理に時間がかかるぶん包括的な出力を返すと説明されています。
簡単な質問や要約はCopilot Chatを使う
メールの要約、短い返信の作成、アイデア出しなどは、Copilot Chatが向いています。公式ヘルプの比較表でも、簡単な回答や要約はCopilot Chat、複数ソースにわたる詳細な調査と共有できるレポートはリサーチツール、と整理されています。
深い調査や分析は専用エージェントに任せる
引用付きで体裁の整ったレポートがほしいとき、複数のデータファイルを横断して見たいときは、専用エージェントを選びます。待ち時間は長くなりますが、成果物がそのまま会議や報告に使える水準になりやすい点が利点です。
業務シーン別の使い分け
使い分けの目安は、成果物が「文章のレポート」か「数値の分析結果」かです。部署ごとの例を紹介します。
リサーチツールが向いている場面
市場動向の把握、競合の調べもの、クライアント面談の事前準備に向いています。公式ヘルプにも、医療クライアントとの会議前に業界動向を調べる例が載っています。総務や人事では、他社の制度や法改正の動向をまとめる用途にも使えます。
アナリストが向いている場面
地域別・四半期別の販売実績の比較や、売れ筋商品の特定などに向いています。これらは公式ヘルプが挙げる例です。Excelの関数や統計に詳しくない担当者でも、質問を入力するだけで傾向を確認できます。
両方を組み合わせて使う
例えば、リサーチツールで市場の状況を調べ、アナリストで自社の売上データを分析し、両方の結果を比べて報告書にまとめる使い方が考えられます。調査で仮説を立て、分析で検証する流れです。
利用条件と管理者の設定
2つのエージェントを使うには、Microsoft 365 Copilotのライセンスと、管理者による有効化が前提です。公式ヘルプによると、リサーチツールは、Microsoft 365 Premium・Proの契約者と、Microsoft 365 Copilotアドオンライセンスを持つBusiness・Enterpriseのユーザーが対象です。
ライセンスを確認する
法人では、Microsoft 365 Copilotのライセンスが付与されているユーザーが使えます。ライセンスの種類や料金は、別記事で解説しています。
使えないときは管理者の有効化を確認する
エージェントが表示されない場合は、管理者が有効にしていない可能性があります。公式ヘルプでも、Microsoft 365管理センターで管理者が設定を確認するよう案内されています。なお、リサーチツールでClaudeなどのAnthropicのモデルを使うには、管理者がAnthropicモデルへのアクセスを許可する必要があります。
リサーチツールとアナリストの使い方【STEP解説】
どちらも、Copilotのエージェント一覧から選び、質問を入力するだけで使えます。手順は次のとおりです。
STEP1:Copilotで「エージェント」を開く
職場または学校のアカウントで、Microsoft 365 Copilotにサインインします。左側のナビゲーションの「エージェント」の下に、リサーチツールとアナリストが表示されます。
STEP2:リサーチツールでは調べたい範囲を決めて質問する
テーマを入力します。公式ヘルプでは、職場のリソース、Web、またはその両方のどれから情報を集めるかを決めておくと、狙いに合ったレポートになると案内されています。質問は「パフォーマンスレビューのレポート」ではなく「Contosoプロジェクトの事業への影響のレポート」のように具体的に書きます。確認の質問が返ってきたら、答えてから進めます。
STEP3:アナリストでは分析するファイルを添付する
入力欄の「+」から「コンテンツの添付」を選び、分析したいファイルを指定します。デバイスからのアップロードや、OneDrive上のファイルの添付もできます。そのうえで、「販売データを地域と四半期別に比較し、主要な傾向を強調表示する」のように質問します。
STEP4:出力を確認して根拠をチェックする
リサーチツールのレポートは、引用元を開いて内容を確認します。アナリストの結果は、元データと照らして数値がずれていないかを見ます。
STEP5:編集・共有して資料に活用する
リサーチツールのレポートは、編集や共有ができ、プレゼンテーションやドキュメントの作成にも使えます。アナリストの結果は、傾向をつかんだあとで、共有用のダッシュボードが必要ならBIツールなどに引き継ぐ使い方もあります。
使うときの注意点
注意すべきは、出力を鵜呑みにしないこと、データの扱いを決めておくこと、管理者の設定を把握しておくことです。
出典と数値は必ず人が確認する
AIが作ったレポートにも誤りが含まれる可能性があります。社外に出す資料や経営判断に使う数値は、引用元や元データで確認してから使いましょう。
分析に使うデータの範囲を決める
アナリストに添付するファイルに、個人情報や機密情報が含まれていないかを確認します。社内で、使ってよいデータの範囲と確認ルールを決めておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Copilotのリサーチツールとアナリストの違いは何ですか?
リサーチツールは、Webや社内情報を調べて出典付きのレポートを作るエージェントです。アナリストは、Excelなどのデータを分析し、傾向や外れ値、グラフを示すエージェントです。
リサーチツールとアナリストはどちらを使えばよいですか?
知りたいことを調べてまとめたいならリサーチツール、手元のデータを分析したいならアナリストを選びます。市場調査と自社データの分析の両方が必要な場合は、組み合わせて使えます。
リサーチツールとアナリストは無料で使えますか?
Microsoft 365 Copilotのライセンスが必要です。公式ヘルプによると、リサーチツールは、Microsoft 365 Premium・Proの契約者や、Copilotアドオンライセンスを持つBusiness・Enterpriseのユーザーが対象です。
リサーチツールとアナリストが表示されないのはなぜですか?
管理者が有効にしていない可能性があります。Microsoft 365管理センターのエージェント管理で、設定を確認してもらってください。
リサーチツールは以前のディープリサーチと同じですか?
公式ヘルプによると、両者はよく似た体験で、ディープリサーチは廃止され、リサーチツールがその後継の詳細なリサーチ体験として位置づけられています。既存のディープリサーチのレポートは削除されません。
調べるか分析するかで選び、結果は必ず人が確認しよう
Copilotのリサーチツールとアナリストは、目的で選ぶのが基本です。調べてまとめたいときはリサーチツール、データを分析したいときはアナリストを使い、簡単な質問はCopilot Chatで済ませましょう。
この記事のポイントは次のとおりです。
- リサーチツールは、Webと社内情報を調べて出典付きレポートを作る
- アナリストは、Excelなどのデータを分析し、傾向・外れ値・グラフを示す
- 簡単な要約や質問は、Copilot Chatのほうが速い
- 利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスと管理者の有効化が必要
- 出典と数値は、必ず人が確認してから使う
どちらも、使ってみて初めて効果がわかるエージェントです。まずは、普段手作業で行っている情報収集か、月次の数値の集計を1つ選び、リサーチツールかアナリストに任せてみましょう。結果を元の資料と見比べれば、自社の業務でどこまで任せられるかを判断できます。










