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AWSルートテーブルとは?基礎から設定方法までわかりやすく解説

AWSルートテーブルとは?基礎から設定方法までわかりやすく解説

AWS(Amazon Web Services)を利用してクラウドインフラを構築する際、VPC(Virtual Private Cloud)内のネットワーク設計で避けて通れないのが「ルートテーブル」の理解です。EC2インスタンスを作成したもののインターネットに接続できない、あるいは想定通りの通信経路にならないといったトラブルの多くは、このルートテーブルの設定や仕様の理解不足に起因しています。

ルートテーブルは、サブネット内のネットワークトラフィックがどこへ向かうべきかを決定する、いわば「通信の交通整理役」です。この記事では、ルートテーブルの基礎的な役割から、送信先(CIDR)やターゲットといった仕組みの解説、さらには実務で必須となるパブリックサブネットとプライベートサブネットの構築手順までを網羅的に解説します。結論として、メインルートテーブルとカスタムルートテーブルを適切に使い分け、正しいルーティングルール(ルート)を設定することが、セキュアで効率的なAWS環境を構築するための鍵となります。

この記事で分かること

  • AWSルートテーブルの仕組みとVPC内での重要な役割
  • メインルートテーブルとカスタムルートテーブルの明確な違い
  • パブリックサブネットとプライベートサブネットの正しい設定手順
  • インターネットゲートウェイやNATゲートウェイを利用したルーティング方法

これからAWSの学習を始める初心者の方や、ネットワーク設定の手順を再確認したいエンジニアの方は、ぜひ本記事を参考にルートテーブルの設定をマスターしてください。

AWSルートテーブルの基礎知識と役割

AWS(Amazon Web Services)におけるネットワーク設計において、ルートテーブルは通信の制御を司る非常に重要なコンポーネントです。VPC(Virtual Private Cloud)内のリソースがどこへ通信できるかを決定する「司令塔」のような役割を果たしており、適切な設定を行うことがセキュリティと接続性の確保に直結します。

ルートテーブルとは何か

ルートテーブルとは、VPC内のサブネットから発信されるネットワークトラフィックの経路を判断するためのルール(ルート)のセットです。現実世界の「道路標識」や「カーナビゲーションシステム」に例えると分かりやすいでしょう。データパケットという「車」に対して、「この宛先に行くなら、このゲートウェイ(道)を通ってください」と指示を出す役割を担っています。

ルートテーブルは主に以下の2つの要素で構成されています。

  • 送信先(Destination):トラフィックをどこへ送りたいかを示すIPアドレスの範囲(CIDRブロック)。
  • ターゲット(Target):その送信先へ到達するために経由させるゲートウェイやネットワークインターフェイス。

例えば、インターネットへ通信させたい場合は、送信先に「0.0.0.0/0(すべてのIPアドレス)」を指定し、ターゲットに「インターネットゲートウェイ」を指定するルールを追加します。この設定により、AWSリソースは外部との通信が可能になります。

VPCとサブネットにおけるルートテーブルの重要性

VPC内のすべてのサブネットは、必ず1つのルートテーブルに関連付けられている必要があります。サブネット単位で異なるルートテーブルを割り当てることで、通信可能な範囲を細かく制御できるのがAWSネットワーキングの大きな特徴です。

例えば、あるサブネットにはインターネットへの経路を持つルートテーブルを関連付け(パブリックサブネット)、別のサブネットにはインターネットへの経路を持たないルートテーブルを関連付ける(プライベートサブネット)といった構成が一般的です。このように、ルートテーブルの設定こそが、サブネットのパブリック・プライベートの性質を決定づける要因となります。

なお、1つのサブネットに複数のルートテーブルを同時に関連付けることはできませんが、1つのルートテーブルを複数のサブネットに関連付けて使い回すことは可能です。

メインルートテーブルとカスタムルートテーブルの違い

ルートテーブルには、VPC作成時に自動的に作られる「メインルートテーブル」と、ユーザーが必要に応じて作成する「カスタムルートテーブル」の2種類が存在します。AWSのベストプラクティスでは、メインルートテーブルは極力変更せず、サブネットごとにカスタムルートテーブルを作成して明示的に関連付けることが推奨されています。

それぞれの違いと特徴を以下の表に整理しました。

項目 メインルートテーブル カスタムルートテーブル
作成タイミング VPC作成時に自動生成 ユーザーが手動で作成
削除の可否 削除不可 削除可能
サブネットとの関連付け 明示的に関連付けられていないサブネットに自動的(暗黙的)に適用される 特定のサブネットを明示的に
関連付けて使用する
推奨される運用 デフォルト設定のまま維持し、
予期せぬ通信の抜け穴を防ぐために使用
各サブネットの用途に合わせて個別に作成・適用する

メインルートテーブルは、ルートテーブルの関連付けを忘れたサブネットが「迷子」にならないためのセーフティネットとして機能します。意図しない通信を防ぐため、メインルートテーブルにはVPC内部の通信(ローカルルート)のみを残し、インターネットへのルートなどは追加しない運用が安全です。

詳細な仕様や制限事項については、AWS公式ドキュメントもあわせて参照してください。
ルートテーブルを設定する - Amazon Virtual Private Cloud

AWSルートテーブルの仕組みを理解する

AWS(Amazon Web Services)のVPC環境において、ネットワークトラフィックがどこへ向かうべきかを決定するのがルートテーブルです。ルートテーブルの仕組みを正しく理解することは、意図した通りの通信経路を設計し、セキュリティ事故や接続トラブルを防ぐために不可欠です。ここでは、ルートテーブルを構成する要素や、通信の宛先が決定されるルールについて詳しく解説します。

送信先とターゲットの意味

ルートテーブルには「ルート」と呼ばれるルールを複数設定します。それぞれのルートは、主に「送信先(Destination)」と「ターゲット(Target)」という2つの要素で構成されています。これらは、パケットがどこへ行こうとしているのか(宛先)、そしてそのパケットを次にどこへ転送すべきか(転送先)を定義するものです。

  • 送信先(Destination):パケットの最終的な宛先となるIPアドレスの範囲です。通常はCIDR(サイダー)ブロック形式(例:10.0.0.0/16、0.0.0.0/0)で指定します。
  • ターゲット(Target):指定された送信先に向かうトラフィックを送り届けるAWSリソースです。インターネットゲートウェイ、NATゲートウェイ、VPCピアリング接続、またはローカル(VPC内部)などが指定されます。

例えば、VPC内部の通信を行うための設定と、インターネットへ出るための設定は、以下のように区別されます。

送信先 (Destination) ターゲット (Target) 説明
10.0.0.0/16 local VPC内のリソース間で行われる通信です。このルートはVPC作成時に自動的に追加され、削除することはできません。
0.0.0.0/0 igw-xxxxxxxx VPC外(インターネット)への通信です。インターネットゲートウェイ(igw)へ転送されます。

デフォルトルート0.0.0.0/0の解説

ルートテーブルの設定で頻繁に目にする「0.0.0.0/0」というCIDRブロックは、すべてのIPv4アドレスを表しています。これはネットワークの世界で「デフォルトルート」と呼ばれ、他の具体的なルート条件に当てはまらなかったすべてのトラフィックの行き先を指定するために使用されます。

AWSのVPCにおいては、このデフォルトルートのターゲット設定によって、そのサブネットの性質が決まります。

  • パブリックサブネット:0.0.0.0/0 のターゲットを「インターネットゲートウェイ」に向けます。これにより、インターネットとの直接通信が可能になります。
  • プライベートサブネット:0.0.0.0/0 のターゲットを「NATゲートウェイ」に向けるか、あるいは設定しません。NATゲートウェイに向ければ、外部からのアクセスを遮断しつつ、内部からインターネットへのアクセスのみを許可できます。

このように、0.0.0.0/0のターゲット先を変えるだけで、サブネットの役割を大きく切り替えることができるのがAWSネットワーキングの特徴です。

ルートの優先順位とロンゲストマッチ

ルートテーブルに複数のルートが存在し、送信先CIDRブロックが重複している場合、AWSはどのルートを採用するのでしょうか。この決定には「最長プレフィックス一致(ロンゲストマッチ)」という原則が適用されます。

ロンゲストマッチとは、宛先IPアドレスに対して「サブネットマスクのビット数が最も長く一致する(最も範囲が狭く具体的である)ルート」を優先して採用するルールです。

例えば、あるパケットの宛先が「10.0.1.50」で、ルートテーブルに以下の2つのエントリーがあるとします。

  1. 送信先:10.0.0.0/16(ターゲット:local)
  2. 送信先:0.0.0.0/0(ターゲット:インターネットゲートウェイ)

この場合、宛先「10.0.1.50」は両方のCIDR範囲に含まれますが、より範囲が限定的で具体的な「10.0.0.0/16」の方が優先されます。その結果、このパケットはインターネットゲートウェイではなく、VPC内部(local)へルーティングされます。

この仕組みにより、特定のIPアドレス範囲だけをVPN接続へ流し、それ以外をインターネットへ流すといった柔軟な制御が可能になります。ルートテーブルを設定する際は、上から順に適用されるのではなく、より具体的なCIDR指定が常に優先されるというルールを念頭に置いて設計する必要があります。

AWSルートテーブルの設定手順

AWSにおけるネットワーク設計を実現するためには、ルートテーブルの適切な設定が欠かせません。ここでは、AWSマネジメントコンソールを使用して、実際にルートテーブルを新規作成し、サブネットへの関連付けやインターネット接続用のルートを追加する具体的な手順を解説します。

ルートテーブルを作成するステップ

VPCを作成した直後には、デフォルトでメインルートテーブルが存在しますが、要件に応じた通信制御を行うためにカスタムルートテーブルを作成することが一般的です。以下の手順で新しいルートテーブルを作成します。

  1. AWSマネジメントコンソールにログインし、サービス一覧から「VPC」を選択してVPCダッシュボードを開きます。
  2. 左側のナビゲーションペインで「ルートテーブル」をクリックします。
  3. 画面右上にある「ルートテーブルを作成」ボタンをクリックします。
  4. 設定画面で「名前タグ」に任意の名前を入力し、「VPC」のプルダウンメニューから対象となるVPCを選択します。
  5. 右下の「ルートテーブルを作成」ボタンをクリックして完了します。

作成が完了すると、自動的にVPC内のローカル通信用ルート(送信先がVPC CIDR、ターゲットがlocal)が1つ追加された状態になります。このローカルルートは削除できません。

サブネットをルートテーブルに関連付ける方法

ルートテーブルを作成しただけでは、どのサブネットの通信も制御していません。サブネットがそのルートテーブルのルールに従って通信を行うためには、明示的にサブネットをルートテーブルに関連付ける作業が必要です。

  1. ルートテーブルの一覧画面から、先ほど作成したルートテーブルの左側にあるチェックボックスを選択します。
  2. 画面下部の詳細パネルにある「サブネットの関連付け」タブをクリックします。
  3. 「サブネットの関連付けを編集」ボタンをクリックします。
  4. このルートテーブルを適用したいサブネットのチェックボックスにチェックを入れます。
  5. 「関連付けを保存」をクリックします。

これで、選択したサブネット内のインスタンスは、このルートテーブルに定義されたルールに基づいて通信を行うようになります。関連付けを行わなかったサブネットは、自動的にVPCのメインルートテーブルを使用することになります。

インターネットゲートウェイへのルートを追加する

Webサーバーなどを配置するパブリックサブネットを作成する場合、インターネットへの通信経路を確保するために、インターネットゲートウェイ(IGW)へのルートを追加する必要があります。この設定を行わないと、外部インターネットとの通信はできません。

設定すべきルートの内容は以下の通りです。

設定項目 入力値 説明
送信先 (Destination) 0.0.0.0/0 すべてのIPv4アドレス(インターネット全体)を表します。
ターゲット (Target) igw-xxxxxxxx VPCにアタッチされているインターネットゲートウェイのIDを選択します。

具体的な設定手順は以下の通りです。

  1. 対象のルートテーブルを選択した状態で、下部の「ルート」タブをクリックします。
  2. 「ルートを編集」ボタンをクリックします。
  3. 「ルートを追加」ボタンをクリックし、新しい行を表示させます。
  4. 「送信先」に 0.0.0.0/0 を入力し、「ターゲット」で「インターネットゲートウェイ」を選択して、表示されるIGW IDをクリックします。
  5. 「変更を保存」をクリックします。

この設定により、関連付けられたサブネット内のリソースからインターネットへの通信が可能となり、パブリックサブネットとして機能するようになります。

パブリックサブネットとプライベートサブネットの構築

AWS環境において、セキュリティとネットワーク効率を高めるためには、VPC内を役割ごとに分割する設計が欠かせません。その代表的な構成が「パブリックサブネット」と「プライベートサブネット」の使い分けです。

この2つのサブネットの違いを決定づけるのが、これまで解説してきたルートテーブルの設定です。ここでは、それぞれのサブネットを構築するための具体的なルーティング設定について解説します。

パブリックサブネット用のルートテーブル設定

パブリックサブネットとは、配置されたリソース(EC2インスタンスなど)がインターネットと直接通信できるサブネットのことを指します。Webサーバーやロードバランサーなど、外部からのアクセスを受け付けるリソースを配置するために使用されます。

サブネットを「パブリック」にするための条件は、ルートテーブルにインターネットゲートウェイ(IGW)へのルートが設定されていることです。

具体的な設定内容は以下の通りです。

  • 送信先(Destination):0.0.0.0/0(すべてのIPアドレス)
  • ターゲット(Target):インターネットゲートウェイのID(例:igw-xxxxxxxx)

この設定により、VPC内部(ローカル)宛て以外のすべての通信がインターネットゲートウェイに向かうようになり、外部との通信が可能になります。設定後は、このルートテーブルを対象のサブネットに関連付けることで、そのサブネットは「パブリックサブネット」として機能します。

パブリックサブネットのルートテーブル例
送信先 (Destination) ターゲット (Target) 説明
10.0.0.0/16 local VPC内部の通信(デフォルトで存在)
0.0.0.0/0 igw-xxxxxxxx インターネットへの通信用

プライベートサブネット用のルートテーブル設定

プライベートサブネットは、インターネットからの直接的なアクセスを遮断したいリソース(データベースサーバーやアプリケーションサーバーなど)を配置するためのサブネットです。

プライベートサブネット用のルートテーブルには、インターネットゲートウェイへのルートを設定しません。基本的には、VPC内部の通信を行うための「local」ルートのみが存在する状態、あるいは後述するNATゲートウェイへのルートなどが設定されます。

インターネットゲートウェイへの経路を持たないため、外部からこのサブネット内のインスタンスに対して直接接続を試みても、経路が存在せず到達できません。これにより、高いセキュリティレベルを維持することができます。

  • 外部に公開する必要がないデータベースなどはプライベートサブネットに配置する
  • ルートテーブルに関連付けを変更するだけで、サブネットの性質(パブリック/プライベート)を変更できる

NATゲートウェイを利用したルーティング

プライベートサブネット内のサーバーであっても、「OSのセキュリティパッチをダウンロードしたい」「外部APIと連携したい」といった理由で、サーバー側からインターネットへアクセスしたい(アウトバウンド通信)場合があります。

しかし、インターネットゲートウェイへのルートを追加してしまうと、外部からの侵入(インバウンド通信)も許容することになり、プライベートサブネットのセキュリティ要件を満たせなくなります。そこで利用されるのがNATゲートウェイです。

NATゲートウェイを利用したルーティング設定の手順は以下の通りです。

  1. パブリックサブネットにNATゲートウェイを作成する(NATゲートウェイ自体がインターネットに出る必要があるため)。
  2. プライベートサブネット用のルートテーブルを編集する。
  3. 送信先に「0.0.0.0/0」、ターゲットに作成した「NATゲートウェイのID(nat-xxxxxxxx)」を指定する。

この構成により、プライベートサブネット内のインスタンスは、NATゲートウェイを経由してインターネットへアクセスできるようになりますが、インターネット側からNATゲートウェイを超えてインスタンスに接続することはできません。

以下は、NATゲートウェイを利用する場合の、各サブネットのルートテーブル設定の比較です。

サブネットタイプ別のルート設定比較
サブネットの種類 0.0.0.0/0 のターゲット先 通信の方向性
パブリックサブネット インターネットゲートウェイ
(igw-xxx)
双方向(送受信可能)
プライベートサブネット NATゲートウェイ (nat-xxx) 送信のみ可能(戻り通信は許可)
完全なプライベート 設定なし インターネット通信不可

このように、ターゲットにどのゲートウェイを指定するかによって、サブネットの役割とセキュリティレベルをコントロールするのが、AWSルートテーブル設計の要点です。

AWSルートテーブルに関するよくある質問

AWSのネットワーク構築において、ルートテーブルは通信制御の要となるコンポーネントです。ここでは、運用中や設計段階で頻繁に生じる疑問について、具体的な解決策とあわせて解説します。

AWSルートテーブルとサブネットの関連付けを変更する方法は?

サブネットに関連付けられたルートテーブルを変更するには、VPCマネジメントコンソールから「サブネットの関連付け」を編集する必要があります。手順は以下の通りです。

  1. AWSマネジメントコンソールでVPCダッシュボードを開き、左側のメニューから「ルートテーブル」を選択します。
  2. 設定を変更したいルートテーブル、またはサブネットを選択し、「サブネットの関連付け」タブをクリックします。
  3. 「サブネットの関連付けを編集」ボタンをクリックします。
  4. 関連付けたいサブネットのチェックボックスをオン(またはオフ)にし、「関連付けを保存」をクリックします。

これにより、指定したサブネットのトラフィックは、新しく関連付けられたルートテーブルのルールに従ってルーティングされるようになります。

メインルートテーブルとカスタムルートテーブルの違いは何ですか?

VPC作成時に自動的に生成されるのが「メインルートテーブル」で、ユーザーが手動で作成するのが「カスタムルートテーブル」です。機能面での大きな違いはありませんが、運用上の扱いにおいていくつかの差異があります。

比較項目 メインルートテーブル カスタムルートテーブル
作成のタイミング VPC作成時に自動生成 ユーザーが任意に作成
削除の可否 削除不可 削除可能
サブネットとの関連付け 明示的な関連付けがないサブネットに自動適用 明示的に関連付けたサブネットのみに適用

セキュリティの観点からは、メインルートテーブルにはルートを極力設定せず、サブネットごとに役割を明確にしたカスタムルートテーブルを作成して適用することが推奨されます。

パブリックサブネットとプライベートサブネットを分けるルートテーブル設定は?

サブネットのパブリック・プライベートの区分は、そのサブネットに関連付けられたルートテーブルに「インターネットゲートウェイ(IGW)へのルートがあるか」によって決まります。

  • パブリックサブネット:送信先「0.0.0.0/0」に対し、ターゲットとして「インターネットゲートウェイ」を設定します。
  • プライベートサブネット:インターネットゲートウェイへのルートを設定しません。インターネットへの通信が必要な場合は、ターゲットに「NATゲートウェイ」を設定します。

ルートテーブルのターゲットにインターネットゲートウェイが表示されない原因は?

ルートの編集画面でターゲットとしてインターネットゲートウェイを選択しようとしても候補に表示されない場合、最も一般的な原因はインターネットゲートウェイがVPCにアタッチされていないことです。

インターネットゲートウェイは作成しただけでは機能しません。VPCダッシュボードの「インターネットゲートウェイ」メニューから、対象のゲートウェイを選択し、「VPCにアタッチ」のアクションを実行してください。アタッチ完了後、再度ルートテーブルの編集を行うことで選択可能になります。

AWSルートテーブルの送信先0.0.0.0/0は何を意味しますか?

CIDR表記における「0.0.0.0/0」は、すべてのIPv4アドレスを表すデフォルトルートです。ルートテーブルにおいては、「他のどの具体的なルート条件(宛先)にも一致しなかった場合の行き先」を指定するために使用されます。

一般的に、インターネット上のあらゆる宛先へ通信を行えるようにするため、インターネットゲートウェイやNATゲートウェイをターゲットとして設定する際に用いられます。詳細な仕様についてはAWS公式ドキュメントのルートテーブルも参照してください。

まとめ

本記事では、AWSにおけるネットワーク通信の要である「ルートテーブル」について、その基礎的な仕組みから具体的な設定手順、パブリックサブネットとプライベートサブネットの構築方法までを詳しく解説しました。

AWSのVPC環境を構築する上で、ルートテーブルの理解は避けて通れません。適切なルーティング設定を行うことは、システムのセキュリティを高め、意図した通りの通信を実現するために不可欠です。特に、インターネットへの接続可否をコントロールする役割は非常に重要です。

今回解説した記事の要点は以下の通りです。

  • 通信制御の役割:ルートテーブルは、サブネット内のトラフィックがどこへ向かうべきかを決定する「道案内」の役割を果たします。
  • パブリックとプライベートの区分:インターネットゲートウェイへのルート(送信先 0.0.0.0/0)を持つか否かで、サブネットの性質(パブリックかプライベートか)が決まります。
  • メインとカスタムの使い分け:意図しない設定適用を防ぐため、デフォルトのメインルートテーブルではなく、サブネットごとに作成した「カスタムルートテーブル」を関連付けることが推奨されます。
  • 優先順位のルール:ルーティングは「ロンゲストマッチ(最長一致)」の原則に従い、より具体的なIPアドレス範囲が指定されたルートが優先されます。

ルートテーブルの設定ミスは、接続障害や予期せぬ外部アクセスなどのセキュリティリスクに直結します。まずはテスト環境のVPCを作成し、実際にルートテーブルを編集して通信の変化を確認してみることをおすすめします。仕組みを正しく理解し、安全で効率的なAWSネットワーク環境を構築していきましょう。

もし、複雑なネットワーク設計やAWS環境の構築・最適化についてお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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