セキュリティ

Webサイトの脆弱性とは?脆弱性の種類一覧と、今すぐやるべき対策6選

Webサイトの脆弱性とは?脆弱性の種類一覧と、今すぐやるべき対策6選

Webサイトの脆弱性には、情報漏えいや改ざん、サービス停止などの深刻な被害につながるリスクがあります。特に企業サイトの場合は、信頼や収益に直接影響する重大な問題となる可能性があるため、注意が必要。そこで本記事では、代表的な脆弱性の種類とその特徴を解説するとともに、すぐに実践すべき6つの基本的な対策を紹介します。

Webサイトの脆弱性とは?初心者にもわかる基本解説

Webサイトの脆弱性とは、設計や設定に生じた 「すき間」 のようなもので、悪意のある第三者による攻撃が原因となります。これを放置すると、顧客情報の漏えいやページの改ざん、サービス停止といった深刻な被害が発生し、企業の信頼や収益にも大きな打撃を与えかねません。

脆弱性は単なる技術的な問題ではなく、企業経営に直結する重大なリスク。Webサイトを安全に運営するためには、脆弱性を早期に発見し、適切な対策を講じることが不可欠です。

脆弱性は単体のWebだけで完結しません。社内ネットワークや認証基盤、クラウド設定とも連動しているため、IS部門は「全社セキュリティポリシー」と運用基準(更新、公開、廃止のルール)を定め、サイト横断で統制・監査できる仕組みを整えることが重要です。

Webサイトの脆弱性一覧|代表的な攻撃手法と特徴

攻撃手法は多岐にわたるため、IS部門はログ設計(誰が・いつ・何を・どこから)と保存期間の統一、SIEM/SOAR連携を前提にした監視の標準化(検知ルールの共通化)を行い、インシデントの早期検知と横展開を可能にします。ここでは、代表的なWebサイトの脆弱性を取り上げ、それぞれの特徴を解説します。

SQLインジェクションとは?仕組みと防止策

SQLインジェクションとは、Webサイトの入力欄に巧妙に作成したSQL文を入力し、データベースを不正に操作する攻撃方法。この攻撃により、顧客の個人情報やクレジットカード情報が盗まれたり、保存されているデータが改ざんされたりする危険性があります。

対策としては、入力値を適切に検証することに加え、プリペアドステートメント(あらかじめSQL文の構造を定義し、後から値を埋め込む方式)を利用することが重要です。

XSS(クロスサイトスクリプティング)とは?危険性と対策

XSS(クロスサイトスクリプティング)は、ユーザーが細工されたWebページを開いた際に、悪意のあるスクリプトが自動的に実行される攻撃手法。この結果、Cookie(クッキー)などの情報が盗まれたり、偽のサイトに誘導されてパスワードを入力させられたりなど、重大な被害につながる可能性があります。

XSSを防ぐには、Webページに表示する際のエスケープ処理や、信頼できない入力データの除去・無効化といった対策が不可欠です。

OSコマンドインジェクションとは?攻撃の仕組み

OSコマンドインジェクションとは、Webアプリケーションの脆弱性を突いて、外部からOS(オペレーティングシステム)のコマンドを実行させる攻撃手法。例えば、入力欄に巧妙に仕組まれたコマンドを入力されることで、個人情報の漏えいやマルウェア(悪意のあるソフトウェア)の侵入など、システム全体に深刻な被害をもたらす恐れがあります。

このような攻撃を防ぐには、入力値の厳格な検証や、外部コマンドの使用制限といった対策が不可欠です。

ディレクトリトラバーサルとは?防御方法

ディレクトリトラバーサルとは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用し、「../」などの記号を利用して、本来は閲覧できない設定ファイルやパスワードファイルなどに不正アクセスする攻撃手法。この攻撃により、機密情報が外部に漏えいしたり、IDやパスワードが流出してアカウントが乗っ取られたりするなど、深刻な被害につながる可能性があります。

対策としては、パスの正規化を行い、アクセス制限を適切に設定することが不可欠です。

CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)とは?リスクと対策

CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)とは、ログイン中のユーザーになりすまし、本人の意図しない操作を実行させる攻撃手法。例えば、ユーザーが気づかないうちに商品を購入されたり、退会処理やパスワードの変更を強制されたりする可能性があります。また、掲示板などに悪質な書き込みを行われるといった被害も報告されています。

このような攻撃を防ぐには、トークンによるリクエストの正当性確認や、Referer(リファラ)ヘッダのチェックといった対策が有効です。

HTTPヘッダインジェクションとは?発生原因と防止策

HTTPヘッダインジェクションとは、Webアプリケーションのレスポンスヘッダに、攻撃者が任意のヘッダやレスポンスボディを追加できてしまう攻撃手法。

主な原因は、ユーザー入力に含まれる改行コード(CR〈\r〉やLF〈\n〉)を正しく処理できていないことにあります。これにより、セッションハイジャックや偽サイトへの誘導、キャッシュの改ざんなどの被害が発生するおそれがあります。

このような攻撃を防ぐには、改行コードの無効化や、ユーザー入力の厳格な検証が非常に重要です。

セッション管理不備とは?安全な管理方法

セッション管理不備とは、セッションIDの生成・送受信・破棄の方法に問題がある状態を指します。例えば、簡単に予測できるIDの使用、暗号化されていない通信やURLでの送受信、ログアウト後もIDが有効なまま、などが典型例。

こうした不備は不正アクセスを招くため、複雑なIDの採用、HTTPSの使用、適切なタイムアウト設定など、安全なセッション管理が不可欠です。

不適切なアクセス制御とは?権限管理の重要性

アクセス制御の不備とは、ユーザー認証や利用者の権限に応じた制限が正しく設計・実装されていないため、本来アクセスできない情報や機能に不正にアクセスできてしまう状態を指します。例えば、メールアドレスだけで個人情報を閲覧したり、URLを書き換えることで他人の注文情報が見られたりするケースが代表的です。

このようなリスクを防ぐには、認証だけでなく認可制御も含めた多層的な防御が欠かせません。

Webサイトの脆弱性が生まれる原因とリスク

Webサイトの脆弱性は、設計段階での見落としや開発中のミス、セキュリティパッチの未適用、外部サービスとの連携時に生じる予期せぬ抜け穴など、さまざまな原因で発生。これらを放置すると、個人情報の流出、顧客データの損失、検索順位の低下、さらには企業の信用失墜といった深刻なリスクにつながります。脆弱性対策は「やるかやらないか」ではなく、必ず実施すべき重要な取り組みです。

Webサイトの脆弱性対策6選|今すぐできるセキュリティ強化方法

Webサイトの脆弱性は情報漏えいや不正操作だけでなく、金銭的損害や企業の信用失墜、あるいは法的責任を問われる事態になることも。こうした被害を防ぐには、早期の対策が不可欠です。

ここでは、以下の信頼性の高い情報源をもとに、今すぐ実践すべき基本的な対策を6選紹介します。

(参照元:https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/sitecheck.html

Webアプリケーションの対策(入力値検証・エスケープ処理)

Webアプリケーションの安全性を保つには、入力値の検証やデータのエスケープ処理に加え、サイト全体の管理も重要。例えば、CMSやプラグインは常に最新の状態に保ち、不要なページやファイルは速やかに削除するなどの対策は行いましょう。設定ファイルの誤公開や古いページの放置は、攻撃者の侵入を招く原因になります。

また、ログを定期的に確認することも、不正アクセスの早期発見に有効。こうした基本対策の積み重ねが、安全なWeb環境づくりの土台となります。

開発側の実装対策に加え、IS部門はセキュア開発ライフサイクル(SDL)の導入、プルリク段階のセキュリティレビューとSAST/DASTのゲート化(合格しないとリリース不可)を運用し、漏れのない品質担保を実現します。

Webサーバのセキュリティ対策(パッチ適用・不要サービス停止)

Webサーバの防御力を高めるには、OSやミドルウェアを定期的に更新し、脆弱性が悪用される前に修正パッチを適用することが重要。不要なサービスや古いアプリケーションは速やかに停止・削除しましょう。

さらに、推測されにくいパスワードの設定や、ファイル・ディレクトリへの厳格なアクセス制限も不可欠。これらの対策を徹底することで、外部からの侵入リスクを大幅に低減できます。

パッチは「適用までの平均時間(MTTP)」で管理し、脆弱性の重大度(CVSS)×露出面で優先度を可視化。変更管理(CAB)と構成管理(CMDB)を紐付け、資産台帳ベースで未適用をゼロにする運用を行います。

ネットワークのセキュリティ対策(WAF・HTTPS化)

ネットワークの安全性を高めるには、外部との境界にファイアウォールを設置し、不要な通信を確実に遮断することが不可欠。さらに、WebアプリケーションにはWAF(Web Application Firewall)を導入し、不正なアクセスを検知・遮断する必要があります。

WAFは検知→遮断→チューニングの運用サイクルが鍵。証明書管理は有効期限の自動監視と失効テストを定期化し、CDN・DNS・DDoS防御まで含む境界〜クラウド一体の設計を標準化します。

また、HTTPS化によって通信内容の盗聴を防ぐことも重要です。これらの対策に加え、設定の定期的な見直しやログの確認も、情報資産を守るうえで欠かせません。

脆弱性診断サービスによるリスク可視化

診断は年次定期+リリース前スポットの二本立てで計画。結果はリスク受容/回避/低減で意思決定し、是正計画(オーナー・期限・予算・優先度)をチケット化して是正率と再発率をKPI管理します。サイバー攻撃が高度化する現代において、定期的なセキュリティ診断は企業の防御力を高めるうえで不可欠です。脆弱性診断により、見えにくいリスクを可視化し、早期に対策を講じることで、情報漏えいや業務停止といった深刻な被害を未然に防ぐことができます。

PSC社の「ピーエスシー脆弱性診断サービス」は、国産ツール「Vex」による高精度な自動検査と、専門技術者による手動シナリオ診断を組み合わせたハイブリッド型のサービス。スピード・価格・サポートのバランスに優れ、企業の信頼性と事業継続を支える、実用的かつ効果的なセキュリティ対策です。

開発者教育とセキュリティレビュー

開発段階での設定ミスや認識不足は、重大なセキュリティ脆弱性につながる恐れが。これを防ぐには、開発者への継続的なセキュリティ教育が不可欠です。

さらに、GitHub、クラウド環境、OS、WordPressなどの使用環境についても、定期的なセキュリティレビューを実施することが重要。専門家によるレビューを受けることで、設定ミスや潜在的リスクを早期に発見し、情報漏えいや攻撃被害を未然に防げます。

教育は座学だけでなく、社内CTF/フィッシング演習/コードレビュー同席など実践型に。ローコード/生成AIの利用ガイドラインを整備し、プロンプトや生成物の機密区分・著作権・個人情報の取り扱いを明示しましょう。

ゼロトラストモデルの導入検討

従来のセキュリティ対策は、「社内は安全、社外は危険」とみなし、境界防御に重点を置いていました。しかし、ゼロトラストモデルはこの前提を覆し、すべてのアクセスを「信頼せず、必ず検証する」ことが基本に。ユーザー・デバイス・通信経路ごとに安全性を確認しながら、情報資産を保護するのが特徴です。

現在ではテレワークやクラウドサービスの普及により、境界型防御では対応しきれないリスクが増加。そのため、今一度ゼロトラストの視点からセキュリティ対策を再構築することを検討すべきでしょう。

ゼロトラストは概念導入で終わらせず、ID基盤統合(SSO/MFA)→端末健全性(MDM/EDR)→ネットワーク分割(マイクロセグメント)→継続的認証のロードマップを示し、段階的に成熟度を上げます。

まとめ

技術対策・運用・教育・ガバナンスを統合した管理(ポリシー、標準、監査、KPI)を敷くことで、Webの個別対策を全社のセキュリティ能力向上に貢献。CSIRT/SOCとの連携と継続的改善を前提に、攻撃耐性と事業継続性を同時に高めます。

Webサイトの脆弱性は、企業経営に直接影響を与える重大なリスクであり、対策が欠かせません。入力値の検証やWAFの導入、脆弱性診断サービスの活用などにより、常にリスクを可視化し適切に対応することが、安全な運営の鍵となることでしょう。

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