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voyance inspectorの導入事例 AIを活用し目視検査を効率化

外観目視検査にAIを活用し、より正確かつ効率化を図りたい方へおすすめなのが「Voyance Inspector」というパッケージソフトウェアです。この記事では、Voyance Inspectorに搭載されている機能について解説したうえで、実際に導入し成功した企業の事例も紹介していきます。

voyance inspectorの導入事例 AIを活用し目視検査を効率化

AI × 人のビジネス革新

Voyance Inspectorとは?

「Voyance Inspector」は、HOYAデジタルソリューションズ株式会社が開発した外観検査システム構築支援サービスです。同社は、2017年からAIを活用した外観検査システムを提供してきましたが、2021年5月に発表したVoyance Inspectorは、これまでの内容をさらにパワーアップさせたものとなっています。では、どういった特徴があるのか、具体的に見ていきましょう。

画像検査・外観検査×AIソリューション

AIの導入や活用には、専門的な知識やAIエンジンの設定、データの撮像技術など、高度なスキルやノウハウが必要と言われています。そこで、Voyance Inspectorには、AIエンジンの選定やAIモデルの構築、AI学習などに使う画像の撮像システム構築といった、従来の外観検査システム構築のサポートに加えて、さまざまな機能を搭載しています。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 少量の画像で対応可能なAIモデルの新規開発機能
  • 最適化調整済みモデルのエクスポート機能
  • エッジ側が単体で使用できる判定アプリケーション

AIを活用した画像検査・外観検査に興味があるものの、試験的な位置付けなので、スモールステップで導入したいという方も多いでしょう。AI外観検査に関して基本的なことから相談できるVoyance Inspectorは、そういった方や検査工程にAIを取り入れることができるか不安に思っている方、AI導入に際してはベンダー任せではなく、自分たちで知見や経験を積んでいきたいという方にもおすすめです。

顧客のニーズに合わせて2つのサービスを用意している

Voyance Inspectorを導入する場合、お客様の要望に応じて、以下のような2パターンのソリューションからサービスを選択できます。

  • 「ワンストップ・ソリューション」
    AIによる外観検査について、フルで相談したいというお客様向けのサービスです。AIエンジンやモデルの選定から、検査工程での撮像システム、検査ライン装置の制御など、ニーズに合わせてサポートしてくれます。
  • 「パッケージ・アプリケーション」
    手元にあるデータを使って、まずは自分で試したいといったお客様向けのサービスです。Voyance Inspectorを活用することで、AIに関する知見がない場合でもAIモデルの作成から評価、追加学習までサポートしてもらえます。

運用面でも強力にサポート

通常、AI活用による外観検査を行う際、たとえば検査要件や製造モデルが変更されるたびに、AIモデルの微調整が発生してしまいます。また、AIによる外観検査の判定結果を前段階の工程へフィードバックし、品質向上に活用するデータも提供することになります。

Voyance Inspectorであれば、運用面での上記のような課題に対してもサポートしてくれます。AIモデル更新やバージョン管理といった調整作業に加え、判定根拠を示す画像データの提供機能や検査結果のログ出力なども対応してもらえるため、ユーザーの負担軽減につながるでしょう。

クラウドとオンプレミスの2形態で提供

Voyance Inspectorのシステム環境は、クラウド型とオンプレミス型の2種類が提供されており、お客様の要望に応じて選択できます。トライアルでAIの実現可能性を確認している間は手間やコストが抑えられるクラウド型を利用し、本契約時には自社システムとしてオンプレミス型を組み込むといった方法も可能です。

どちらのシステム環境でも、本運用を開始した際に必要となる、追加学習データセットやAIモデル、評価結果データの紐づけやモデルの世代管理などの各機能を提供してくれる「判定アプリケーション」をカスタマイズできるようになっています。

【導入事例】AIを活用し目視検査を効率化に成功

ここからは、AIを活用した外観目視検査で業務効率化を図れた実際の事例を紹介します。

【課題】判断のバラつき・非効率な計量作業

仕入れた農作物(大豆)の検品作業を目視で行ってきた、ある食品メーカーでは以下のような課題を抱えていました。

  • 大豆の不良品検出の判定基準として「色味」があったが、自然の農作物ゆえ、微妙な色味の基準を明確化できず、担当者によって検品の精度がバラバラな状態だった。
  • 日に数回受け入れた大豆は、まずトレイに取り分けられ、人の手によって1回あたり約1000粒の検品作業が必要でした。重量・粒数をカウントする計量作業や異物チェックに多くの時間を割かなければならない非効率性に、頭を悩まされていた。

これらの課題を解決するため、同メーカーではVoyance Inspectorを導入することにしました。

【実施内容①】AIと画像処理の分担

AIと画像処理にはそれぞれ異なる特徴があるため、まずは業務を分担させることから始めました。AIは、目視検査結果から学習し、推論に適用させることが得意です。そのため、読み込ませた画像から大量の特徴を抽出し学習させる作業をAI技術に頼ることにしました。

一方、画像処理は、大豆のようなほぼ一定の形状をした物体の検出や、長さ・数量を測定することが得意です。そこで、撮影した画像の特徴を人が定義した上で、ルール化して処理を行う作業を画像処理に担ってもらうことにしました。

【実施内容②】AIは物体検出ではなく画像分類に活用

Voyance Inspectorには、さまざまな状況に対応できるよう画像検査をサポートする機能が備わっています。たとえば今回の事例では「画像分類機能」が使われました。

もともとは不良品検出を解決するために、Voyance Inspectorの「物体検出機能(画像に写っているすべての物体のタグと矩形位置を識別する機能)」を活用する予定でした。しかし、大豆の一粒一粒をすべて正確に検出するということは現実的でなかったため、「画像分類機能(画像に写っている物体を、事前に定義されたタグのどれと適合するか識別する機能)」を利用するよう、方針が変更されました。

その結果、大量の大豆の計量を正確に行うことができたとともに、事前に定義された色味等の細かな特徴をもとに不良品の判定もできるようになりました。

【導入後の効果】課題の解決だけでなく他原材料への転用が可能に

今回の事例では、AIを活用した検査システムを導入することによってどのような効果が生まれたのでしょうか。まず、当初の課題であった、担当者ごとの判断のバラつきが防止でき、手間や時間がかかっていた検品作業が効率化できたという点が挙げられます。

それ以外に、画像などの検査記録データをシステム上に保存できるようになったという副産物もポイントです。今後は保存された画像データから季節や産地などの細かな情報をAIに学習させ、検査のさらなる精度向上を目指しています。

また、今回の事例は大豆でしたが、それ以外の原材料についてもシステムの拡大が予定されています。対象物の形状などが異なるため調整は必要ですが、基本的には今回の取り組みで得たスキルやノウハウを転用することで、時間をかけず、低コストでの導入が可能となるでしょう。

まとめ

HOYAデジタルソリューションズ株式会社が提供する「Voyance Inspector」は、顧客ニーズに合わせて課題を解決できる外観検査システム構築支援サービスです。システム環境としては、クラウドとオンプレミスの両方があり、クラウドで試してから、自社システムとしてオンプレミス型を組み込むという選択も可能です。今回ご紹介したような、実際の企業における活用事例も参考にしながら、ぜひVoyance InspectorによるAI外観検査の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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