クラウド移行(インフラ・DB)

ファイルサーバーをクラウド移行するメリットとは?

近年、クラウドファーストという概念が一般化しつつあり、クラウド環境にファイルサーバーを構築する企業が増加傾向にあります。ファイルサーバーをオンプレミスからクラウドへ移行することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。本記事はファイルサーバーをクラウド環境へ移行するメリットについて詳しく解説します。

ファイルサーバーをクラウド移行するメリットとは?

クラウド移行 まるわかりガイド

ファイルサーバーとは?

ファイルサーバーとは、ローカルエリアおよびワイドエリアなどのネットワーク上でデータを保管・共有するコンピュータを指します。ファイルサーバーの基本的な役割は、組織内のさまざまなデータを一元的に管理することです。ファイルサーバーをLAN接続することで社内ネットワークが構築され、複数のユーザーでデータの共有や公開が可能になります。

ファイルサーバーがなければ、PCやHDD、あるいはUSBメモリなどのローカル環境に個別でデータを保管しなくてはなりません。ファイルサーバーを構築できればローカル環境にデータを保管する必要がないため、ディスク容量の占有率を削減しつつ、情報共有の円滑化やセキュリティの向上に寄与します。このような特性をもつことから、ファイルサーバーは主に組織内のファイル共有基盤、または重要データのバックアップ基盤として用いられます。

ファイルサーバーをクラウド移行するメリット

総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると、国内でクラウドサービスを導入している企業の割合は68.7%となっています。そして、そのなかでクラウド化している領域として最も多かった回答が「ファイル保管・データ共有」です。具体的には「ファイル保管・データ共有」が59.4%と最も高く、次いで「電子メール」が50.3%、「社内情報共有・ポータル」が44.8%、「スケジュール共有」が43.8%と続きます。

つまり、国内企業のおよそ7割が何らかのクラウドサービスを利用しており、そのなかでもファイルサーバーやストレージなどのクラウド化が進展していると読み取れます。なぜ、多くの企業がファイルサーバーやストレージなど、データの保管・共有といった領域をクラウドシフトしているのでしょうか。その理由として挙げられるのが以下の5つです。

  • ランニングコストを削減できる
  • IT部門の工数削減につながる
  • セキュリティを担保できる
  • テレワークに柔軟に対応可能
  • システム拡張や容量拡大が簡単

ランニングコストを削減できる

ファイルサーバーをクラウド環境に移行する最も大きなメリットはランニングコストの削減です。まず、オンプレミスとクラウドの決定的な相違点は、物理サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの有無といえます。オンプレミス環境にファイルサーバーを構築する場合は物理サーバーやネットワーク機器などを導入し、自社に大規模なITインフラを構築しなくてはなりません。

ITインフラの構築に莫大な導入費用を要するのはもちろん、ハードウェアの施設管理費用や保守・管理の人件費などのランニングコストが発生します。また、セキュリティを担保するために入退室を制限するシステムやガバナンスを整備し、適切な温度や湿度を確保しながらサーバーを継続的に管理しなくてはなりません。ファイルサーバーをクラウド環境に構築することで、物理サーバーやネットワーク機器の保守が不要になるため、ランニングコストの大幅な削減につながります。

IT部門の工数削減につながる

物理サーバーやネットワーク機器などの保守・管理が不要になることで、IT部門の工数を大幅に削減可能です。ファイルサーバーをクラウド化することで、OS・アプリケーションのバージョン管理やセキュリティパッチの検証、ログの監視や障害対応などの保守業務が不要になります。とくに情報システム管理部門の業務負担が大幅に軽減されるため、システム管理における人件費の削減が可能です。

また、情報システム管理部門の保守・管理業務が削減されることで、自社の業績向上や収益性の拡大に直結するコア業務に人的資源を集中的に投入できます。企業が発展していくためには、いかにして経営資源を効率的に活用するかが重要な課題です。情報システム管理部門の業務負担が軽減することで、空いた人的資源をシステムの設計や企画の立案といったコア業務に集中できます。

セキュリティを担保できる

クラウド環境への移行で懸念されるのがセキュリティの脆弱性です。とくに複数のユーザーでリソースを共有するパブリック型のクラウドサービスは、機密情報を管理するITシステムには不向きといえるでしょう。その点においてオンプレミスは独自のセキュリティポリシーを適用できるため、クラウドよりも強固なセキュリティ環境を確立できると言われてきました。

しかし、近年ではクラウドの普及とともにサービスの高度化が進み、厳しいセキュリティ要件に耐えうるソリューションが数多くリリースされています。事実、堅牢なセキュリティ環境が求められる金融業界においても、情報システムのクラウドシフトが進みつつあります。AWSやAzureなどのように、クラウドセキュリティのISO規格を満たすソリューションを選定することで、セキュアなクラウド環境を構築可能です。

テレワークに柔軟に対応可能

ファイルサーバーをクラウド化することで、テレワーク環境における情報共有基盤の構築が可能です。働き方改革の推進や新型コロナウイルスの感染拡大などの影響も相まって、テレワークを導入する企業が増加傾向にあります。とくに新型コロナウイルスの影響は大きく、パーソル総合研究所の調査によると、2020年3月時点で13.2%だったテレワーク実施率が、緊急事態宣言発令後の4月以降には27.9%にまで上昇しています。

オンプレミス型のファイルサーバーは社内ネットワークでしか利用できず、オフィス外での全社横断的な情報共有が非常に困難です。そのため、テレワーク環境における労働生産性が著しく低下します。クラウド型のファイルサーバーであれば、インターネット環境さえあれば時間や場所を問わずにデータにアクセスできるため、テレワーク環境でも円滑な情報共有が可能です。

システム拡張や容量拡大が簡単

クラウドサービスは拡張性の高さも大きなメリットのひとつです。たとえば、オンプレミス型のファイルサーバーが肥大化し、データ容量が足りなくなった場合、システムを拡張するためには物理サーバーを増設しなくてはなりません。ハードウェアの増設費用が必要なのはもちろん、情報機器の発注・設置・テスト・運用・管理といった工数もかかります。

一方でクラウドサービスの場合、オプションサービスを申し込むことで簡単に容量の拡張が可能です。追加費用は必要ですが、オンプレミスなら数週間から数ヶ月の期間を要するシステムの拡張プロセスを数日で完了できます。企業の統合・再編や事業規模の拡大・縮小など、組織体制の変化に対してシステム環境を柔軟に変更できる点はクラウドならではの大きなメリットです。

ファイルサーバーをクラウド移行する注意点

ファイルサーバーのクラウド化はコスト削減やIT部門の業務負担軽減など、さまざまなメリットをもたらしますが、注意すべき点もいくつかあります。たとえば、クラウド型のファイルサーバーは従量課金制のサービスが多いため、組織体制や事業規模の大きな企業ほど多くのコストが必要です。そのため、必ず既存システムのアセスメントを実行し、コストを試算することが重要です。

また、アクセス権限設定や職務分掌などの引き継ぎができないケースが多いため、再度設定が必要という点も留意しなくてはなりません。カスタマイズ性や柔軟性の観点でオンプレミスに大きく劣るため、自社のシステム要件を満たすサービスを選定するための知見も求められます。クラウドシフトを検討する際は、このような注意事項を把握した上でプロジェクトを推進していく必要があります。

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まとめ

ファイルサーバーの主流はオンプレミス型からクラウド型へと移行しつつあります。ITインフラの整備が不要なクラウド型のファイルサーバーであれば、導入費用や管理コストを抑えつつ、セキュアな情報共有基盤の構築が可能です。ぜひ、本記事を参考にしてファイルサーバーのクラウドシフトに取り組んでみてください。

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