日々のタスクを自動化するiPaaSツールとして代表的な「Zapier」と「Make」。どちらを導入すべきか迷っていませんか?結論として、プログラミング知識不要で手軽さと連携アプリ数を重視するならZapier、複雑なワークフローを低コストで柔軟に構築したいならMakeが最適です。
この記事で分かること
- ZapierとMakeの基本的な特徴と違い
- 料金や操作性など5つの重要な比較ポイント
- 自社の業務効率化に最適なツールの選び方
本記事を読めば、あなたの目的やスキルに合ったツールが明確になり、スムーズな自動化への第一歩を踏み出すことができます。
ZapierとMakeの基本概要
日々の業務で発生する単純作業やデータ入力を自動化したいと考えたとき、多くの企業が導入を検討するのが「iPaaS(Integration Platform as a Service)」と呼ばれるクラウドサービスです。iPaaSは、複数の異なるアプリケーションをAPIでつなぎ、データの同期やワークフローの自動化を実現します。プログラミングの専門知識がなくても直感的に操作できるノーコードツールとして、世界中で広く利用されています。
数あるiPaaSの中でも、特に知名度が高く人気を集めているのが「Zapier(ザピアー)」と「Make(メイク)」です。どちらも業務効率化に大きく貢献する優れたツールですが、それぞれ異なる特徴や開発思想を持っています。まずは、両者の基本的な概要について確認していきましょう。
Zapierとは
Zapierは、2011年にアメリカで設立された老舗のタスク自動化ツールです。世界中で数百万人のユーザーに利用されており、ノーコードによる業務自動化ツールの代名詞とも言える存在です。Zapierの最大の特徴は、圧倒的な連携アプリの数と、初心者でも扱いやすいシンプルな操作性にあります。
Gmail、Slack、Salesforce、kintoneなど、ビジネスで頻繁に利用されるSaaSからマイナーなツールまで、数千種類以上のアプリケーションを簡単に接続できます。Zapierでは、自動化のルールのことを「Zap(ザップ)」と呼び、「Aのアプリで特定のイベントが起きたら(トリガー)、Bのアプリで特定のアクションを実行する」という一連の流れを、画面上の指示に従って設定するだけで構築できます。
Makeとは
Makeは、チェコ発祥の自動化ツール「Integromat(インテグロマット)」が、2022年にリブランディングして生まれ変わったサービスです。Integromat時代から高度な設定ができるツールとしてエンジニアやITリテラシーの高いユーザーから支持を集めていましたが、Makeへの進化によってUI(ユーザーインターフェース)が刷新され、より直感的に操作できるようになりました。
Makeの大きな魅力は、複雑な条件分岐やデータ処理を伴うワークフローを、視覚的に分かりやすく構築できる点です。画面上にアプリのアイコン(モジュール)を配置し、それらを線でつなぐことで、データの流れをドラッグ&ドロップで自在に設計できます。また、柔軟なデータ変換や繰り返し処理などの高度なオペレーションにも対応しています。
以下は、ZapierとMakeの基本情報をまとめた表です。
| 項目 | Zapier(ザピアー) | Make(メイク) |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 連携アプリ数が非常に豊富で、設定がシンプル | 視覚的な操作に優れ、複雑な処理や条件分岐が得意 |
| 旧称 | - | Integromat(インテグロマット) |
| 対象ユーザー | 非エンジニア、手軽に素早く自動化したい人 | ITリテラシーのある人、柔軟で高度な自動化を求める人 |
ZapierとMakeを5つのポイントで徹底比較
業務自動化ツールとして代表的なZapierとMakeですが、それぞれ強みや特徴が異なります。ここでは、導入を検討する際に重要となる5つのポイントに絞って両者を徹底比較します。
料金プランとコストパフォーマンスの比較
ツール選びにおいて、最も気になるのが料金プランとコストパフォーマンスです。ZapierとMakeはどちらも無料プランを提供していますが、有料プランの価格設定や課金単位に大きな違いがあります。
| 比較項目 | Zapier | Make |
|---|---|---|
| 無料プラン | あり(月間100タスク) | あり(月間1,000オペレーション) |
| 有料プランの最低料金 | 月額19.99ドル〜 | 月額9ドル〜 |
| 課金の仕組み | タスク単位(処理の完了時) | オペレーション単位(各モジュールの動作ごと) |
Zapierはタスク単位での課金となり、処理が完了した回数に応じて消費されます。一方でMakeは、データの取得や書き込みなど、シナリオ内の各モジュールが動作するたびにオペレーションとしてカウントされる仕組みです。
単純な金額面で見ると、Makeの方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れています。月額9ドルから利用でき、無料プランでも月間1,000オペレーションまで実行可能なため、コストを抑えて自動化を始めたい企業に適しています。ただし、Makeは複雑な処理を組むとオペレーションの消費が激しくなる点には注意が必要です。
連携できるアプリの数と種類
自動化ツールにおいて、自社で利用しているSaaSやアプリケーションと連携できるかどうかは非常に重要です。対応アプリの数では、Zapierが圧倒的な優位性を持っています。
- Zapier:8,000種類以上のアプリに対応
- Make:2,000種類以上のアプリに対応
Zapierは業界最大規模の連携数を誇り、Zapier公式サイトの発表によれば、世界中のマイナーなアプリから最新のAIツールまで幅広く網羅しています。日本国内で開発されたSaaSであっても、Zapierには対応しているケースが多く見られます。
対するMakeも主要なアプリケーション(Googleワークスペース、Slack、Notion、Salesforceなど)は十分に網羅しており、通常の業務効率化であれば困ることはほとんどありません。もしMakeにネイティブ対応していないアプリであっても、HTTPリクエスト機能を使ってAPIを直接呼び出すことで連携は可能です。
直感的な操作性と使いやすさ
プログラミングの知識がない非エンジニアにとって、画面の操作性やUI(ユーザーインターフェース)はツールの定着率を左右します。
Zapierは、上から下へと一直線に進むステップバイステップのUIを採用しています。「Aが起きたらBをする」というシンプルなルールを穴埋め形式で設定していくため、初心者でも迷わずに自動化フローを作成できるのが最大の魅力です。
一方のMakeは、ビジュアルキャンバスと呼ばれる画面上で、各アプリのアイコン(モジュール)を線でつないでいくドラッグ&ドロップ形式を採用しています。処理の流れを図として視覚的に捉えられるため、全体の構造を把握しやすいのが特徴です。ただし、自由度が高い分、Zapierと比べると初回の学習コストはやや高めと言えます。
複雑なワークフロー構築の柔軟性
業務プロセスが複雑になり、条件分岐やデータの繰り返し処理が必要になった場合の柔軟性には、両者で明確な違いが現れます。
複雑なワークフローの構築においては、Makeが非常に優れています。Makeでは「ルーター」と呼ばれる機能を使って処理を複数に分岐させたり、「イテレーター」を使って配列データを個別にループ処理したりすることが視覚的に簡単に行えます。複数の条件が絡み合う高度な業務自動化を実現したい場合は、Makeの右に出るものはありません。
Zapierにも「Paths」という分岐機能が用意されていますが、利用するには上位の有料プランが必要です。また、一直線のUIであるため、分岐が多くなると画面上で処理の全体像を把握しづらくなるという難点があります。
エラー発生時の対応とサポート体制
自動化ツールを運用する上で、エラーが生じた際の復旧のしやすさやサポート体制も見逃せないポイントです。
- Zapier:エラー箇所が特定しやすく、日本語の情報が豊富
- Make:実行ログを視覚的に追えるが、高度な検索は上位プランが必要
Zapierは、どのステップでエラーが起きたのかが明確に表示され、再実行も容易です。また、世界的なシェアが大きいため、インターネット上で検索すれば日本語での解決策や解説記事がすぐに見つかるという安心感があります。
Makeは、エラーが発生したモジュールがキャンバス上で赤くハイライトされるため、どこで処理が止まったのかを一目で確認できます。実行ログをさかのぼってデータの受け渡し状況を詳細に確認できる点も優秀ですが、ログの全文検索機能を利用するにはProプラン以上の契約が求められます。サポートについては両者とも基本は英語対応となりますが、近年は日本国内でもMakeのコミュニティや代理店が増加傾向にあります。
業務効率化の目的別おすすめツール
ZapierとMakeは、どちらも業務効率化を推進するための強力なiPaaS(Integration Platform as a Service)ですが、得意とする領域や想定されているユーザー層には明確な違いがあります。自社の運用体制や自動化したい業務の複雑さに合わせて選択することが重要です。
まずは、それぞれのツールがどのような目的に適しているのか、全体像を比較表で確認してみましょう。
| 目的・特徴 | Zapierがおすすめ | Makeがおすすめ |
|---|---|---|
| 主な利用層 | 非エンジニア・現場の担当者 | エンジニア・ITリテラシーが比較的高い担当者 |
| 重視するポイント | 連携アプリの多さと設定の手軽さ | 複雑な処理の実現とコストパフォーマンス |
| ワークフローの傾向 | 直線的でシンプルなタスク自動化 | 条件分岐やデータ加工を伴う高度な自動化 |
Zapierがおすすめな人や企業
Zapierは、プログラミングの知識が全くない非エンジニアの方でも、すぐに業務の自動化を始められる点が最大の魅力です。対応しているアプリ数が非常に多いため、日本国内で利用されているSaaSやマイナーなツールであっても、APIを意識することなくスムーズに連携できる可能性が高いです。
特に以下のような目的や環境を持つ場合、Zapierの導入が適しています。
- 専門的なIT知識がなくても、営業やマーケティングなど現場の担当者レベルで手軽に自動化を進めたい
- 多数の異なるSaaSを利用しており、とにかく連携できるアプリの数を最優先で重視している
- 「Aのアプリで通知が来たらBのアプリに転送する」といった、シンプルで直線的なタスクの自動化が中心である
- トラブル発生時に、ウェブ上の豊富な日本語の解説記事やコミュニティの情報を参考にしたい
ノーコードツールの扱いに慣れていない企業が、スモールスタートで業務改善の第一歩を踏み出す場合、学習コストの低いZapierは非常に有力な選択肢となります。
Makeがおすすめな人や企業
Make(旧Integromat)は、ドラッグ&ドロップを中心とした視覚的な操作で、複雑なデータ処理や条件分岐を伴うワークフローを構築できるのが強みです。複数のルートに分岐するような高度な自動化を、低コストで実現したい企業に最適です。
以下のような要件を満たしたい場合は、Makeを選ぶことで大きな恩恵を受けられます。
- データのフィルタリング、配列の処理、複雑な条件分岐など、プログラミングに近い高度なシナリオを構築したい
- 毎月のタスク実行数(オペレーション数)が非常に多く、長期的なランニングコストをできるだけ抑えたい
- ワークフローの全体像をビジュアルで直感的に把握しながら、チームで開発やメンテナンスを進めたい
- 社内にAPIやJSONなどの基本的なIT知識を持つ人材がおり、ツールのポテンシャルを最大限に引き出せる
すでに他の自動化ツールを利用していて機能に物足りなさを感じている場合や、システム開発の知識を活かしてより柔軟な業務フローを設計したい場合、Makeはコストと機能のバランスが取れた優れたプラットフォームとして活躍します。
よくある質問(FAQ)
ZapierとMakeは無料でどこまで使えますか
ZapierとMakeはどちらも無料プラン(Freeプラン)を提供しており、期間の制限なく基本的な機能を試すことができます。ただし、月に実行できる処理の回数や構築できるワークフローの複雑さに違いがあります。
Zapierの無料プランは月間100タスクまで利用可能ですが、作成できるのはトリガーとアクションが1つずつのシンプルな2ステップのワークフロー(Zap)に限られます。一方、Makeの無料プランは月間1,000オペレーションまで利用でき、無料枠であっても複雑な複数ステップのシナリオを構築できるのが特徴です。
| 比較項目 | Zapier(Freeプラン) | Make(Freeプラン) |
|---|---|---|
| 月間処理数の上限 | 100タスク | 1,000オペレーション |
| 作成可能なワークフロー数 | 5 Zaps | 2 アクティブシナリオ |
| 複数ステップの構築 | 不可(2ステップのみ) | 可能 |
ZapierからMakeへ移行するのは難しいですか
ZapierからMakeへの移行は、基本的な自動化の概念が似ているため不可能ではありませんが、いくつかのハードルがあります。自動で設定を移行するツールは提供されていないため、手動で一つずつワークフローを再構築する必要があります。
移行を検討する際は、以下の点に注意して進めることをおすすめします。
- Zapierで連携していたアプリがMakeでもサポートされているか事前に確認する
- Make特有のルーター(条件分岐)やイテレーター(繰り返し処理)の概念を学習する
- テスト用のシナリオを作成し、意図した通りにデータが処理されるか検証する
日本語に対応しているのはZapierとMakeのどちらですか
2026年8月現在、ZapierとMakeはどちらも管理画面は英語のみの対応となっており、日本語には正式対応していません。しかし、Google Chromeなどのブラウザに標準搭載されている翻訳機能を利用することで、日本のユーザーでも問題なく設定を進めることが可能です。
また、管理画面は英語ですが、kintone、Chatwork、LINEといった日本国内で広く利用されているクラウドサービスやアプリケーションとのAPI連携には両ツールとも対応しており、日本語のテキストデータをそのまま送受信することができます。
Makeのオペレーション数とは何ですか
Makeにおける「オペレーション」とは、シナリオ内でモジュール(トリガー、アクション、検索など)が実行されるたびに消費される単位のことです。例えば、新しいメールを受信し(1オペレーション)、その内容をスプレッドシートに追記し(1オペレーション)、チャットツールに通知を送る(1オペレーション)というシナリオが1回実行されると、合計3オペレーションが消費されます。
Zapierの「タスク」は主にアクションが成功した際に消費されますが、Makeの「オペレーション」はデータの取得や条件分岐のチェックなど、より細かい単位で消費される仕組みになっています。そのため、無料プランの数字だけを見て「Makeの方が10倍多く処理できる」と単純に比較することはできません。
プログラミングの知識がなくてもMakeは使えますか
Makeはノーコードツールとして設計されているため、プログラミング言語の知識がなくても直感的なドラッグ&ドロップ操作で業務自動化のワークフローを構築できます。基本的なアプリ間のデータ連携であれば、画面の指示に従って設定するだけで十分に活用可能です。
ただし、より高度なデータ処理や、標準サポートされていないアプリとWebhooksを利用して連携する場合には、JSONなどのデータ構造やAPIに関する基礎的な知識があると、Makeのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
まとめ
この記事では、業務効率化ツールであるZapierとMakeの違いを5つのポイントで徹底比較しました。それぞれの特徴を理解し、自社の目的や予算に合った最適なツールを選ぶことが重要です。
- Zapierは連携アプリ数が圧倒的で、初心者でも直感的に使いやすいのが特徴です。
- Makeはコストパフォーマンスに優れ、複雑なワークフローを視覚的に構築できます。
- どちらも無料プランがあるため、実際の操作感を試して比較するのがおすすめです。
業務の自動化は、ルーティンワークを削減し、より重要な業務に集中するための第一歩です。まずは無料プランに登録し、簡単なタスクの自動化から実践してみましょう。









