製造業

APM (設備資産パフォーマンス管理) とは? 導入事例や効果を解説

施設設備のパフォーマンスを最適化したい、運用・保守点検の効率化を図りたいなど、設備の問題解決策を検討している企業も少なくないでしょう。この記事では、設備のパフォーマンス、メンテナンスを最適化するAPMソリューションについて、導入事例を交えて解説します。

APM (設備資産パフォーマンス管理) とは? 導入事例や効果を解説

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APM(設備資産パフォーマンス管理)とは?

APMとは、「Asset Performance Management」の略称で、そのまま「アセットパフォーマンスマネジメント」や「設備資産パフォーマンス管理」とも呼ばれます。設備のパフォーマンス、運用・保守点検(O&M:オペレーション&メンテナンス)を管理し、最適化するためのソフトウェアやサービスの一連の流れを指します。
DXが進む近年では、機械や設備の動作データの活用により、稼働状況の管理や発生した問題への対処を適切に実行できる設備環境が求められています。APMソリューションを利用すると、各設備のパフォーマンスをリアルタイムで可視化することや、設備データの統合、分析などが可能です。
これまでは物理的なチェックと経験や知識を用いて行っていた設備管理も、APMの導入により、データの分析結果に基づいた適切な判断で行えることが期待できます。設備の信頼性向上に加え、保全管理コストの最適化や運用リスクの軽減までさまざまなメリットにつなげられます。

APMの導入事例:SCG Chemicals (SCGケミカルズ)

「SCG Chemicals」は、タイで最大の石油化学企業です。同社は、独自の統合オペレーションを活用して、上流工程でのオレフィン製造から下流工程のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル製造を行っています。
工場では、各製品の製造プロセスにおけるひとつの機器の故障が生産プロセス全体の停止につながってしまう問題に悩まされていました。
そこで同社は、製造機器の運用・保守を適切に行うために、設備管理体制の見直しもふまえてDXの導入を開始し、AVEVA社との連携により高度な設備資産パフォーマンス管理を実現するAPMを開発します。
開発したAPMは、機器稼働状況の予測、設備パフォーマンスのモニタリング、高度なメンテナンスの実現を可能にし、計画外のダウンタイムの回避に役立っています。オペレーターがクラウド上のデータとPC上のデータを統合して、プラントの稼働状況を監視・管理し、AI(人工知能)が予知保全を行う効率的な管理体制が構築されました。
開発・導入したプラットフォームにより、現在では、ビッグデータ、AI、機械学習、予知分析の実用的なソリューションの統合に成功し、オペレーターのパフォーマンスが飛躍的に向上しています。
本事例の詳細は、以下の記事で確認できます。

導入効果

SCG Chemicalsの事例では、データ活用によりさまざまな効果が実現しました。設備資産戦略の最適化・修正、情報へのアクセス・可視化などが可能になり、ムダの削減や生産性の向上につながっています。主な導入効果としては以下の4点です。

  • 設備資産の信頼性とパフォーマンスの最適化
    AVEVAの資産パフォーマンス管理は、安定した設備機器の稼働を実現し、設備資産の信頼性と生産性のパフォーマンス最適化につながります。導入により、プラントの信頼性は98%から100%に向上し、予期せぬダウンタイムの発生を防いだことから大幅なコスト削減も実現しました。
    予兆分析機能では、膨大なデータを管理して機器の異常を検知、現在生じている問題点を特定し、設備の故障を事前に予測できます。設備資産を管理・監視する機能により、障害コストも削減します。

  • 作業実施の標準化と安全性リスク管理
    AVEVA導入後には、データの一元管理によりオペレーションとオペレーターの業務効率が向上、プラントの稼働状況が可視化され作業スケジューリングの最適化にもつながりました。作業効率の向上、メンテナンスコストの削減により40%ものコストカットが実現しています。
  • 設備資産戦略の最適化と修正
    IIoTセンサーの収集する膨大なデータを、リアルタイムで分析、確認できる機能により、計画メンテナンスの最適化も可能になりました。不要なメンテナンスを削減した結果、最大で30%のコストカットにもつながっています。
  • 情報へのアクセスと可視化
    設備機器から収集したデータは、単一のデータプラットフォームで管理されます。最新のデータを探す手間がなく、リアルタイムに正しい情報を確認でき、自動レポート機能により情報取得時間を10秒以内に短縮するなど、さまざまなメリットが得られました。

APMソリューション「Digital Reliability Platform」の特徴

SCG Chemicalsの課題解決をサポートしたのが、AVEVAと共同開発したAPMソリューションのDRP(Digital Reliability Platform)です。DRPでは、ビッグデータ、機械学習、AI、予兆分析といった実用的なソリューションが統合されています。エンジニアリングから、オペレーション、メンテナンスまで全ての業務を統合し、最適化を実現します。

AIを活用した予兆分析と仮想プラント

DRPを構成しているコンポーネントの一つ、AVEVA Predictive Analyticsは、機器の動作を監視して蓄積した過去データをもとに、逸脱するオペレーションを検知した際にオペレーターへ警告します。データを統合して機器の稼働状態を可視化する、機器の残存耐用年数を算定するなどの予兆分析を活用すると、高度なメンテナンスが可能です。
データセンターは、オフライン・オンラインデータを統合、管理する一元的なデータ管理プラットフォームです。データセンターに蓄積されている時系列のリアルタイムデータは、収集後分析の精度を高めるためにコンテキスト化してから予兆分析へ活用されます。
さらに、DRPは包括的な機器情報を用いた仮想3Dプラントを備えています。仮想プラントは、リアルなタッチベースの可視化ソリューションとして活用可能です。これにより、稼働シミュレーションの結果から経営幹部が効率的に作業計画を立案でき、緊急事態にも無理なく対応できる体制を整えられます。仮想プラントのデータを共有することで、機器状況、稼働状態などが確認でき、部門間の連携にも役立ちます。

設備資産の信頼性の向上

DRPはオペレーションテクノロジーに関するデジタル、IT、およびオペレーション分野の専門知識を組合わせたツールで、オフラインとオンラインデータを一元的なデータウェアハウスに集約できます。
管理するオンラインデータは、既存のデータベースからリアルタイムに収集されるため、チームがいつでも最新の情報へ短時間でアクセス可能です。トラブルが発生した場合にも必要なデータをすぐに確認でき、迅速な対応で問題の早期解決につなげられます。
オンライン接続されていない設備資産は、タグをつけて管理を行えます。データはAVEVA Mobile Operatorを活用して手動で収集できます。
収集されたすべてのフィールドデータは、業務知識をルールベースに蓄積する「ルールエンジン」を通過し、問題を発見した場合に定められたアクションを起こします。ルールエンジンによって、たとえば通常と大きく異なるオペレーションを検知した際、AIや機械学習による分析を行い、対処方法のアドバイスや実際の対応などで問題解決を図ります。
DRPですべての設備資産情報を単一のインターフェイスに統合してデータを共有、活用できるプラットフォームを実現することで、業務の効率化やコスト削減など、幅広い効果が期待できます。

まとめ

APMは、設備のパフォーマンス、運用・保守点検を管理、最適化するためのビジネスソリューションです。SCG Chemicalsの事例で開発されたDRPでは、オンライン・オフラインデータを収集・統合し、リアルタイムデータを分析することで、設備パフォーマンスの可視化や機器の障害予測などを実現しています。

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