クラウド移行(インフラ・DB)

日本におけるクラウド導入率は低い?進まないその理由は?

Microsoft Azureなどのパブリッククラウドサービスを主体にしたシステム構築が世界的に普及する中、国内での導入率は未だに低い水準にとどまっています。この記事では日本のクラウド市場の傾向や、パブリッククラウドのメリットと利用のポイント、日本で普及が伸び悩んでいる理由などを詳しく解説します。

日本におけるクラウド導入率は低い?進まないその理由は?

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クラウドの市場規模

まず、国内におけるクラウド市場が全体でどのくらいの規模に成長しているのか見てみましょう。
ICT関連コンサルティング会社のMM総研は、企業の情報システム担当者を対象にWebアンケート形式で実施した「国内クラウドサービス需要動向調査」をもとに、2020年5月時点での国内クラウドサービスの市場動向をまとめています。

MM総研によると、オンプレミス型で運用される企業内クラウドなども含めたクラウドサービス全体の市場規模は、2019年度で2兆3572億円と前年推計値の1兆9422億円から21.4%増加しており、市場が拡大傾向にあることがうかがえるとしています。この市場拡大傾向はしばらく継続するとみられ、2024年度には市場規模が5兆3970億円に達すると推計しています。

また、MM総研は、今後のクラウド市場の急成長を支えるのはAmazonウェブサービス(AWS)、Microsoft Azure(Azure)、Googleクラウドプラットフォーム(GCP)に代表される「パブリッククラウドサービス」だと分析しています。

パブリッククラウドとは、企業や個人など不特定多数のユーザーを対象としてクラウドコンピューティング環境を提供するクラウドコンピューティングサービスのことを指す言葉です。

これに対し、企業の社員など限られたユーザー間でコンピューターシステムを共有するスタイルは「プライベートクラウド」と呼ばれています。

2019年度はプライベートクラウドが1兆5451億円、パブリッククラウドが8121億円の規模となっていますが、2024年度にはそれぞれ約3兆円、約2兆4000億円に成長すると予測されており、特にパブリッククラウド市場が躍進するとみられています。

また、この調査によると、今後の新規システム構築に何らかの形でクラウドを利用すると答えた企業が従業員1000人以上の規模では9割近くに上っています。昨今の働き方改革や新型コロナウイルス流行によるテレワークの推進など、遠隔で業務が行える仕組みづくりを進める中でシステムのクラウド化は欠かせない要素となっており、大企業となるほどその傾向が顕著となっていることが読み取れます。

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日本におけるクラウド導入の現状

では、日本でのクラウド導入状況はどのようになっているのでしょうか。ここでは国内企業におけるクラウド導入の現状や、クラウドサービスを使用する意義、企業に導入されるクラウドサービスの具体的な内容について詳しく解説していきます。

クラウドサービスの導入率はまだまだ低い

クラウド市場全体の規模は拡大の一途にありますが、企業の業務システムにパブリッククラウドサービスを導入する動きは日本ではまだ始まったばかりです。

世界的なICTコンサルティング会社のガートナージャパンは、2020年1月に行った独自調査をもとに、「日本企業におけるクラウドの浸透は、相当にスローな状況」とし、「実際の導入には慎重な姿勢」であるとの見解を示しています。

ガートナー社は日本特有の企業風土が慎重な姿勢の要因であり、新システム導入の足かせとなっている状況であると推測しています。

主に利用されているクラウドサービス

一方、実際にクラウドを導入している企業は、具体的にどのような業務に活用しているのでしょうか。

総務省が公表した「令和2年版情報通信白書」によると、2019年に実施された「令和元年通信利用動向調査」では、企業のクラウドサービスの利用内訳について「ファイル保管・データ共有サービス」が56.0%と最も多く、「電子メール」が48.0%、「社内情報共有・ポータル」が43.0%で続いており、データの保管や情報のやり取りなどシンプルな用途に関してはある程度普及していることが垣間見えます。その一方で「営業支援」が18.4%、「プロジェクト管理」は9.6%など、高度な利用での導入は低水準にとどまっており、運用に高度なスキルが求められるため、導入のハードルが高くなっていることが考えられます。

クラウドサービスを利用する理由

では、あえてクラウドサービスを利用する理由はどのようなところにあるのでしょうか。「令和2年版情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用する理由として「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」との回答が45.9%と最も多く、「場所、機器を選ばずに利用できるから」が43.3%、「安定運用、可用性が高くなるから」が36.8%と続いています。これらは多くの企業にクラウドのメリットとして利用されているとみられます。

また、「災害時のバックアップとして利用できるから」という回答も32.6%にのぼります。BCP(事業継続計画)策定において、あらゆる状況において事業資産を守るためにクラウドサービスの利用が有効であるという認識が高まっているためでしょう。

クラウドの導入率はなぜ伸びないのか?

一方、クラウドを利用していない企業は、その理由として「必要がない」という回答が45.7%で最も多くなりました。また、「情報漏洩などセキュリティに不安がある」が31.8%、「メリットが分からない、判断できない」が17.8%と、これらの理由で二の足を踏む企業もあり、クラウドサービスの特性やデメリットを踏まえた運用が見いだせていない状況がまだまだ存在しているともいえます。

大手クラウドの利用が増加

パブリッククラウドサービスのうち、サーバーやストレージ、ネットワークなどのハードウェアやインフラ、アプリケーションの開発環境を提供する「IaaS」と、IaaSで提供するハードウェアやインフラに加えOSやデータベース、開発ツールを提供する「PaaS」の分野では特にAWS、Azure、GCPの大手3社利用の増加が目を引きます。これは、顧客ニーズを読み取った継続的な開発や、導入から利用まで迅速に行える体制が整っていることなどが、カスタマーとなる企業にとって利点が大きいためであると考えられます。

MM総研の「国内クラウドサービス需要動向調査」によると、2020年のPaaS市場の利用率はAWSが前年比0.6ポイント増の48.3%、Azureが前年比6.2ポイント増の39.0%、GCPが前年比6.2ポイント増の19.4%といずれも上昇傾向にあります。IaaSもAWSが前年比4.8ポイント増の51.9%、Azureが5.2ポイント増の30.6%、GCPが5.3ポイント増の13.9%となっています。

また、クラウド上の既成アプリケーションが利用できる「SaaS」の分野では、新型コロナウイルス流行の影響でWeb会議サービスへのニーズが一気に高まり、情報共有やコミュニケーションに関するサービスを求める新たな動きが生まれています。

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まとめ

働き方改革や新型コロナウイルスの影響など社会情勢もあり、企業や組織の枠を超えたグローバルな規模での運用が求められるようになっています。これからの企業運営においては、パブリッククラウドサービスの導入と活用を推し進めていくことがさらなる成長に向け、極めて重要になると考えられています。

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