AI

医療文書とは?定義と種類、作成時や保管時の注意点を紹介

医療文書とは?定義と種類、作成時や保管時の注意点を紹介

医療現場で作成・管理されている医療文書には、診療録(カルテ)や処方箋、診断書など、さまざまな種類があります。医療文書は単なる記録ではなく、安全な医療を提供するために欠かせないものであり、医療機関の法的な責任を果たす文書です。

本記事では、医療文書の定義や保管期間など、医療関係者が押さえておきたい基本事項を解説します。

医療文書とは?

医療文書とは、診療や看護、検査、処置などの医療行為に関して作成される記録や書類の総称です。患者の状態や治療内容、経過、判断の根拠などを文章として残し、医療の継続性と安全性を支えています。

医療文書は、単なる記録ではありません。医師や看護師、薬剤師など多職種間で情報を共有するためのコミュニケーション手段であり、診療の質を維持するための基盤でもあります。また、医療機関が適切な医療を提供してきたことを示す証拠として、法的な役割を果たす場面もあります。

さらに、患者本人や家族にとっては、診断書や紹介状、退院サマリーなど、治療に対する理解や今後の医療方針を考えるうえで欠かせない情報源です。医療現場において、患者ケアと医療機関運営の両面を支えるために、重要な基盤となるのが医療文書です。

医療文書の種類一覧

医療行為には、医師、看護師、薬剤師など、多くの人が関与するため、それぞれの視点から記録を残す必要があります。医療文書の種類はさまざまであり、目的と記録の対象に応じて使い分けられています。

診療録(カルテ)

診療録は、一般にカルテと呼ばれる医療文書であり、患者ごとの診療内容を時系列で記録したものです。医師が行った診察や診断、治療方針、処方内容などが詳細に記録されている診療録は、医療文書の中でも中心的な存在です。

診療の継続性を確保するためには、診療録が欠かせません。過去の症状や治療経過を把握し、適切な判断につなげます。また、複数の医師や医療機関が関わる場合は、共通の情報基盤としての役割を果たします。

さらに、診療録は医療行為の正当性を示す記録にもなり、内容の正確性や記載漏れがないよう、医師には一定の記載義務が課されています。

処方箋

処方箋は、医師が患者に対して処方する薬剤の内容を記載した医療文書です。薬の名称や用量、用法、投与期間などが記載されており、薬局で調剤を行う際の指示書として機能します。

医療機関で処方箋を受け取った患者が調剤薬局に提出します。薬剤師は処方箋の内容を確認し、必要に応じて医師に疑義照会を行いながら調剤します。処方箋は医師と薬剤師をつなぐ医療文書です。記載内容の正確性が患者の安全に直結します。

診断書

診断書は、医師が患者の病状や診断結果を証明するために作成します。学校や職場への提出、保険請求、各種制度の申請など、さまざまな場面で利用される医療文書です。

診断書には、病名や症状、治療内容、療養期間の目安などが記載されます。用途に応じて記載内容が異なるため、提出先や目的を確認してから作成します。診断書は患者の社会生活に大きな影響を与えるため、慎重に記載しなければなりません。

紹介状

紹介状は、患者を他の医療機関へ紹介する際に作成されます。これまでの診療経過や検査結果、治療内容などをまとめ、紹介先の医療機関へ伝える役割を担います。

紹介状があることで、紹介先の医療機関は患者の情報を把握したうえで診療を開始することが可能です。検査や説明の重複を避けられるため、患者にスムーズな医療を提供できます。近年では、地域医療連携の観点で紹介状の役割が重視されています。

その他の医療文書

上記以外にも、医療現場では多くの医療文書が扱われています。例えば、手術や検査に関する同意書、検査報告書、領収書なども医療文書です。これらの文書は、診療の補助や説明責任の履行、医療機関の事務処理など、さまざまな目的で利用されています。文書ごとの役割を理解し、適切な作成と管理を行いましょう。

医療文書の保管・管理方法

作成した医療文書は適切に保管し、必要なときに正しく参照できる状態を維持しましょう。保管や管理の方法が適切ではない場合、情報漏えいのリスクが高まるだけでなく、診療の質や業務効率の低下につながりかねません。

紙媒体の保管方法

紙で作成された医療文書は、現在でも多くの医療機関で利用されています。診療録、同意書、検査結果の原本など、紙で保管が求められる文書は多くあります。紙媒体の医療文書を保管する際は、環境に注意しなければなりません。

湿気や直射日光は紙の劣化を早めるため、温度や湿度が安定した場所で管理しましょう。第三者が容易に立ち入れない施錠可能なキャビネットや専用書庫を用意し、関係者以外が閲覧できない状態を保つことが基本です。

保管期間が経過した文書を放置すると、保管スペースの圧迫につながるため、定期的に保管状況を確認するようにしましょう。紙媒体の場合、廃棄時にはシュレッダー処理や専門業者による溶解処理など、情報が復元されない方法を選ぶ必要があります。

電子媒体の保管方法(電子カルテ等)

近年は医療文書の電子化が進んでいます。電子媒体で保管するメリットは、検索性と共有しやすい点ですが、紙媒体と異なるリスクがあります。そのため、電子媒体の管理においては、厚生労働省による「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」を遵守した厳格な対応が求められます。

具体的には、IDとパスワードによるアクセス制限、職種や役割に応じた閲覧権限の設定、操作ログの記録などを適切に行い、不正閲覧や改ざんのリスクを抑える必要があります。

また、院外からのアクセスを許可する場合は、ガイドラインに則った通信の暗号化や端末管理が不可欠です。さらに、バックアップ体制の整備も欠かせません。システム障害や災害、サイバー攻撃などに備え、定期的なバックアップを複数の場所に保管するなど、事業継続性の観点からもガイドラインに沿った体制整備が重要となります。

参照:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版

医療文書の保管期間と廃棄方法

医療文書の保管期間は、医師法・医療法や関連法令によって定められています。また、機密性の高い情報となるため、廃棄方法にも厳重な注意が必要です。

例えば診療録は、医師法第24条第2項により、5年間の保存が定められています。処方箋や診療報酬関連書類、検査記録にも、それぞれに決められた保管年限があります。なお、診療録や処方箋などの保管期間は制度改正により変更される可能性もあるため、常に最新情報を確認するようにしましょう。

保管期間を過ぎた医療文書を廃棄する際は、紙媒体の場合、個人情報が外部に漏れないように裁断や溶解処理を行います。電子媒体の場合は、単にデータを削除するだけでなく、復元できない状態にしなければなりません。

参照元:厚生労働省「診療録の保存年限に係る現行法令上の規定について
※P2をご参照ください。

医療文書作成・管理における注意点

医療文書の作成・管理では、正確性や法令遵守、厳格なセキュリティ対策が必要になるため煩雑になりがちです。そのため、紙媒体で管理する場合、検索性の低さや共有の難しさが業務効率の面で負荷となります。煩雑な作業を効率化するには、電子カルテシステムをはじめとするITツールの活用が有効です。

個人情報保護の徹底

医療文書には、氏名、住所、病歴、検査結果などの個人情報が含まれます。そのため、個人情報保護法をはじめとした関連法令を踏まえた管理が欠かせません。具体的には、不要な持ち出しを防ぐ運用、閲覧権限の最小化、第三者提供時のルール整備などが挙げられます。紙媒体と電子媒体のどちらであっても、取り扱う人が増えるほどリスクは高まります。誰がどの情報にアクセスできるのか、明確にしておく必要があります。

記載内容の正確性

医療文書に誤った情報を記載した場合、誤った診療の判断につながる可能性が高まります。また、診断書や紹介状の内容に不備があると、患者や他機関とのトラブルにつながりかねません。業務に追われている状況では、記載漏れをはじめ細かいミスが生じやすくなります。過去の記録を参照しながら文書を作成する場面では、確認作業に時間がかかるため、結果として業務全体が圧迫されるケースも少なくありません。

法令の遵守

医療文書の作成や管理は、複数の法令やガイドラインに基づいて行わなければなりません。医師法や医療法、個人情報保護法など、関連する法律は多岐にわたります。関連法令の条文や厚生労働省のガイドラインなど、参照すべき公式資料を把握しておきましょう。法令は改正されることもあるため、定期的な情報収集と運用の見直しが求められます。

現場では、診療や看護に集中したい一方で、文書作成に追われてしまうという声も少なくありません。こうした課題に対して、生成AIを活用した医療文書作成支援を導入するといった選択肢があります。GaiXer Medical Agent は、電子カルテの診療記録データをもとに、患者ごとの情報を要約し、自然な文章で医療文書の下書きを生成するサービスです。ボタン操作だけで下書きが作成されるため、煩雑になりやすい医療文書作成業務の大幅な業務効率化が期待できます。

  • fb-button
  • line-button
  • linkedin-button

無料メルマガ

CONTACT

Digital Intelligenceチャンネルへのお問い合わせはこちら

TOP