
Amazon CodeWhispererは、Amazonが提供するAIを活用したコーディング支援ツールです。コメントや既存のコードから文脈を理解し、リアルタイムでコードの提案や補完を行うことで、開発者の生産性を飛躍的に向上させます。特に、人気のAIコーディング支援ツール「GitHub Copilot」との違いや、どちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事で分かること
- Amazon CodeWhispererの概要と、GitHub Copilotとの具体的な違い
- 個人なら無料で使える料金プランと、有料プランでできること
- VS Codeなどへの具体的な導入手順と、基本的な使い方
- セキュリティスキャンやAWS連携など、開発効率を高める便利な機能
本記事では、Amazon CodeWhispererの基本概要から、注目の特徴、料金プラン、具体的な始め方、使い方、対応言語まで、あなたが知りたい情報を網羅的に解説します。この記事を最後まで読めば、CodeWhispererを今日から使いこなし、開発効率を劇的に改善するための全ての知識が手に入ります。
Amazon CodeWhispererとは?
Amazon CodeWhispererは、Amazon Web Services (AWS) が開発した、AIを活用してリアルタイムでコード生成を支援するコーディングツールです。 数十億行ものコードでトレーニングされたAIが、開発者が書くコメントや既存のコードの文脈を理解し、次に続くコードスニペットから関数全体まで、最適なコードを自動で提案します。 これにより、開発者はコーディングの速度と効率を劇的に向上させることが可能になります。
単なるコード補完ツールとは異なり、セキュリティの脆弱性をスキャンする機能や、提案されたコードがどのオープンソースライセンスに基づいているか追跡する機能なども備えており、より安全で信頼性の高いソフトウェア開発を実現します。 個人開発者は無料で利用を開始でき、VS CodeやJetBrains系のIDEなど、多くの開発環境に対応している点も大きな魅力です。
GitHub Copilotとの違いを比較
Amazon CodeWhispererを検討する上で、最も比較対象となるのが「GitHub Copilot」です。どちらもAIによる強力なコーディング支援ツールですが、得意な領域や機能、料金体系に違いがあります。 どちらを選ぶべきか判断するために、それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 比較項目 | Amazon CodeWhisperer | GitHub Copilot |
|---|---|---|
| 開発元 | Amazon Web Services (AWS) | GitHub, Microsoft, OpenAI |
| 特徴 | AWSサービス (Lambda, S3など) に最適化されたコード生成、セキュリティスキャン機能、参照トラッキング機能が強力 | 幅広い言語とフレームワークに対応する汎用性の高さ、チャット形式で質問できる「Copilot Chat」機能 |
| 料金 (個人向け) | 無料 (Individual Tier) | 有料 (月額または年額) |
| セキュリティ機能 | コードの脆弱性を検出し、修正案を提示するセキュリティスキャン機能が標準搭載 | 脆弱性のあるコーディングパターンをブロックする機能などがあるが、CodeWhispererほど統合されていない |
| ライセンス管理 | 生成したコードの元になったオープンソースのライセンス情報を提示する参照トラッキング機能がある | 公開コードと一致する提案をブロックする設定が可能 |
結論として、AWSを中心とした開発を行う場合や、セキュリティ、ライセンスコンプライアンスを重視する開発者にとっては、Amazon CodeWhispererが非常に有力な選択肢となります。一方で、より幅広い用途での汎用性や、対話形式でのサポートを求める場合はGitHub Copilotが適していると言えるでしょう。
Amazon CodeWhispererの特徴7つ
Amazon CodeWhispererは、単なるコード補完ツールではありません。開発者の生産性を飛躍的に向上させるための、多岐にわたる強力な機能を備えています。ここでは、その代表的な7つの特徴を詳しく解説します。
リアルタイムなコード生成と補完
Amazon CodeWhispererの最も基本的な機能は、開発者が書いたコメントや既存のコードの文脈をAIが理解し、リアルタイムでコードの提案を行うことです。 数十億行のコードでトレーニングされたAIが、短いスニペットから関数全体に至るまで、最適なコードを瞬時に生成します。 例えば、「S3バケットからファイルをダウンロードする関数」といった趣旨のコメントを記述するだけで、具体的な処理内容を実装したコードが提案されます。これにより、開発者は定型的なコードの記述に時間を費やすことなく、より創造的な作業に集中できます。
セキュリティスキャンによる脆弱性の検出
CodeWhispererは、コードを生成するだけでなく、その安全性を確保するためのセキュリティスキャン機能を内蔵しています。 この機能は、記述されたコードをスキャンし、OWASP Top 10に挙げられるような一般的なものを含む、潜在的なセキュリティの脆弱性を検出します。 さらに、検出した脆弱性に対して修正候補を提示するため、開発の初期段階でセキュリティリスクを特定し、対処することが可能です。 これにより、手戻りを減らし、セキュアなアプリケーション開発を実現します。
多様な言語とIDEのサポート
多くの開発環境で利用できる点も、CodeWhispererの大きな魅力です。Python、Java、JavaScript、TypeScript、C#といった主要なプログラミング言語はもちろん、Go、Rust、PHP、SQL、シェルスクリプトなど、15以上の言語に対応しています。 また、Visual Studio Code (VS Code)やJetBrains社の各種IDE(IntelliJ IDEA、PyCharmなど)といった人気の開発環境に、拡張機能「AWS Toolkit」をインストールするだけで簡単に導入できます。 その他、AWS Cloud9やAWS Lambdaコンソール上でも利用可能です。
AWS APIの最適なコードを提案
AWSが提供するサービスであるCodeWhispererは、AWSの各種サービス(Amazon S3、AWS Lambda、Amazon DynamoDBなど)のAPIやSDKの利用に最適化されています。AWSのベストプラクティスに基づいてトレーニングされているため、開発者は公式ドキュメントを都度参照することなく、効率的で質の高いAWS連携コードを記述できます。これにより、AWS上でのアプリケーション開発が大幅にスピードアップします。
オープンソースコードの追跡と帰属表示
CodeWhispererには「参照トラッカー」と呼ばれる機能が搭載されています。 これは、生成されたコードが学習データに含まれる特定のオープンソースコードと類似している場合に、そのコードのライセンス情報やオリジナルのリポジトリURLを提示する機能です。 開発者はこの情報を確認することで、意図せずライセンスに違反してしまうリスクを回避し、オープンソースの利用規約を遵守しながら開発を進めることができます。
インフラストラクチャ・アズ・コード (IaC) のサポート
アプリケーションコードだけでなく、インフラ構成をコードで管理するIaC(Infrastructure as Code)の記述もサポートしています。 具体的には、AWS CloudFormation (YAML/JSON)、AWS CDK (TypeScript/Python)、HashiCorp Terraform (HCL) に対応しており、コメントからインフラ構成コードを生成することが可能です。 これにより、インフラ構築の効率化とコードの品質向上が期待できます。
コマンドライン対応
CodeWhispererは、IDEだけでなくコマンドラインインターフェース(CLI)でも利用できます。 ターミナル上で自然言語(英語や日本語)を使って実行したい処理を記述すると、適切なCLIコマンドやスクリプトを提案してくれます。 これにより、複雑なコマンドの構文を記憶していなくても、対話形式で目的の操作を実行でき、ターミナルでの作業効率が大幅に向上します。
Amazon CodeWhispererの料金プランを解説
Amazon CodeWhispererには、個人の開発者や学生向けの無料プランと、法人利用を想定した有料のプロフェッショナルプランの2種類が用意されています。それぞれのプランで利用できる機能や対象ユーザーが異なるため、ご自身の開発スタイルに合ったプランを選択することが重要です。
個人向け無料プランでできること
「Individualティア」と呼ばれる個人向けプランは、AWS Builder IDを作成するだけで、誰でも完全無料で利用を開始できます。 このプランは、個人の開発者、学生、オープンソース貢献者などが、AIコーディング支援の強力な機能を気軽に試すのに最適です。
無料プランでは、中核機能であるリアルタイムのコード生成や補完、参照トラッキングといった基本的な機能を回数無制限で利用可能です。 さらに、コードの脆弱性を検出するセキュリティスキャン機能も、1ユーザーあたり月間50回まで無料で実行できます。 個人での開発や学習目的であれば、無料プランでも十分にAmazon CodeWhispererのメリットを享受できるでしょう。
Professionalプランの料金と機能
「Professionalティア」は、企業や開発チームでの利用を想定した有料プランで、料金は1ユーザーあたり月額19ドルです。 このプランは、無料プランの全機能に加え、組織での開発を円滑かつ安全に進めるための高度な機能を提供します。
Professionalプランの最大の特徴は、組織的な管理機能が強化されている点です。AWS IAM Identity Center(旧AWS SSO)と連携し、組織の管理者がユーザーアクセスを一元管理できます。 また、組織のポリシーに基づいて、特定のライセンスを持つコードが提案に含まれないように制御することも可能です。
セキュリティスキャンの上限も、1ユーザーあたり月間500回へと大幅に増加します。 チームでの大規模な開発や、セキュリティを特に重視するプロジェクトにおいて、Professionalプランは強力な選択肢となります。
| 機能 | 個人向けプラン (Individual) | Professionalプラン |
|---|---|---|
| 月額料金 | 無料 | 19ドル/ユーザー |
| 対象ユーザー | 個人開発者、学生など | 企業、開発チーム |
| 認証方法 | AWS Builder ID | AWS IAM Identity Center |
| コード生成・補完 | 無制限 | 無制限 |
| 参照トラッキング | 利用可能 | 利用可能 |
| セキュリティスキャン | 50回/月 | 500回/月 |
| 組織のポリシー管理 | 不可 | 利用可能 |
料金や機能の詳細については、公式サイトの料金ページもあわせてご確認ください。
Amazon CodeWhispererの始め方 5つのステップ
Amazon CodeWhispererは、簡単な5つのステップで使い始めることができます。個人での利用は無料プランの範囲で費用はかかりません。この章では、アカウントの作成から実際の動作確認まで、具体的な手順を分かりやすく解説します。
①AWS Builder IDの作成
Amazon CodeWhispererを利用するには、まず「AWS Builder ID」という個人のプロファイルを作成する必要があります。これは、AWSのサービスを利用するための無料のアカウントで、AWSアカウントとは別のものです。 普段使っているEメールアドレスで簡単に作成できます。
- AWS Builder IDの公式サイトにアクセスします。
- お使いのEメールアドレスを入力し、「次へ」をクリックします。
- 画面の指示に従い、名前(公開される可能性があるため、ハンドルネームなどが推奨されます)とパスワードを設定します。
- 登録したメールアドレスに認証コードが届くので、それを入力して認証を完了させます。
- これでAWS Builder IDの作成は完了です。
②対応IDEの準備 (VS Code, JetBrainsなど)
次に、CodeWhispererを利用するための統合開発環境(IDE)を準備します。多くの主要なIDEに対応していますが、特に人気の高いVisual Studio Code(VS Code)やJetBrains社のIDE(IntelliJ IDEA, PyCharmなど)での利用が一般的です。 この記事では、これらのIDEが既にお使いのPCにインストールされていることを前提として進めます。
③AWS Toolkit拡張機能のインストール
CodeWhispererは、「AWS Toolkit」という拡張機能(プラグイン)を通じてIDEに統合されます。 そのため、お使いのIDEにAWS Toolkitをインストールする必要があります。
Visual Studio Code (VS Code) の場合
- VS Codeを開き、左側のアクティビティバーから「拡張機能」アイコンをクリックします。
- 検索ボックスに「AWS Toolkit」と入力し、検索結果から公式の拡張機能を選択します。
- 「インストール」ボタンをクリックして、インストールを完了させます。
JetBrains IDE (IntelliJ, PyCharmなど) の場合
- IDEを開き、「File」 > 「Settings」(macOSの場合は「IntelliJ IDEA」 > 「Preferences」)メニューに移動します。
- 左側のパネルから「Plugins」を選択します。
- 「Marketplace」タブで「AWS Toolkit」と検索し、公式プラグインを見つけます。
- 「Install」ボタンをクリックし、インストール後にIDEを再起動します。
④Amazon CodeWhispererへのサインイン
AWS Toolkitのインストールが完了したら、CodeWhispererを有効化するためにAWS Builder IDでサインインします。このサインインプロセスが、CodeWhispererを有効化する上で最も重要なステップです。
- IDEのサイドバーに追加されたAWSアイコンをクリックして、AWS Toolkitパネルを開きます。
- 「Developer Tools」セクション内の「CodeWhisperer」を展開し、「Start」または「Sign in」といったボタンをクリックします。
- 表示される選択肢の中から「Sign in with AWS Builder ID」を選択します。
- ブラウザが自動的に開き、デバイスを認証するためのコードが表示されます。このコードをコピーします。
- IDE側で表示されているダイアログにコピーしたコードを貼り付け、「Confirm and continue」をクリックします。
- ブラウザでAWS Builder IDのログイン画面が表示されるので、先ほど作成したIDとパスワードでサインインします。
- AWS Toolkitへのアクセス許可を求める画面が表示されたら、「Allow」をクリックして連携を許可します。
これでIDEとCodeWhispererの連携が完了し、コーディング支援機能が有効になります。
⑤初期設定と動作確認
サインインが完了すれば、特別な初期設定は不要ですぐにCodeWhispererを使い始めることができます。最後に、正しくセットアップが完了しているか簡単な動作確認を行いましょう。この簡単な動作確認を行うことで、セットアップが正しく完了したことを確実に把握できます。
- 対応しているプログラミング言語(例: Python, JavaScriptなど)で新しいファイルを作成します。
- ファイル内に、実行したい処理の内容をコメントとして自然言語(日本語または英語)で記述します。(例: `// 2つの数値を足し算する関数`)
- コメントの次の行にカーソルを合わせると、CodeWhispererが処理内容を推測し、コードの提案を灰色の文字で表示します。
- 提案されたコードでよければ、`Tab`キーを押して受け入れます。別の提案を見たい場合は、矢印キー(`→` or `←`)で切り替えることができます。
無事にコードが提案されれば、セットアップはすべて完了です。これで、あなたの開発環境でAIによる強力なコーディングサポートが受けられるようになりました。
Amazon CodeWhispererの基本的な使い方
Amazon CodeWhispererは、日々のコーディング作業を効率化するための多彩な機能を備えています。ここでは、特に重要な3つの基本機能である「コメントからのコード自動生成」「既存コードの補完」「セキュリティスキャン」の具体的な使い方を解説します。
コメントからコードを自動生成する方法
CodeWhispererの最も強力な機能の一つが、自然言語(日本語にも対応)で書かれたコメントを基に、必要なコードを自動で生成する機能です。 これにより、具体的な構文を覚えていなくても、実現したい処理を記述するだけで迅速にコーディングを進めることができます。
使い方は非常にシンプルです。コードエディタ上で、実装したい機能やロジックをコメントとして記述します。例えば、Pythonで「S3バケットにファイルをアップロードする関数」を作成したい場合、以下のようにコメントを入力します。
コメントを書き終えると、CodeWhispererが内容を解析し、数秒で適切なコードの候補をグレーアウト表示で提案します。 提案されたコードが意図通りであれば、「Tab」キーを押すだけでコードが確定されます。もし他の候補を見たい場合は、矢印キー(→ or ←)で切り替えることが可能です。
もし自動で候補が表示されない場合は、手動で呼び出すこともできます。以下のショートカットキーで、いつでもコード生成をトリガーできます。
| OS | ショートカットキー |
|---|---|
| Windows | Alt + C |
| macOS | Option + C |
この機能を活用することで、APIの複雑な仕様を都度調べる手間が省け、開発スピードを大幅に向上させることが期待できます。
既存コードの補完機能を使う
CodeWhispererは、ゼロからコードを生成するだけでなく、書きかけのコードの文脈を理解し、その続きを補完する機能も非常に優れています。 関数名や変数名、すでに記述されたロジックの流れを解析し、次に続く可能性が最も高いコードスニペットから関数全体までをリアルタイムで提案します。
例えば、関数名を途中まで入力したり、ループ処理を書き始めたりすると、その処理内容を推測して残りの部分を自動で補完提案します。 この機能は、定型的なコードや繰り返し発生するパターンの記述において特に効果を発揮し、タイピング量を削減し、コーディングミスを防ぐのに役立ちます。
コード補完の操作方法は、コメントからの生成機能と共通です。
- 提案の受け入れ: Tabキー
- 次の候補へ移動: →キー
- 前の候補へ移動: ←キー
- 提案の拒否: Escキー、またはそのまま入力を続ける
CodeWhispererは、周囲のコードが多ければ多いほど、より精度の高い提案を行うことができます。 そのため、単なるキーワード補完ツールとは一線を画し、文脈に応じたインテリジェントなコーディングパートナーとして機能します。
セキュリティスキャンを実行する手順
開発プロセスのできるだけ早い段階で脆弱性に対処することは、セキュアなアプリケーションを構築する上で非常に重要です。CodeWhispererには、コードに潜むセキュリティ上の問題点を検知し、修正を提案するセキュリティスキャン機能が搭載されています。
この機能は、OWASP Top 10に挙げられるような一般的な脆弱性や、AWSのセキュリティベストプラクティスに反するコード(例:アクセスキーのハードコーディング)などを検出できます。 スキャンは以下の手順で簡単に実行できます。
- VS Codeの場合、左側のアクティビティバーから「AWS Toolkit」のアイコンをクリックします。
- 「CodeWhisperer」の項目を展開し、「Run Security Scan」を選択するか、コマンドパレットから実行します。
- スキャンが完了すると、問題が検出された箇所と、その脆弱性の詳細が「問題」パネルに一覧表示されます。
- 検出された問題点に対して、CodeWhispererが修正案を提示してくれる場合もあり、迅速な対応が可能です。
対応言語はJava、Python、JavaScript、TypeScript、C#などで、定期的にスキャンを実行することで、コードの品質と安全性を高いレベルで維持することができます。
Amazon CodeWhispererの対応言語とIDE
Amazon CodeWhispererは、世界中の多くの開発者が利用するプログラミング言語と統合開発環境(IDE)に幅広く対応しており、既存の開発フローを大きく変更することなくスムーズに導入できます。ここでは、CodeWhispererがサポートする具体的な言語とIDEについて詳しく解説します。
対応プログラミング言語一覧
CodeWhispererは、Web開発、アプリケーション開発、データサイエンス、インフラ管理など、多様な分野で利用される15種類以上のプログラミング言語に対応しています。 特にPython、Java、JavaScript、TypeScript、C#については、特に高品質なコード生成が期待できる言語として挙げられています。 これにより、多くの開発者が自身の得意な言語でAIによるコーディング支援の恩恵を受けることが可能です。
以下に対応している主なプログラミング言語をまとめました。
| カテゴリ | 対応言語 |
|---|---|
| アプリケーション開発 | Python, Java, JavaScript, TypeScript, C#, Go, Rust, PHP, Ruby, Kotlin, C, C++, Scala |
| データ・シェル | SQL, シェルスクリプト |
| インフラストラクチャ・アズ・コード (IaC) | AWS CloudFormation (YAML, JSON), AWS CDK (TypeScript, Python), Terraform (HCL) |
サポートされている言語の最新情報については、Amazon CodeWhispererの公式ドキュメントで確認することをおすすめします。
対応IDEとエディタ
Amazon CodeWhispererは、主要なIDEやコードエディタに「AWS Toolkit」という拡張機能をインストールすることで利用できます。 これにより、使い慣れた開発環境でシームレスにコード生成や補完機能を利用開始できます。
特に人気の高いVisual Studio Code (VS Code)やJetBrains社のIDEファミリー(IntelliJ IDEA, PyCharmなど)に完全対応しているほか、AWSが提供するクラウドベースのIDEやサービス内でも直接利用可能です。
| IDE/エディタ | 提供元/特徴 |
|---|---|
| Visual Studio Code | Microsoft社が提供する、世界で最も広く利用されているコードエディタの一つです。 |
| JetBrains IDEs | JetBrains社が提供するIDEファミリーです。IntelliJ IDEA (Java), PyCharm (Python), WebStorm (JavaScript), Rider (.NET), GoLand (Go), PhpStorm (PHP) など、各言語に特化した多くのIDEに対応しています。 |
| Visual Studio | Microsoft社が提供する統合開発環境です。 |
| AWS Cloud9 | ブラウザのみでコードを記述、実行、デバッグできるクラウドベースのIDEです。 |
| AWS Lambda コンソール | AWS Lambdaの管理コンソール上で、直接コードを記述する際にCodeWhispererの支援を受けられます。 |
| JupyterLab / Amazon SageMaker Studio | データサイエンスや機械学習の分野で広く使われるJupyterLabや、AWSの機械学習サービスであるSageMaker Studio内でも利用可能です。 |
このように、CodeWhispererはデスクトップアプリケーションからクラウドサービスまで、開発者が作業する様々な場所で一貫したコーディング体験を提供します。
Amazon CodeWhispererに関するよくある質問
Amazon CodeWhispererは、AIを活用してコーディングを効率化する強力なツールですが、利用にあたっていくつかの疑問が生じるかもしれません。この章では、日本語対応の可否、生成されたコードの権利関係、料金プラン、オフラインでの利用といった、ユーザーから頻繁に寄せられる質問について詳しく解説します。
Amazon CodeWhispererは日本語のコメントに対応していますか
はい、Amazon CodeWhispererは日本語のコメントに対応しています。 例えば、IDE(統合開発環境)上で「// ユーザーリストを取得する関数」といった日本語のコメントを記述して改行すると、CodeWhispererがその内容を解釈し、適切なコードの提案を行います。
これにより、日本の開発者は英語でコメントを書く手間を省き、思考を中断することなく、より直感的かつスムーズに開発作業を進めることが可能です。ただし、AIモデルの学習データは英語が中心であるため、英語のコメントと比較すると、場合によっては提案の精度が若干低下する可能性も報告されています。
生成されたコードの著作権やライセンスはどうなりますか
Amazon CodeWhispererによって生成されたコードの著作権は、原則としてそれを利用する開発者に帰属します。開発者は、生成されたコードを自由に修正し、商用利用することも可能です。
ただし、注意すべき点として、CodeWhispererは数十億行に及ぶオープンソースコードを学習データとして利用しているため、生成されたコードが既存のオープンソースプロジェクトのコードと類似する場合があります。 このようなケースに対応するため、CodeWhispererにはリファレンストラッキング(参照トラッカー)機能が搭載されています。
- 類似コードの検出: 生成したコードが学習元のオープンソースコードと類似している場合、その旨を開発者に通知します。
- ライセンス情報の提示: 参照元コードのリポジトリURLやライセンス(MIT、Apache License 2.0など)を提示し、適切な帰属表示をサポートします。
- 意図しない著作権侵害の回避: この機能により、開発者は意図せず他者のライセンスに違反してしまうリスクを低減できます。
開発者はこの機能を活用し、ライセンス要件を遵守することで、安心して生成コードをプロジェクトに組み込むことができます。
個人プランは本当にずっと無料で使えますか
はい、Amazon CodeWhispererの個人向けプラン(Individual Plan)は、期間の定めなく無料で利用できます。 AWS Builder ID(メールアドレスで作成可能)を使ってサインアップするだけで、クレジットカードの登録は不要ですぐに利用を開始できます。
無料プランには以下の機能が含まれており、個人開発や学習目的であれば十分強力なサポートが受けられます。
- リアルタイムのコード提案・生成
- 参照トラッキング機能
- 月50回までのセキュリティスキャン
ビジネス利用で、組織でのユーザー管理やより多くのセキュリティスキャンが必要な場合は、有料のProfessionalプランが用意されています。 サービス内容が将来的に変更される可能性はありますが、2024年4月の一般公開以降、個人開発者向けに無料で提供するという方針は継続されています。 最新の情報については、Amazon CodeWhispererの料金ページをご確認ください。
Amazon CodeWhispererはオフラインでも利用できますか
いいえ、Amazon CodeWhispererはオフライン環境では利用できません。このツールは、開発者のIDEから入力されたコメントや既存のコードをリアルタイムでAWSのクラウドサーバーへ送信し、そこでAIが解析を行ってコードの提案を返す仕組みになっています。
そのため、CodeWhispererの全ての機能を利用するには、常時安定したインターネット接続が必須となります。オフラインの状態でコーディング作業を行う場合、CodeWhispererからのコード提案や補完、セキュリティスキャンといった機能は動作しません。
まとめ
本記事では、AWSが提供するAIコーディング支援ツール「Amazon CodeWhisperer」について、その概要から特徴、料金プラン、具体的な始め方や使い方までを網羅的に解説しました。単なるコード補完ツールに留まらない、開発者の生産性とコード品質を向上させるための強力な機能をご理解いただけたかと思います。
この記事の重要なポイントを以下にまとめます。
- 多機能なAIコーディング支援:Amazon CodeWhispererは、リアルタイムのコード生成・補完に加え、セキュリティスキャンによる脆弱性の検出、AWSサービスに最適化されたコード提案など、多角的なサポートを提供します。
- セキュリティとコンプライアンスへの配慮:生成したコードがどのオープンソースコードを参考にしているか追跡し、ライセンス情報を提示する機能は、特に商用利用において大きなメリットとなります。
- 個人なら無料で利用可能:個人開発者向けの無料プランが用意されており、セキュリティスキャンなどの回数制限はあるものの、主要な機能をコストゼロで体験できます。
- 簡単な導入プロセス:VS CodeやJetBrainsといった主要なIDEにAWS Toolkit拡張機能をインストールし、無料のAWS Builder IDでサインインするだけで、すぐに利用を開始できます。
- 日本語にも対応した高い実用性:日本語のコメントからでも高精度なコードを生成できるため、日本の開発者にとっても直感的で使いやすいツールです。
Amazon CodeWhispererは、日々のコーディング作業を効率化するだけでなく、コードの品質とセキュリティを同時に高めてくれる、まさに「コーディングの相棒」と呼べる存在です。これまで手作業で行っていた定型的なコーディングや、脆弱性のチェックにかかる時間を大幅に削減し、より創造的な作業に集中できるようになるでしょう。
まずは無料の個人プランから、その驚異的な生産性向上をあなたの開発環境で体感してみてください。きっと、もう手放せなくなるはずです。










