
コンタクトセンターやヘルプデスクの現場では、オペレーターの教育コストや対応記録の管理など、多くの企業が共通の課題を抱えています。本記事では、Amazon Connectと生成AIを組み合わせたソリューション「生成 AI × DX ソリューション for Amazon Connect」の機能や構成、KDDIアイレット株式会社の開発実績についてご紹介します。
コンタクトセンター運営でよくある3つの課題
コンタクトセンターは企業と顧客との重要な接点ですが、運営側では人材育成や品質管理に関するさまざまな悩みを抱える企業が少なくありません。問い合わせ件数の増加や応対チャネルの多様化が進む一方で、現場のリソースには限りがあるためです。ここでは、多くの企業が共通して抱える3つの代表的な課題を取り上げます。
オペレーターの教育に時間とコストがかかる
新人オペレーターが一人前に対応できるようになるまでには、商品知識の習得や対応マニュアルの理解、ロールプレイングなど多くの研修工数が必要になります。特に問い合わせ内容が多岐にわたる窓口では、ベテランの経験知に頼る場面が多く、教育の標準化が難しい状況です。結果として、人材の入れ替わりが発生するたびに同じコストが繰り返し発生する構造になりやすい点も大きな悩みとなります。離職率の高さに直面する企業ほど、教育に費やすリソースが経営課題として重くのしかかります。
問い合わせや対応の証跡が記録として残りにくい
電話対応の内容はオペレーター個人のメモや記憶に依存しがちで、正確な記録として残らないケースが多く見られます。後日クレームが発生した際や対応品質をチェックしたい場合に、通話の詳細が確認できない問題が起きやすくなります。音声録音だけでは内容の検索や分析が難しく、十分に活用しきれていない企業も少なくありません。証跡が残らないままでは、社内のコンプライアンス対応や顧客への説明責任を果たすうえでもリスクとなります。
対応ナレッジが蓄積されず組織の資産にならない
優れた対応事例やよくある質問への回答パターンなど、現場で日々生まれるノウハウが個人の中にとどまり、組織として共有されていないケースがあります。ベテランオペレーターの退職や異動により、せっかく蓄積された知見が失われてしまうリスクも見過ごせません。ナレッジの属人化は、対応品質のばらつきにも直結する課題といえます。新人とベテランの応対差が固定化されると、顧客満足度の低下にもつながりかねず、組織全体としての対応力強化が急務となります。
生成 AI × DX ソリューション for Amazon Connectでコンタクトセンターの課題を解決!
KDDIアイレット株式会社のクラウドソリューション『cloudpack』における本ソリューションの主な機能をご紹介します。なお、実際の開発実績についても記事の後半で詳しくご紹介します。
生成AIがオペレーターに回答候補や説明文を提案する
Amazon Bedrockの生成AI機能を活用し、通話内容をもとにオペレーターへ最適な回答候補や説明文をリアルタイムで提示します。経験の浅いオペレーターでも、AIが提案する情報を参照しながら対応できるため、教育コストの削減と対応品質の底上げを同時に実現できます。研修期間の短縮や対応のばらつき抑制にもつながり、現場全体のサービス水準を均質化する仕組みとして機能します。難しい問い合わせでもAIが補助役として機能するため、オペレーターの心理的な負担軽減にも寄与します。
通話内容をほぼリアルタイムで日本語テキストに変換する
Amazon ConnectとAmazon Transcribeを連携させると、通話中の音声をほぼリアルタイムで日本語テキストに変換できます。オペレーターは手動でメモを取る必要がなくなり、対応そのものに集中できる環境が整います。テキスト化された通話記録は証跡として自動保存され、後からの検索や分析にも活用できる点が大きなメリットです。応対の正確性が向上するとともに、品質管理や教育用のサンプル収集にも役立ちます。特定キーワードでの検索や、対応傾向の集計分析にも応用できます。
検索サービスとの連携で関連情報を自動で提示する
Amazon KendraとAmazon Bedrockを組み合わせると、通話中の問い合わせ内容に関連する社内ドキュメントやFAQを自動で検索し、オペレーターの画面に表示します。いわゆるRAG(検索拡張生成)と呼ばれる仕組みにより、問い合わせ内容に応じて関連性の高い資料が優先表示されるため、ナレッジ活用の幅も広がります。属人化していた知見を全員が引き出せる状態になり、組織としての対応力が高まる効果も期待できます。新たなマニュアル整備や情報共有の手間も大きく軽減されます。
顧客の感情を可視化しデータとして活用する
Amazon Comprehendの自然言語処理により、通話内容から顧客の感情をリアルタイムで分析・可視化します。怒りや不満といったネガティブな感情を早期に検知し、スーパーバイザーへのエスカレーションやフォローアップにつなげる運用が可能になります。蓄積された感情データはサービス改善やVOC(顧客の声)分析にも応用でき、組織全体の対応品質を高める基盤となります。感情の傾向を時系列で把握すれば、商品やサービスの改善ポイントを定量的に検討する材料にもなります。
ソリューションを構成するAWSサービスの全体像
本ソリューションは、クラウドベースのコンタクトセンター基盤であるAmazon Connectを中心に、音声のテキスト変換を担うAmazon Transcribe、生成AIによる回答を生成するAmazon Bedrock、エンタープライズ検索を提供するAmazon Kendra、感情を分析するAmazon Comprehend、そしてコンテンツ配信を最適化するAmazon CloudFrontで構成されています。これらのサービスが連携し、通話の開始からテキスト化、AI回答の生成、関連情報の検索、感情分析までを一気通貫で実現します。複数のサービスをcloudpackが統合してパッケージ化しているため、自社で個別にサービスを組み合わせる手間をかけずに導入できる点も魅力です。AWSのマネージドサービスをベースとしているため、スケーラビリティや可用性の面でも安心して運用できます。サーバーの保守運用に手間をかけずに、コンタクトセンターの機能拡張に注力できるのも大きな利点です。
KDDIアイレットの開発実績
KDDIアイレット株式会社(旧アイレット株式会社)は、AWSプレミアティアサービスパートナーとして「cloudpack」ブランドでクラウドソリューションを提供しています。本ソリューションでは、Amazonの生成AIサービス「Amazon Bedrock」と「Amazon Connect」を活用し、日本語対応を含めたコンタクトセンター向けの仕組みを構築した実績があります。窓口業務やヘルプデスクの運営に課題を感じている企業は、cloudpackの問い合わせ窓口から具体的な導入相談ができます。自社の業務フローや既存システムに合わせた構成設計も相談可能で、要件に応じた柔軟な提案が受けられます。AWSに精通した専門家のサポートを受けながら、効率的にコンタクトセンターのDXを進められます。
まとめ
コンタクトセンター運営で課題となるオペレーターの教育コスト、対応の証跡管理、ナレッジの属人化は、生成AIとAWSサービスを組み合わせれば、効果的に解決できます。「生成 AI × DX ソリューション for Amazon Connect」は、リアルタイムの音声テキスト化、AIによる回答提案、関連情報の自動検索、感情分析という4つの機能で、現場の業務効率と対応品質を同時に高める仕組みを提供します。導入を検討する際は、AWSパートナーとして豊富な実績を持つKDDIアイレット株式会社へ相談されると、自社の課題に合わせた最適な構成を検討しやすくなるでしょう。生成AI時代のコンタクトセンター運営を支えるソリューションとして、現場改革の有力な選択肢となるはずです。










