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【初心者必見】AWSリージョンをわかりやすく解説!失敗しない選び方とリージョン一覧

【初心者必見】AWSリージョンをわかりやすく解説!失敗しない選び方とリージョン一覧

AWSをこれから利用する方や、利用を始めたばかりの方にとって、「リージョン」の選択は避けて通れない最初のステップです。「リージョンってそもそも何?」「たくさんあるけど、どれを選べばいいの?」と悩んでいませんか?リージョン選びは、サービスの応答速度(レイテンシー)や利用料金、さらには準拠すべき法律にも関わる非常に重要な設定です。最初に適切なリージョンを選ばないと、後からパフォーマンス不足やコスト超過といった問題につながる可能性があります。

この記事で分かること

  • AWSリージョンの基本的な意味と役割
  • リージョン選びが重要な3つの理由(速度・料金・法律)
  • 失敗しないAWSリージョンの選び方の具体的な4ステップ
  • 日本国内(東京・大阪)や世界の主要リージョンの特徴

この記事では、AWSリージョンの基本から、アベイラビリティーゾーン(AZ)との違い、失敗しない選び方の具体的なステップまで、初心者にも分かりやすく解説します。結論として、最適なリージョンは「利用ユーザーの所在地」「使いたいサービス」「料金とパフォーマンスのバランス」「障害対策」の4つの観点を総合的に判断して選ぶことが重要です。この記事を読めば、あなたのサービスに最適なリージョンを自信を持って選択できるようになります。

AWSリージョンとは わかりやすく基本を解説

AWSリージョンとは、AWSの各種サービスが提供されている、世界中の物理的なデータセンター群が設置された特定の地理的エリアのことです。 AWSをこれから利用する、あるいは利用し始めたばかりの方が最初につまずきやすいのが、この「リージョン」という概念かもしれません。しかし、リージョンはサービスのパフォーマンスや料金、法律への準拠などに関わる非常に重要な要素です。この章で基本をしっかりと理解しましょう。

リージョンはAWSの物理的な拠点

「クラウド」と聞くと、実体のない仮想的な空間をイメージするかもしれませんが、AWSのサービスは世界中に存在する物理的なインフラストラクチャ(設備)によって支えられています。 その物理的なインフラの中心となるのが「リージョン」です。

リージョンは、東京や大阪、バージニア北部といった国や都市レベルの広い地理的エリアに設置されています。 ユーザーは世界中に点在するリージョンの中から、自身の要件に最も適したものを選んでサービスを利用します。各リージョンは他のリージョンから完全に独立して設計されており、あるリージョンで発生した障害が他のリージョンに影響を及ぼさないようになっています。

アベイラビリティーゾーン(AZ)との違い

リージョンと共によく使われる言葉に「アベイラビリティーゾーン(AZ)」があります。この2つの違いを理解することは、AWSで障害に強いシステムを構築する上で不可欠です。

1つのリージョンは、それぞれが独立した複数のアベイラビリティーゾーン(AZ)で構成されています。 AZとは、1つ以上の独立したデータセンターで構成される単位のことです。 各AZは、それぞれが独立した電源、冷却、ネットワークを備えており、物理的に数kmから最大100km離れた場所に設置されています。 これにより、洪水や火災、停電といった災害や障害が1つのAZで発生しても、他のAZは影響を受けずに稼働を続けられるようになっています。

この関係性を分かりやすく例えるなら、リージョンが「都市」だとすると、アベイラビリティーゾーン(AZ)は「区」のようなイメージです。1つの都市(リージョン)は、複数の区(AZ)で成り立っている、と考えると理解しやすいでしょう。

両者の関係性を以下の表にまとめました。

項目 リージョン (Region) アベイラビリティーゾーン (AZ)
概要 AWSのサービスが提供される、独立した地理的エリア。 リージョン内にある、1つ以上の独立したデータセンター群。
構成 3つ以上のAZで構成されるのが一般的。 1つ以上の物理的なデータセンターで構成。
役割 サービス提供エリアの選択肢。レイテンシー、料金、コンプライアンス要件の基盤となる。 可用性と耐障害性の確保。複数のAZにシステムを分散させることで、単一障害点(SPOF)をなくす。
イメージ 都市(例:東京) 区(例:千代田区、中央区、港区)

このように、AWSではリージョンとAZという2つの概念を組み合わせることで、世界中のユーザーに対して安定的かつ可用性の高いクラウドサービスを提供しています。より詳細な情報については、AWS グローバルインフラストラクチャのページも参考にしてください。

AWSリージョンを選ぶことが重要な3-つの理由

AWSを使い始めるにあたり、リージョンの選択は最初に行うべき重要な設定の一つです。なんとなく選んでしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。リージョン選択がビジネスのパフォーマンスやコスト、さらには法律遵守にまで影響を与えるからです。ここでは、リージョン選びがなぜそれほど重要なのか、3つの具体的な理由を解説します。

理由1 サービスの応答速度(レイテンシー)が変わる

リージョン選びが最も直接的に影響するのが、サービスの応答速度、すなわち「レイテンシー」です。レイテンシーとは、データがユーザーのデバイスからサーバーへ到達し、再び戻ってくるまでの遅延時間を指します。この時間は、物理的な距離に大きく左右されます。

例えば、日本のユーザーがターゲットのウェブサービスを考えてみましょう。サーバーが日本の東京リージョンにあれば、データの往復距離は短く、レイテンシーは小さくなります。その結果、ウェブページの表示は速くなり、ユーザーは快適にサービスを利用できます。しかし、もしサーバーがアメリカのバージニア北部リージョンにある場合、データは太平洋を越えて長距離を移動する必要があるため、レイテンシーが大きくなり、表示速度が遅くなってしまいます。サービスの応答速度はユーザー体験(UX)に直結し、ECサイトの売上やアプリの継続利用率など、ビジネスの成果を大きく左右する重要な要素です。

理由2 リージョンごとにサービス料金が異なる

驚くかもしれませんが、同じAWSのサービスを利用しても、選択するリージョンによって料金は異なります。これは、各国の電力料金、土地代、人件費、税制などのコストが異なるためです。 そのため、コストを重視する場合は、複数のリージョンの料金を比較検討することが不可欠です。

例えば、代表的な仮想サーバーサービスである「Amazon EC2」の料金を比較してみましょう。一般的に、バージニア北部(us-east-1)やオレゴン(us-west-2)などの北米リージョンは、他のリージョンに比べて料金が安価な傾向にあります。 以下は、特定のインスタンスタイプにおける料金の比較例です(実際の料金は常に変動するため、あくまで傾向としてご覧ください)。

リージョン インスタンスタイプ(例: t3.micro)のオンデマンド料金(1時間あたり)
米国東部(バージニア北部) $0.0104
アジアパシフィック(東京) $0.0152
欧州(アイルランド) $0.0108

このように、リージョンによって料金に差があることがわかります。ただし、前述のレイテンシーとのトレードオフになるため、単純に料金が安いという理由だけで遠くのリージョンを選ぶのではなく、パフォーマンスとのバランスを考えることが重要です。

理由3 国や地域の法律(データ主権)に対応するため

どのリージョンにデータを保存するかは、コンプライアンス、特に「データ主権(データレジデンシー)」の観点から極めて重要です。データ主権とは、データがその国や地域の法律、規制の対象となるという考え方です。 国によっては、国民の個人情報や特定のデータを国内に保存することを法律で義務付けている場合があります。

その最も代表的な例が、EUの「GDPR(一般データ保護規則)」です。 GDPRは、EU居住者の個人データを保護するための厳格な規則であり、違反した場合には高額な制裁金が科される可能性があります。 欧州のユーザーを対象とするサービスで個人データを扱う場合、データをEU域内のリージョン(例:フランクフルト、アイルランド)に保存することで、GDPRのデータ所在地要件への対応が容易になります。 日本においても個人情報保護法があり、データの国外移転には一定のルールが定められています。金融や医療、公共分野など、特に規制の厳しい業界では、国内のリージョンを選択することが必須となるケースも少なくありません。このように、ビジネスを展開する国や地域の法律を遵守するために、適切なリージョンを選択する必要があるのです。

失敗しないAWSリージョンの選び方 4つのステップ

AWSリージョンの選定は、システムのパフォーマンス、コスト、そしてコンプライアンスに直接影響を与える非常に重要な最初のステップです。一度リージョンを決定すると、後からの変更は簡単ではありません。ここでは、ビジネス要件に合わせて最適なリージョンを選ぶための、実践的な4つのステップを詳しく解説します。

①サービス提供の対象ユーザーを明確にする

リージョン選びの最も基本的な判断基準は、サービスを誰に提供するのか、つまりエンドユーザーがどこにいるかです。ユーザーと物理的に近いリージョンを選択することで、データの通信にかかる時間(レイテンシー)を最小限に抑えることができます。

  • 国内ユーザーが中心の場合: 東京リージョン(ap-northeast-1)または大阪リージョン(ap-northeast-3)を選択するのが一般的です。これにより、快適な応答速度をユーザーに提供できます。
  • 海外の特定地域のユーザーが中心の場合: 例えば、北米のユーザーがターゲットであれば米国東部(バージニア北部)リージョンや米国西部(オレゴン)リージョン、ヨーロッパであればフランクフルトリージョンやロンドンリージョンなどが候補になります。
  • グローバルにサービスを展開する場合: 主要なユーザーがいる各地域にシステムを分散させる「マルチリージョン構成」を検討します。例えば、日本のユーザー向けに東京リージョン、北米ユーザー向けにバージニア北部リージョンをそれぞれ利用するといった構成です。

レイテンシーはウェブサイトの表示速度やアプリケーションの応答性に直接影響し、ユーザー体験(UX)を大きく左右するため、最初のステップとして必ず考慮しましょう。

②利用したいAWSサービスが提供されているか確認する

AWSの全てのサービスが、全てのリージョンで同じように提供されているわけではありません。特に、最新のサービスや特定の高度な機能は、まず米国東部(バージニア北部)などの主要なリージョンで先行してリリースされる傾向があります。

システム構築で利用したいサービスが、選定候補のリージョンで利用可能かどうかを事前に確認することは不可欠です。例えば、最新のAI・機械学習サービスや、特定のデータベースエンジン、特殊なインスタンスタイプを使いたい場合、東京リージョンではまだ提供されていない可能性があります。

利用したいサービスが提供されているかは、AWS公式の「リージョン別のサービス提供状況」のページで確認できます。設計段階でこの確認を怠ると、後で構成の変更を余儀なくされる可能性があるため注意が必要です。

③料金とパフォーマンスのバランスを比較する

AWSのサービス料金はリージョンごとに異なります。 一般的に、米国東部(バージニア北部)リージョンのような規模の大きいリージョンは、他のリージョンに比べて料金が安価な傾向にあります。 そのため、開発環境やテスト環境、あるいはレイテンシーがそれほど重要でない社内システムなどでは、コスト削減のために海外リージョンを選択することも有効な手段です。

しかし、日本のユーザー向けサービスで海外リージョンを利用すると、レイテンシーの増大によりパフォーマンスが低下する可能性があります。 コストの安さだけを追求するのではなく、求めるパフォーマンス要件とのバランスを考えることが重要です。

具体的な料金の比較検討には、AWSが提供する「AWS Pricing Calculator」という公式の料金計算ツールを活用しましょう。このツールを使えば、利用したいサービスとインスタンス構成で、各リージョンにおける月額料金の概算を簡単に比較できます。

表:主要リージョンの料金比較(例)
リージョン EC2インスタンス (t3.micro) 1時間あたりの料金 (USD) 特徴
米国東部(バージニア北部) $0.0104 料金が最も安価な傾向。最新サービスが最初に提供されることが多い。
アジアパシフィック(東京) $0.0152 日本のユーザー向けで低レイテンシー。提供サービス数も豊富。
欧州(フランクフルト) $0.0120 ヨーロッパのユーザー向けで低レイテンシー。データ主権の要件にも対応。

※上記料金は一例であり、実際の料金はAWSの公式サイトでご確認ください。

④ 障害対策や冗長性を考慮する

システムの可用性を高め、大規模な自然災害やリージョン全体に影響が及ぶような障害に備えるためには、複数のリージョンを組み合わせた構成(マルチリージョン)が有効です。 これをディザスタリカバリ(DR)と呼びます。

例えば、メインのシステムを東京リージョンで稼働させ、バックアップや待機系システムを大阪リージョンに配置する構成が考えられます。 こうすることで、万が一東京リージョンで大規模な障害が発生しても、大阪リージョンに切り替えることでサービスの継続が可能になります。

マルチリージョン構成を検討する際のポイント:

  • 目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)の定義: 障害発生時に「どれくらいの時間で復旧させるか(RTO)」、「どの時点のデータまで復旧させるか(RPO)」という事業継続計画(BCP)上の目標を明確にします。
  • データ転送コストの考慮: リージョン間でデータを同期・転送する際には、データ転送料金が発生します。DR戦略を検討する際は、このコストも見積もりに含める必要があります。
  • 構成の複雑化: マルチリージョン構成は可用性を高める一方で、システムの設計や運用が複雑になります。ビジネスの重要度に応じて、適切なDR戦略を選択することが求められます。

これらの4つのステップを順に検討することで、自社のサービスやシステムに最も適したAWSリージョンを、論理的かつ戦略的に選択することができるでしょう。

日本のAWSリージョン 東京と大阪の特徴

日本国内には、AWSの物理的な拠点であるリージョンが「東京」と「大阪」の2ヶ所に存在します。 どちらもアジアパシフィックリージョンに属しており、日本のユーザーがAWSを利用する際の主要な選択肢となります。 システムの要件やユーザーの所在地に応じて適切なリージョンを選択することが、快適なサービス提供の鍵となります。

それぞれのリージョンの基本的な情報は以下の通りです。

項目 東京リージョン 大阪リージョン
正式名称 アジアパシフィック(東京) アジアパシフィック(大阪)
リージョンコード ap-northeast-1 ap-northeast-3
開設年 2011年 2021年(フルリージョンとして)
アベイラビリティーゾーン(AZ)数 4 3

東京リージョン(ap-northeast-1)

2011年3月に開設された、日本で最初のAWSリージョンです。 長年の運用実績があり、国内の多くの企業や開発者に利用されています。アベイラビリティーゾーン(AZ)は4つ提供されており、高い可用性と耐障害性を備えたシステムを構築できます。

東日本を中心としたユーザーにサービスを提供する場合は、物理的な距離が近いため通信の遅延(レイテンシー)を最小限に抑えることができ、最適な選択肢となります。また、新しいAWSサービスが最初に展開される傾向があるため、最新技術をいち早く利用したい場合にも有利です。ただし、利用したいサービスが大阪リージョンでも提供されているか、事前に確認することが重要です。

大阪リージョン(ap-northeast-3)

大阪リージョンは、当初2018年に災害対策(DR)を目的とした「ローカルリージョン」として限定的に開設されました。 その後、ユーザーからの強い要望に応える形で機能を拡張し、2021年3月に3つのAZを持つ標準的なフルリージョンとして正式にオープンしました。

このフルリージョン化により、誰でも自由に利用できるようになっただけでなく、東京リージョンとほぼ同等のサービスが提供されるようになり、単独でも高可用性なシステムを構築可能になりました。

大阪リージョンの最大のメリットは以下の2点です。

  • 西日本ユーザーへの低レイテンシー:物理的に西日本に近いユーザーに対して、より高速なレスポンスを提供できます。
  • 高度な災害対策(DR):東京リージョンから約400km離れているため、大規模な自然災害が発生した際に、もう一方のリージョンで事業を継続する「ディザスタリカバリ(DR)」の拠点として非常に有効です。 国内のデータ主権要件を満たしつつ、リージョンレベルでの障害に備えることができます。

料金については、東京リージョンと大阪リージョンの間で大きな価格差は基本的にありません。 そのため、主にレイテンシーと災害対策の観点から、自社のサービスに最適なリージョンを選択することが推奨されます。

世界の主要AWSリージョン一覧

AWSは、世界中のデータセンター群である「リージョン」を各地に設置し、グローバルなクラウドインフラストラクチャを展開しています。 どこからでも低遅延で安定したサービスを提供できるのがAWSの大きな強みです。リージョンはそれぞれが完全に独立しており、特定のリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が及ばない設計になっています。

ここでは、世界の主要なリージョンを地域ごとに分けてご紹介します。リージョン名は「アジアパシフィック(東京)」のような地理的な名称、リージョンコードは「ap-northeast-1」のような一意の識別子で表されます。 最新のリージョン情報や、すべてのリージョンの一覧については、AWS グローバルインフラストラクチャの公式ページで確認することをおすすめします。

アジアパシフィック

アジアパシフィック地域は、日本を含むアジア各国のユーザーにとって、サービスの応答速度(レイテンシー)の観点から最も重要なエリアです。 特に日本のユーザーがサービスを展開する場合、東京リージョンまたは大阪リージョンが第一の選択肢となるでしょう。 近年、東南アジアやインドの経済成長に伴い、新たなリージョンの開設が続いています。

リージョン名 リージョンコード 場所
アジアパシフィック (東京) ap-northeast-1 日本・東京
アジアパシフィック (大阪) ap-northeast-3 日本・大阪
アジアパシフィック (ソウル) ap-northeast-2 韓国・ソウル
アジアパシフィック (シンガポール) ap-southeast-1 シンガポール
アジアパシフィック (シドニー) ap-southeast-2 オーストラリア・シドニー
アジアパシフィック (ジャカルタ) ap-southeast-3 インドネシア・ジャカルタ
アジアパシフィック (香港) ap-east-1 中国・香港特別行政区
アジアパシフィック (ムンバイ) ap-south-1 インド・ムンバイ

北米

北米は、AWSが最初にサービスを開始した地域であり、現在でも最大規模のリージョンが存在します。特に「米国東部(バージニア北部)」リージョンは、最も歴史が古く、多くの新サービスが最初に提供される傾向にあります。 そのため、最新の機能をいち早く利用したい場合や、グローバルで大規模なサービスを展開する際の中心的な拠点として選ばれることが多いです。

リージョン名 リージョンコード 場所
米国東部 (バージニア北部) us-east-1 アメリカ・バージニア州北部
米国東部 (オハイオ) us-east-2 アメリカ・オハイオ州
米国西部 (オレゴン) us-west-2 アメリカ・オレゴン州
米国西部 (北カリフォルニア) us-west-1 アメリカ・カリフォルニア州北部
カナダ (中部) ca-central-1 カナダ・モントリオール

欧州・中東・アフリカ

ヨーロッパ地域では、GDPR(EU一般データ保護規則)のようなデータ主権に関する法規制への対応が重要なポイントとなります。AWSはフランクフルト、アイルランド、ロンドンなど欧州の主要都市にリージョンを設置しており、各国のコンプライアンス要件を満たしながらサービスを提供することが可能です。中東やアフリカにもリージョンが開設され、より広い地域でビジネスを展開できるようになっています。

リージョン名 リージョンコード 場所
欧州 (アイルランド) eu-west-1 アイルランド
欧州 (フランクフルト) eu-central-1 ドイツ・フランクフルト
欧州 (ロンドン) eu-west-2 イギリス・ロンドン
欧州 (パリ) eu-west-3 フランス・パリ
欧州 (ストックホルム) eu-north-1 スウェーデン・ストックホルム
中東 (バーレーン) me-south-1 バーレーン
アフリカ (ケープタウン) af-south-1 南アフリカ・ケープタウン

AWSリージョンに関するよくある質問

AWSリージョンは後から変更できますか?

いいえ、一度リソース(EC2インスタンスなど)を作成したリージョンを後から直接変更することはできません。 リージョンはAWSの物理的なデータセンターの場所と完全に紐づいているため、システムを稼働させたままボタン一つで別のリージョンに移動する、といった機能は提供されていません。

もし、異なるリージョンにリソースを移動したい場合は、手動での移行作業が必要になります。 具体的には、次のような手順を踏むのが一般的です。

  • データのバックアップ: 現在のリージョンで稼働しているサーバーのデータや設定を、スナップショットなどの機能を使ってバックアップします。
  • データのコピー: バックアップしたデータを、移行先の新しいリージョンにコピーします。
  • リソースの再作成: 移行先のリージョンで、コピーしたデータをもとにサーバーなどのリソースを新しく作成・設定します。
  • 動作確認と切り替え: 新しいリージョンでシステムが正常に動作することを確認し、DNSの設定変更などを行いアクセスを切り替えます。

このように、リージョンの変更には手間と時間がかかるため、最初のリージョン選択が非常に重要になります。サービスの目的やターゲットユーザーを明確にし、慎重に選定しましょう。

日本で利用する場合のおすすめリージョンはどこですか?

日本国内のユーザーを主な対象とするサービスであれば、基本的には「東京リージョン(ap-northeast-1)」の利用が最もおすすめです。 物理的にユーザーとの距離が近いため、通信の応答速度(レイテンシー)を最小限に抑えることができ、快適なサービス提供につながります。

もう一つの国内拠点である「大阪リージョン(ap-northeast-3)」は、主に次のような目的で活用されます。

  • 東京リージョン
    日本の主要リージョンであり、ほとんどのAWSサービスが利用可能です。国内ユーザー向けのサービスを提供する際の第一選択肢となります。
  • 大阪リージョン
    主に災害対策(DR: Disaster Recovery)の拠点として利用されます。東京リージョンで大規模な障害が発生した場合に備え、大阪リージョンにバックアップを置くことで、サービスの継続性を高めることができます。また、西日本のユーザーからのアクセス速度を重視する場合にも有効です。

どちらのリージョンを選ぶかは、サービスの要件によって決まります。可用性や事業継続計画(BCP)を重視する場合は、東京と大阪の両リージョンを組み合わせた構成を検討しましょう。

どのリージョンを選んでも同じAWSサービスが使えますか?

いいえ、すべてのリージョンで同じAWSサービスが利用できるわけではありません。

AWSの新しいサービスや最新機能は、まず米国東部(バージニア北部)などの特定の主要リージョンで先行して提供が開始され、その後、他のリージョンへ順次展開されていくのが一般的です。 そのため、利用したい特定のサービスが、選ぼうとしているリージョンでまだ提供されていない可能性があります。

例えば、最新のAI関連サービスや特定のデータベースエンジンを使いたい場合、東京リージョンではまだ対応しておらず、米国リージョンを選択する必要があるかもしれません。AWSを利用する際は、必ず公式サイトで利用したいサービスが目的のリージョンで提供されているかを確認してください。

各リージョンで利用可能なサービスの最新情報は、AWS公式の「リージョン別のサービス」ページで確認できます。

リージョン選びはコストにどれくらい影響しますか?

はい、リージョンによってAWSサービスの料金は異なり、コストに大きく影響します。 各国の電力料金、土地代、税制などの違いがサービス価格に反映されるため、同じスペックのリソースを利用しても、リージョンが違えば月々の支払い額も変わってきます。

一般的に、米国リージョン(例:バージニア北部、オレゴン)は他のリージョンに比べて料金が安価に設定されていることが多いです。 以下は、代表的なEC2インスタンス(t3.micro)のオンデマンド料金を比較した一例です(料金は変動する可能性があるため、あくまで目安です)。

リージョン 1時間あたりの料金(USD) 東京リージョンとの料金差(目安)
米国東部(バージニア北部) $0.0104 約25%安い
アジアパシフィック(東京) $0.0138 -

このように、サーバーを長時間稼働させる場合、リージョンの選択がコストに与える影響は無視できません。ただし、料金だけでリージョンを選ぶのは推奨されません。海外リージョンは日本からの通信速度が遅くなる可能性があるため、パフォーマンス(応答速度)とコストのバランスを総合的に判断することが重要です。

正確なコストを把握するためには、AWSが提供する「AWS Pricing Calculator」などの公式ツールを活用し、事前に詳細な見積もりを行うことを強くおすすめします。

まとめ

本記事では、AWSを初めて利用する方に向けて、リージョンの基本的な概念から、ビジネス要件に合わせた失敗しない選び方までを網羅的に解説しました。AWSを効果的に活用するためには、どのリージョンを選択するかが非常に重要な第一歩となります。

この記事で解説した重要なポイントを以下にまとめます。

  • AWSリージョンとは:AWSがサービスを提供する物理的な拠点(地理的エリア)であり、複数の独立したデータセンター群であるアベイラビリティーゾーン(AZ)から構成されています。
  • リージョン選びが重要な理由:ユーザーへの応答速度(レイテンシー)、サービスごとの料金、そして各国のデータ関連法規(データ主権)という3つの重要な要素に直接影響するためです。
  • 失敗しない選び方のステップ:まず「①対象ユーザーの所在地」を明確にし、「②利用したいサービスの提供状況」を確認します。その上で「③料金とパフォーマンスのバランス」を比較し、最後に「④障害対策や冗長性」を考慮することが最適な選択につながります。
  • 日本の主要リージョン:国内ユーザーを対象とする場合、提供サービスが最も豊富な「東京リージョン」が第一候補となります。西日本からのアクセスやDR(災害復旧)対策を考慮する場合は「大阪リージョン」も重要な選択肢です。

リージョンの選択は、一度リソースを構築すると後からの変更が難しい場合が多いため、初期段階での慎重な検討が不可欠です。しかし、今回ご紹介したステップを踏むことで、技術的な背景やビジネス要件に合わせて、自信を持って最適なリージョンを選ぶことができるようになります。

さあ、この記事で得た知識を活かして、あなたのプロジェクトに最適なAWSリージョンを選定し、快適で効率的なクラウド活用をスタートさせましょう!

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