クラウド移行(インフラ・DB)

クラウドコンピューティングってどんなもの?定義やメリットをわかりやすく紹介(初心者向け)

昨今、ビジネスシーンなどにおいて「クラウド」という言葉を聞く機会が増えました。しかし、クラウドサービスやクラウドコンピューティングという言葉は一般的になりましたが、いざ説明しようとすると意外と難しいものです。当記事では、初心者でも概要を理解しやすいように、事例も交えながらわかりやすく解説しています。

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Microsoft Azure製品カタログ

クラウドコンピューティングの定義

そもそもクラウドコンピューティングとは、インターネット上のサーバーにあるコンピューターが提供している機能を、インターネット経由で利用する仕組みのことを指します。わかりやすく言うと、「インターネット上でアプリケーション込みでも利用できるサービス」のことです。GmailやYahoo!メールなどを例に挙げると、イメージしやすいかもしれません。

通常は、ローカル環境にあるコンピューター(PC)内にさまざまなアプリケーションをインストールして利用します。会社で使用するPCであれば、WordやExcel、Outlookといったアプリケーションがインストールされている状態です。

一方で、クラウドコンピューティング形態で提供するサービス(以下クラウドサービス)の場合は、自身のPCにアプリケーションをインストールする必要はありません。インターネットに接続できる環境があれば、サーバー上で提供している機能やサービスを利用することができます。会社のPCからでも、自宅でスマホからでも、同一のデータにアクセスでき、同一のサービスを利用できることが特長です。

ちなみに、クラウドとは「雲」のことです。インターネットを図式化する際に雲の図柄で表すことから、インターネット上の環境のことをクラウドと呼んでいます。さらに、クラウドコンピューティングという言葉が普及したことで、今まで使っていたローカルのサーバー環境は「オンプレミス」と呼称されるようになりました。

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クラウドコンピューティングの分類

クラウドコンピューティングは、提供する機能の種類によって分類することができます。大別すると、SaaSPaaSIaaSの3つです。それぞれのサービスについて簡単に説明します。

SaaS(Software as a Service)

インターネット経由でソフトウェアを提供するサービスのことを指します。電子メールや社内グループウェア、顧客管理、クラウド型ERPなどのサービスがこれに該当します。

プライベートでもビジネスでも幅広く利用されており、3つの中で最もユーザーが耳にする機会の多いものです。

PaaS(Platform as a Service)

インターネット経由でアプリケーションを利用するためのプラットフォームを提供するサービスのことを指します。PaaSを利用することで、OSのインストールやネットワーク設定が不要になります。主にビジネスシーンで利用されており、Microsoft AzureやAWSが有名です。

IaaS(Infrastructure as a Service)

インターネット経由でインフラ部分を提供するサービスのことを指します。HaaS(Hardware as a Service)と呼ばれることもあります。IaaSを利用することで、ストレージやメモリなどのハードウェア部分の環境準備が不要になります。Microsoft AzureやAWSが有名です。

上記3つの他に、提供先の環境によってプライベートクラウドパブリッククラウドに分類することもあります。

プライベートクラウド

大企業などが自社の社員に利用させるために、専用に構築したクラウドコンピューティング環境のことです。自社の用途に合わせてカスタマイズできることが特徴です。また環境を占有できるため、セキュリティ面でも信頼性が高くなります。

パブリッククラウド

インターネット経由で誰でも利用できるクラウドコンピューティング環境のことを、パブリッククラウドと呼びます。一般的に私たちが利用しているのは、こちらです。

クラウドコンピューティングの具体例

それでは、実際にどのようなサービスがあるのか、身近な例をご紹介します。

【Microsoft Azure】

Microsoft Azure は、ビジネス上の課題への対応を支援するためにマイクロソフトが提供するIaaS/PaaSサービスの集合体です。世界規模の巨大なネットワークに対し、お気に入りのツールやフレームワークを使ってアプリケーションを自在に構築、管理、展開することができます。さらには上記のようなサービスだけでなく、小売業や製造業、医療など業界に特化したクラウドサービスにも力を入れており幅広く利用されています。

【Microsoft Office 365】

マイクロソフトが提供するOffice 365 は、使い慣れた Office の機能とクラウドの高い柔軟性を組み合わせたソリューションです。どこにいるときでも、デバイスに関係なく、仕事や共同作業を行うことができます。

【Sales Cloud】

Sales Cloudは、セールスフォースが提供しているクラウド型のCRM(顧客管理システム)、SFA(営業支援システム)です。クラウド上にあるデータベースに顧客情報や案件情報を保存し、どこからでも閲覧することができます。SaaSの分類になります。

【box】

Dropboxは、オンラインストレージと呼ばれるデータ管理サービスです。自身のコンピューター上にあるフォルダとクラウド上にある仮想フォルダを同期して、データをクラウド上に保存することができます。SaaSの分類になります。

【Amazon Alexa】

徐々に日本でも利用者が増えてきているスマートスピーカーですが、仕組みとしてはこれもクラウドサービスです。利用者がスマートスピーカーに話しかけた内容は、音声データとしてクラウドサーバーに送信され、クラウド側で音声認識・処理されて、その結果をスマートスピーカー側に返しています。

【クラウドサイン】

契約書や請求書などをクラウドに保存するサービスが、クラウドサインです。
既存の方法では紙面でのやりとりや押印の必要があった契約を、電子データのみで完結するようにしたことで、手続きの圧倒的な効率化を実現しました。
現在では、みずほ証券やリクルートなどの大企業をはじめ、多くの企業で導入が進んでいます。ちなみにこちらもSaaSの分類になります。

【Gmail】

Gmailは、Googleが提供するフリーのメールサービスです。2004年4月1日から提供を開始しており、WebメールとPOP3・SMTP、IMAPに対応しています。

【AWS(Amazon Web Services)】

Amazon のクラウドサービスである AWSは、コンピューティング、ストレージ、データベース、分析ツール、アプリケーション、AI・機械学習サービス等、幅広いサービスを提供しています。また、同様のサービスをMicrosoft(Microsoft Azure)も提供しています。

【Dynamics 365】

マイクロソフトが提供するビジネスアプリケーションです。CRM/SFAやERPの機能をクラウドで提供しています。

クラウドコンピューティングのメリット

クラウドコンピューティングが普及した背景には、以下のようなメリットが、今どきのコンピューター利用環境やビジネス形態にマッチしたことがあります。

【利点1】システム・環境構築が不要&拡張性が高い

今まではアプリケーションやシステムを利用したい場合、PCにアプリケーションをインストールしたり、組織であれば自社サーバーを立ち上げてシステム環境を用意したりする必要がありました。しかし、これには時間もコストもかかります。

クラウドサービスであれば、サービス提供側がシステム環境などをすべて用意してくれているので、利用したい期間だけ利用料を支払えば、いつでも利用できます。

アプリケーションのバージョンが新しくなったときにも、今までは新しくパッケージを買い直したり、アップデートの手続きをしたりする必要がありましたが、クラウドサービスであればサービス提供側がすべて対応してくれます。自分たちで何かを用意する必要がなく、また不具合対応やメンテナンスなども不要になります。

一方で、クラウドサービスを提供する側では、大規模なデータセンターや膨大なサーバー機器などを用意し、インターネット経由でユーザーがサービスを利用できるような環境を構築しています。

【利点2】必要なときにすぐに利用できる

今までは、利用したいソフトウェアのパッケージを購入し、組織で利用するサービスであれば契約書のやりとりなどが必要でした。

クラウドサービスであれば、利用したい場合には申し込みをして、利用料を支払えばすぐに利用することができます。複雑な契約や書類のやりとりはほとんどなく、多くはインターネット上で利用申請と支払い手続きをするだけですので、スムーズに利用できます。

【利点3】初期投資が不要、必要な期間だけ支払えばよい

先述のように、今まではアプリケーションを利用するためにサーバーを準備したり、パッケージを購入したりするなどの初期投資が必要でした。クラウドサービスでは基本的に、「利用した期間・量だけ支払う」という従量課金制になりますので、利用したい期間分の利用料を支払うだけで済みます。仮に、一時的にアクセス負荷が高まると見込まれるWebサービスがあったとしましょう。そうした場合、クラウドサービスでその期間中だけサーバー環境をレンタルすれば、数日間分のサーバー利用料を支払うだけで、快適にWebサービスを利用できます。もしもオンプレミスで用意する場合は、多額のコストと大きな手間がかかります。

【利点4】マルチデバイス環境で利用できる

今までは、あるPCで作業した履歴は、他のPCで引き継ぐことができませんでした。クラウドサービスであれば、利用した履歴やデータはすべてサーバー上に保存されているため、どのPCであっても、あるいはスマホなど別のデバイスであっても、ログインすれば引き継ぐことが可能です。

【利点5】災害時の復旧がしやすい

自社でサーバー環境を用意するオンプレミスの場合、台風や地震、火事などの予期せぬ災害にあったときに、復旧に時間がかかる可能性があります。クラウドのホスティングサービスを利用することで、万が一自社で保存しているデータが破損した場合でも、クラウドサービスに保存しておいたデータから容易に復旧することが可能です。

初期投資が不要、かつ必要な期間だけ利用できるということは、スピード感がある開発ができるということです。業務効率化やコスト削減にも貢献するクラウドサービスは、現代のビジネスシーンにおいて非常に重要な技術となっています。

エッジコンピューティング

クラウドコンピューティングと対になるような仕組みが、エッジコンピューティングです。これは、インターネットサーバーより手前のデバイス(スマホ、ルータなど)でデータ処理を行う技術を指します。エッジとは「端」のことで、インターネットの端のデバイスで処理することを意味しています。クラウドコンピューティングのように、インターネット上のサーバーで集中処理を行うと、サーバーに負荷がかかります。また、データを送信するための時間も必要になります。そのため、リアルタイムで軽い処理を行いたいIoT機器などでは、エッジコンピューティングの技術を用いることで、負荷分散や遅延防止を実現させています。

クラウドコンピューティングを利用するときの注意点

クラウドコンピューティングは非常に便利な仕組みですが、利用するにあたっては注意が必要な点もあります。

インターネットに接続していないと利用できないことに注意

クラウドコンピューティングはPCでもスマホでも、家でも外出先でも、さまざまな環境で利用できることが大きなメリットです。しかしインターネットに接続できない環境下では、当然利用ができなくなってしまいます。接続が安定しなかったり、一時的にインターネット利用を制限されたりするような状況下では、もどかしい思いをすることになるでしょう。

無料で使えるクラウドサービスには注意

Gmailなどのように、無料で利用できるクラウドサービスも数多くあります。非常に便利な反面、対価として自分の情報がビッグデータとして利用される可能性があることに注意が必要です。また、無料で提供されているクラウドサービスは、突然提供を終了してしまうケースもあります。

SLAに注意

クラウドコンピューティングは自社で資産を抱えないことによる大きなメリットがある反面、サービス提供会社のサービスレベルに準ずる必要があります。簡単に言ってしまうと極論ではありますが、何か起こった場合には、自社では解決するのが難しいということを意味します。もし、クラウドを活用する場合には、提供事業者が掲げるSLAや体制などを考慮して導入することが重要です。

まとめ

クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でさまざまなコンピューティング資源(ソフトウェア、ハードウェア、処理性能、記憶領域、ファイル、データ、人工知能/機械学習など)を提供する仕組みのことです。必要なときにすぐに利用できる、利用するための環境を用意しなくてよい、初期投資が少なくて済むといった点から、個人利用でもビジネスシーンにおいても欠かせないものになっています。昨今ではMicrosoft OfficeやAdobe Creative Cloudのように、それまでアプリケーションをパッケージ形態で提供してきた企業でも、クラウドサービスとして提供する方針に変更するところが増えてきています。もはやビジネスでも個人でもクラウドは当たり前と言えるでしょう。クラウドサービスを利用するメリット・デメリットをきちんと理解した上で、上手に有効活用していきましょう。

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