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Amazon EBSとは?初心者向けに機能・料金・S3 との違いをわかりやすく解説

Amazon EBSとは?初心者向けに機能・料金・S3 との違いをわかりやすく解説

AWSを使い始めたものの、「Amazon EBSって何?」「よく聞くS3とどう違うの?」といった疑問をお持ちではありませんか。Amazon EBSは、Amazon EC2インスタンスと組み合わせて利用する非常に重要なストレージサービスですが、その種類や料金体系は複雑で、初心者にとっては少し難しく感じるかもしれません。しかし、EBSの特性を正しく理解し、用途に合わせて最適なボリュームタイプを選択することが、AWS環境のパフォーマンス向上とコスト削減に直結します。

この記事で分かること

  • Amazon EBSの基本的な仕組みとブロックストレージとしての役割
  • gp3やio2など主要ボリュームタイプごとの性能・コストと最適な選び方
  • Amazon S3やEFSとの明確な違いと、具体的な使い分けの基準
  • EBSの料金体系と、インスタンス停止中などの注意点、コストを抑えるコツ
  • スナップショットを活用した簡単で確実なバックアップ・復元方法

Amazon EBSとは何か?AWSストレージの基礎知識

Amazon EBS(Elastic Block Store)は、Amazon Web Services(AWS)が提供する、クラウド上の仮想サーバーであるAmazon EC2インスタンスに接続して利用するブロックストレージサービスです。 パソコンに内蔵されているハードディスクやSSDのように、EC2インスタンスのOS(オペレーティングシステム)を起動したり、アプリケーションをインストールしたり、データを保存したりするための領域として機能します。

EBSは、EC2インスタンスとは独立したサービスであり、インスタンスを停止または終了してもデータが消えることのない「永続性」が大きな特徴です。 これにより、サーバーの障害やメンテナンス時にも大切なデータを保護できます。

Amazon EBSの概要 - EC2インスタンスに接続する仮想ハードディスク

Amazon EBSは、EC2インスタンスに「アタッチ(接続)」して使用する、いわば外付けの仮想的なハードディスクと考えると分かりやすいでしょう。 物理的なサーバーでハードディスクを増設するように、クラウド上でも必要に応じてストレージ容量を柔軟に追加・変更できます。

主な用途としては、以下のようなものが挙げられます。

  • EC2インスタンスの起動ディスク(ブートボリューム)
  • データベースのデータ保存領域
  • 高速な読み書きが求められるアプリケーションの作業領域
  • ファイルサーバーのデータ格納先

EBSはEC2インスタンスと同じアベイラビリティーゾーン(AZ)内に作成され、ネットワーク経由で接続されます。 これにより、高速かつ安定したデータアクセスを実現しています。

ブロックストレージとしてのEBSの特徴

EBSは「ブロックストレージ」という種類のストレージサービスです。 ブロックストレージとは、データを「ブロック」と呼ばれる固定長の単位で管理する仕組みのことです。 各ブロックには固有のアドレスが割り振られており、OSはこのアドレスを直接指定して高速にデータの読み書きを行います。

この特性により、EBSはデータベースのように頻繁なデータの更新や、ランダムなアクセスが発生する処理を得意としています。 ファイル単位でデータを管理する「ファイルストレージ」(Amazon EFSなど)や、オブジェクトという単位で管理する「オブジェクトストレージ」(Amazon S3など)と比較して、一般的にレイテンシ(遅延)が少なく、高いI/O性能(秒間あたりの読み書き性能)を発揮します。

EBSの重要な特性 - 永続性と独立性

EBSを理解する上で欠かせないのが、「永続性」と「独立性」という2つの重要な特性です。

データの永続性

EBSボリュームに保存されたデータは、アタッチ先のEC2インスタンスの状態とは無関係に保持されます。 たとえEC2インスタンスを停止したり、予期せぬ障害で終了してしまったりしても、EBS上のデータは消えることはありません。これは、一時的なデータ保存領域である「インスタンスストア」との大きな違いです。 この永続性により、EBSはシステムの重要なデータを安全に保管するための基盤となります。

インスタンスからの独立性

EBSボリュームは、あるEC2インスタンスから「デタッチ(切り離し)」して、別のEC2インスタンスにアタッチ(付け替え)することが可能です。 この独立性により、以下のような柔軟な運用が実現できます。

  • サーバーのスペック変更時(スケールアップ/ダウン)に、データをそのまま新しいインスタンスに引き継ぐ。
  • サーバーに障害が発生した際に、待機系のインスタンスにボリュームを付け替えて迅速にサービスを復旧する。
  • 特定のデータを複数のサーバーで(時間をずらして)利用する。

AWSにおけるストレージサービスの全体像

AWSには、用途に応じて様々なストレージサービスが用意されています。EBSはその中核をなすサービスの一つですが、他のサービスとの違いを理解することで、より適切なストレージ選択が可能になります。 ここでは、代表的な3つのストレージサービスの位置づけを簡単に整理します。

サービス名 ストレージタイプ 主な特徴と用途
Amazon EBS ブロックストレージ EC2インスタンス用のOS起動ディスクや、高速な読み書きが必要なデータベースなどに利用。
Amazon S3 オブジェクトストレージ 容量無制限で高い耐久性を持ち、バックアップデータ、静的ウェブサイトのコンテンツ、ビッグデータ分析用のデータレイクなどに利用。
Amazon EFS ファイルストレージ 複数のEC2インスタンスから同時にアクセス可能で、コンテンツ管理システムや共有ファイルシステムなどに利用。

このように、EBSは特にEC2インスタンスと密接に連携し、高速なアクセスを必要とするデータの保存場所として設計されていることがわかります。 各サービスの詳細な比較については、後の章で詳しく解説します。

Amazon EBSの種類とボリュームタイプの比較表

Amazon EBSは、EC2インスタンスにアタッチして利用するブロックストレージサービスで、ワークロードの要件に応じて複数のボリュームタイプが提供されています。 これらは大きく分けて、高速な読み書き性能を特徴とする「SSD(ソリッドステートドライブ)」ベースのボリュームと、大容量データを低コストで保存することに長けた「HDD(ハードディスクドライブ)」ベースのボリュームの2種類に分類されます。 それぞれのタイプはさらに細分化されており、パフォーマンス特性や料金が異なるため、アプリケーションのニーズに合わせて最適なものを選択することが重要です。

以下に、現行世代の主要なEBSボリュームタイプの特性をまとめた比較表を示します。

項目 汎用SSD (gp3) 汎用SSD (gp2) プロビジョンド IOPS SSD (io2 Block Express) プロビジョンド IOPS SSD (io1) スループット最適化 HDD (st1) Cold HDD (sc1)
主な用途 仮想デスクトップ、中規模データベース、開発・テスト環境など、コストとパフォーマンスのバランスが求められる多くのワークロード (gp3への移行を推奨) コストとパフォーマンスのバランスが取れた汎用的な用途 大規模データベース、ビジネスクリティカルなアプリケーションなど、ミリ秒未満のレイテンシーと最高のパフォーマンスが求められるワークロード 高いパフォーマンスが要求されるNoSQL/リレーショナルデータベース ビッグデータ、データウェアハウス、ログ処理など、スループット重視のワークロード アクセス頻度の低いデータのアーカイブなど、コストを最優先するワークロード
ボリュームサイズ 1GiB~16TiB 1GiB~16TiB 4GiB~64TiB 4GiB~16TiB 125GiB~16TiB 125GiB~16TiB
最大IOPS/ボリューム 16,000 16,000 256,000 64,000 500 250
最大スループット/ボリューム 1,000MiB/s 250MiB/s 4,000MiB/s 1,000MiB/s 500MiB/s 250MiB/s
耐久性 99.8%~99.9% 99.8%~99.9% 99.999% 99.8%~99.9% 99.8%~99.9% 99.8%~99.9%

Amazon EBS ボリュームの種類に関する詳細な情報や最新のスペックについては、AWSの公式ドキュメントも併せてご確認ください。

gp3とgp2の違いとコストパフォーマンス

gp3とgp2は、どちらも汎用SSDボリュームですが、性能とコストの点で大きな違いがあります。gp3は、gp2と比較してストレージコストが最大20%低く設定されているうえ、ボリュームサイズとは独立してIOPSとスループットを個別に設定できる柔軟性を持ち合わせています。 これにより、必要以上の性能にコストを支払う無駄をなくし、ワークロードに最適化された構成を実現できます。

一方、旧世代のgp2では、IOPS性能がボリュームサイズに比例するため、高いIOPSを確保するには不必要に大きなボリュームを作成する必要がありました。 また、最大スループットもgp3が1,000MiB/sであるのに対し、gp2は250MiB/sに留まります。 これらの理由から、現在gp2を利用している場合は、多くの場合でダウンタイムなしに変更可能なgp3への移行が推奨されます。

io2とio1の違いと高い耐久性

io2とio1は、ミッションクリティカルなデータベースなど、一貫して高いI/O性能を要求されるワークロード向けに設計されたプロビジョンドIOPS SSDボリュームです。 両者の最も大きな違いは「耐久性」にあります。io1が99.8%~99.9%の耐久性(年間故障率0.1%~0.2%)であるのに対し、io2は99.999%という非常に高い耐久性(年間故障率0.001%)を提供するように設計されており、io1の100倍の信頼性を誇ります。

さらに、io2の最新世代である「io2 Block Express」は、EBSで最も高性能なボリュームタイプです。 io1の4倍にあたる最大256,000 IOPSと4,000 MB/sのスループットを実現し、一貫したミリ秒未満の低レイテンシーを提供するため、最も要求の厳しいエンタープライズアプリケーションにも対応可能です。

st1とsc1の違いとHDDの活用シーン

st1とsc1は、SSDに比べてGB単価が安価なHDDベースのボリュームです。主な性能指標がIOPSではなくスループット(MB/s)である点が特徴で、大きなサイズのデータをシーケンシャルに処理する用途に適しています。 ただし、OSなどを起動するためのブートボリュームとしては使用できません。

st1(スループット最適化HDD)は、ビッグデータ分析、データウェアハウス、ログ処理といった、アクセス頻度が高くスループットが重視されるワークロード向けに設計されています。 一方でsc1(Cold HDD)は、アクセス頻度は低いものの、大容量のデータを低コストで保管したい場合に最適な選択肢です。 sc1はEBSボリュームの中で最もGB単価が安価ですが、その分スループット性能はst1よりも低く設定されています。 したがって、パフォーマンスを優先するならst1、コストを最優先するならsc1、という基準で使い分けるのが良いでしょう。

Amazon EBSと他AWSストレージサービスの違いを徹底比較

AWSには、Amazon EBSの他にも様々なストレージサービスが存在します。特に「Amazon S3」と「Amazon EFS」は代表的なサービスですが、それぞれ特性が異なり、用途に応じて適切に使い分けることがコスト最適化とパフォーマンス向上の鍵となります。この章では、EBSとこれらの主要なストレージサービスとの違いを詳しく比較し、最適な選び方を解説します。

Amazon S3との違いと使い分けの基準

Amazon EBSとAmazon S3は、AWSで最も広く利用されているストレージサービスですが、その根本的な仕組みと最適な用途は大きく異なります。EBSがEC2インスタンスに直接接続して使用する「ブロックストレージ」であるのに対し、S3はインターネット経由でアクセスする「オブジェクトストレージ」です。 この違いを理解することが、適切なサービス選択の第一歩となります。

EBSは、EC2インスタンスにとっての仮想的なハードディスクやSSDのような存在です。 OSの起動(ブートボリューム)、データベースのデータ保存領域、頻繁な読み書きが発生するアプリケーションの作業領域など、高速なデータアクセスが求められる場面で利用されます。 一方のS3は、ファイル単位でデータを管理し、実質的に容量無制限で利用できるスケーラビリティと、99.999999999%(イレブンナイン)という非常に高いデータ耐久性が特徴です。 主に、ウェブサイトで公開する画像や動画などの静的コンテンツの配信、バックアップデータの保管、データ分析のためのデータレイクといった用途で活躍します。

EBSとS3の比較
項目 Amazon EBS Amazon S3
ストレージタイプ ブロックストレージ オブジェクトストレージ
主な用途 EC2インスタンスのOS、データベース、高速な読み書きが必要なアプリケーション領域 バックアップ、アーカイブ、静的コンテンツ配信、データレイク
接続方法 特定のEC2インスタンスにアタッチして利用 インターネット経由でのAPIアクセス (HTTP/HTTPS)
データ
共有
基本的に単一のEC2インスタンスからのみ利用(Multi-Attach機能もあるが制約あり) URLやアクセス権限の設定により、複数の場所から容易に共有・アクセス可能
パフォーマンス 低レイテンシで高速なI/O処理が可能。IOPSやスループットを指定できる。 スループットは高いが、レイテンシはEBSより大きい。頻繁なデータ更新には不向き。
容量 ボリュームごとに上限あり(最大64TiB) 実質的に容量無制限

これらの違いから、使い分けの基準は明確です。以下のポイントで判断しましょう。

  • EC2インスタンスのOSやアプリケーションをインストールする「システムドライブ」として使いたい場合はEBSを選びます。
  • 高いI/O性能が求められるデータベースサーバーのデータ領域にはEBSが必須です。
  • ウェブサイトの画像や動画、ドキュメントファイルなどを保存・配信したい場合はS3が最適です。
  • システムのバックアップデータや、長期間保管が必要なアーカイブデータの保存先としては、低コストで耐久性の高いS3が適しています。

Amazon EFSとの違いと選び方のポイント

Amazon EFS (Elastic File System) もEC2インスタンスで利用できるストレージですが、EBSとの最大の違いは複数のEC2インスタンスから同時にアクセスできるかどうかという点にあります。 EBSが基本的に1台のEC2インスタンスに1対1で接続されるのに対し、EFSはNFS(Network File System)プロトコルを介して、複数のインスタンスで共有可能なファイルストレージを提供します。

この特性から、EFSはオンプレミス環境における「ファイルサーバー」や「NAS(Network Attached Storage)」をクラウドで実現するようなサービスと考えることができます。 例えば、複数のウェブサーバーで同じコンテンツファイル(画像やCSSなど)を共有したり、複数台のサーバーで構成されるシステムのログを一元的に集約したりするユースケースに適しています。 また、使用した分だけ料金が発生し、容量が自動でスケールするため、管理の手間が少ないのも大きなメリットです。

EBSとEFSの比較
項目 Amazon EBS Amazon EFS
ストレージタイプ ブロックストレージ ファイルストレージ
アクセス性 単一のEC2インスタンスからアタッチして利用 複数のEC2インスタンスから同時にマウントして利用可能 (NFSv4)
主な用途 単一インスタンスに紐づく高速ストレージ(OS、DBなど) 複数インスタンス間でのファイル共有、コンテンツ管理、共有アプリケーション
パフォーマンス特性 非常に低レイテンシ。IOPS/スループットを細かく設定可能。 レイテンシはEBSより大きい。スループットはファイルシステムのサイズに応じてスケール。
スケーリング 事前に確保したボリュームサイズ内での利用。変更は可能。 容量は自動で伸縮。プロビジョニング不要。

EBSとEFSのどちらを選ぶべきか迷った際は、以下のポイントで判断すると良いでしょう。

  • 複数のサーバーで同じファイルにアクセスする必要があるか? → 「はい」ならEFSが第一候補です。ウェブサーバーのドキュメントルート共有や、複数ノードでの分析処理などが典型例です。
  • データベースのように、ミリ秒単位の低レイテンシと高いI/O性能が最優先か? → 「はい」ならEBS(特にio2 Block Expressなど)が適しています。
  • Linuxベースのファイルシステムとして、手軽にマウントして使いたいか?EFSはNFSクライアントがあれば簡単にマウントできます。
  • 単一のEC2インスタンスに紐づく、OSや特定のアプリケーション専用のディスクが必要か? → この場合はEBSを選択します。

このように、AWSの各ストレージサービスは明確な役割分担があります。それぞれの特性を正しく理解し、構築するシステムの要件に合わせて最適なサービスを選択することが、効率的で信頼性の高いシステム構築につながります。より詳細な情報については、AWSの公式ストレージサービスのページも参考にしてください。

Amazon EBSの利用料金と安く抑えるコツ

Amazon EBSは非常に便利なサービスですが、料金体系を正しく理解せずに利用すると、想定外のコストが発生する可能性があります。EBSの料金は、主にプロビジョjoningしたストレージ容量、選択したボリュームタイプ、そしてバックアップであるスナップショットの利用状況によって決まります。この章では、EBSの料金体系を詳しく解説し、今日から実践できる具体的なコスト削減のコツを紹介します。

Amazon EBSの主要な課金要素

EBSの利用料金は、単一の要素ではなく、複数の要素の組み合わせで構成されています。主に「ボリューム料金」と「スナップショット料金」、そして特定の機能を利用した際の「追加料金」に大別されます。 これらの要素を理解することが、コスト最適化への第一歩です。

ボリューム料金:プロビジョニングした分だけ課金

EBSの最も基本的な料金は、確保(プロビジョニング)したストレージ容量に対して発生します。 これは「GB単価/月」で計算され、実際にデータを保存しているかどうかに関わらず、確保した領域全体が課金対象となります。重要な点として、EBSボリュームはアタッチしているEC2インスタンスが停止していても、ボリュームを削除しない限り課金が継続します。

また、選択するボリュームタイプによって、ストレージ容量に加えてIOPS(1秒あたりのI/O処理回数)やスループット(データ転送速度)に対しても料金が発生する場合があります。 各ボリュームタイプの主な課金対象は以下の通りです。

ボリュームタイプ ストレージ料金 IOPS料金 スループット料金
汎用SSD (gp3) あり 3,000 IOPS超過分 125 MB/s超過分
汎用SSD (gp2) あり なし(容量に依存) なし(容量に依存)
Provisioned IOPS SSD (io2/io1) あり あり ボリュームタイプによる
スループット最適化HDD (st1) あり なし なし(容量に依存)
Cold HDD (sc1) あり なし なし(容量に依存)

(料金詳細はAmazon EBS の料金ページでご確認ください)

スナップショット料金:増分でもデータ量に応じて課金

EBSスナップショットは、ボリュームのバックアップとして利用され、そのストレージ容量に対して課金されます。 初回のスナップショットではボリューム全体のデータが保存されますが、2回目以降は変更された部分のみが保存される「増分バックアップ」となります。 しかし、課金は増分だけでなく、その時点で保存されている全データブロックの合計サイズに対して行われるため、スナップショットが増えるほどコストも増加します。

また、スナップショットにはアクセス頻度に応じて2つのストレージ階層が用意されています。

  • Standard: 頻繁にアクセスするバックアップ用の標準的な階層です。
  • Archive: アクセス頻度は低いが長期保存が必要なバックアップに適した低コストな階層です。 ただし、最低90日間のストレージ料金が発生し、データの復元には別途料金がかかります。

今日からできる!EBSコストを削減する4つのコツ

EBSの料金体系を理解した上で、次のような対策を講じることで、無駄なコストを効果的に削減できます。

1. 不要なEBSボリュームとスナップショットを削除する

最も簡単で効果的なコスト削減策は、不要になったリソースを削除することです。特に、EC2インスタンスを終了(削除)した際に、設定によってはEBSボリュームが自動で削除されずに残り、意図せず課金が続く「孤立したボリューム」が発生しがちです。定期的にAWSマネジメントコンソールやAWS Cost Explorerで利用状況を確認し、使われていないボリュームは速やかに削除しましょう。

同様に、開発目的で一時的に作成したスナップショットや、古くなったバックアップが溜まり続けることもコスト増の原因となります。 定期的な棚卸しを心がけましょう。

2. ワークロードに適したボリュームタイプを選択する

EBSには様々なボリュームタイプがあり、それぞれ性能と価格が異なります。 例えば、高いI/O性能が不要な開発環境やステージング環境で、高性能・高価格な「io2」や「io1」を選択すると、過剰なコストが発生します。まずはコストパフォーマンスに優れた「gp3」から始め、Amazon CloudWatchでパフォーマンスを監視し、必要に応じてタイプを変更するのが賢明なアプローチです。

3. コスト効率の高いgp3へ移行する

現在、旧世代の汎用SSDである「gp2」を利用している場合、新世代の「gp3」へ移行することで、GBあたりのストレージコストを最大20%削減できる可能性があります。 gp2ではストレージ容量を増やさないとIOPSやスループットが向上しませんでしたが、gp3ではストレージ容量とは独立してIOPSとスループットを個別に設定できるため、より柔軟で無駄のない構成が可能です。 既存のgp2ボリュームからの変更は、EC2インスタンスを停止することなく簡単に行えます。

4. Amazon Data Lifecycle Managerでスナップショットを自動管理する

手動でのスナップショット管理は手間がかかり、削除漏れによるコスト増のリスクも伴います。そこで活用したいのが、EBSスナップショットの作成・保持・削除といったライフサイクルを自動化できる「Amazon Data Lifecycle Manager (DLM)」です。 「毎日バックアップを取得し、7世代分を保持、それより古いものは自動で削除する」といったポリシーを簡単に設定できます。DLM自体の利用は無料で、スナップショットの世代管理を自動化することで、ストレージコストの最適化と運用負荷の軽減を両立できます。

Amazon EBSの運用とバックアップ戦略

Amazon EBSに保存されているデータは、システムの障害や操作ミス、サイバー攻撃など、様々なリスクにさらされています。そのため、定期的なバックアップはデータ保護とビジネス継続性の観点から非常に重要です。この章では、EBSボリュームを安全かつ効率的に運用し、万一の事態に備えるためのバックアップ戦略について、具体的なツールや手法を交えて解説します。

Amazon Data Lifecycle Managerの活用

Amazon Data Lifecycle Manager(DLM)は、EBSスナップショットとEBSベースのAMI(Amazonマシンイメージ)の作成、コピー、削除といったライフサイクル管理を自動化するサービスです。 以前は手動や自作のスクリプトで管理する必要がありましたが、DLMを利用することで、バックアップ運用にかかる手間とコストを大幅に削減できます。

DLMを利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 運用負荷の軽減: ポリシーを設定するだけで、スナップショットの取得や古い世代の削除を自動化できます。 これにより、手動での作業ミスを防ぎ、管理の手間を省けます。
  • コストの最適化: 不要になったスナップショットを自動的に削除する保持ルールを設定できるため、ストレージコストの無駄をなくします。
  • コンプライアンスの遵守: 定期的なバックアップ取得と、定められた期間のデータ保持をポリシーとして強制できるため、組織のコンプライアンス要件を満たすのに役立ちます。
  • 災害対策(DR)の強化: 取得したスナップショットを自動的に別のAWSリージョンにコピーする機能があり、リージョン規模の障害に備えた災害対策を簡単に実現できます。

DLMでは「ライフサイクルポリシー」を作成し、バックアップのルールを定義します。 ポリシーでは、どのEBSボリュームを対象とするか(通常はタグで指定)、どのくらいの頻度でスナップショットを作成するか、そして作成したスナップショットをどれくらいの期間または世代数で保持するかを設定します。

DLMライフサイクルポリシーの主な設定項目
項目 説明
ターゲットリソース バックアップ対象のEBSボリュームを識別するためのタグを指定します。例えば、「Backup: True」というタグが付いたすべてのボリュームを対象にできます。
スケジュール スナップショットを作成する頻度を定義します。1時間ごとから、12時間、24時間ごとなど、柔軟に設定可能です。
保持ルール 作成したスナップショットを保持する期間(日数、週数、月数など)や、保持する世代数を指定します。これを超えた古いスナップショットは自動的に削除されます。
クロスリージョンコピー 災害対策のために、作成したスナップショットを他のリージョンにコピーする設定です。コピー先のリージョンと、そこでの保持期間も指定できます。

スナップショットの自動化と管理方法

DLMは非常に強力なツールですが、より柔軟な制御が必要な場合や、他のAWSサービスと連携したバックアップを実現したい場合には、他の方法も検討できます。

AWS Backupの活用
AWS Backupは、EBSだけでなく、Amazon S3、RDS、DynamoDB、EFSなど、複数のAWSサービスにまたがるバックアップを一元的に管理・自動化できるサービスです。 組織全体のバックアップ戦略を単一のコンソールで管理したい場合に特に有効で、バックアッププランを定義することで、さまざまなリソースのバックアップを一貫したポリシーで運用できます。

AWS CLIとAmazon EventBridgeの組み合わせ
より詳細なカスタマイズが必要な場合、AWS CLI(コマンドラインインターフェース)やAWS SDKを使ったスクリプトを作成し、Amazon EventBridge(旧CloudWatch Events)で定期的に実行する方法もあります。 例えば、「特定の処理が終わったタイミングでスナップショットを取得する」といった、時間ベースではないトリガーでの自動化が可能です。ただし、スクリプトの作成とメンテナンスに専門的な知識が必要となります。

どの方法を選択するにせよ、効果的なバックアップ戦略には以下の管理が不可欠です。

  • 世代管理とコスト: EBSスナップショットは増分バックアップであり、変更されたブロックのみが保存されるため効率的です。 しかし、スナップショット自体はストレージ料金が発生するため、DLMやAWS Backupの保持ポリシーを活用して、不要になった古い世代を定期的に削除する「世代管理」を徹底することがコスト最適化の鍵となります。
  • リストア(復元)テスト: バックアップは、いざという時に確実にデータを復元できて初めて意味をなします。定期的にスナップショットからEBSボリュームを復元し、データが正常な状態であることを確認するリストアテストを実施することが強く推奨されます。

Amazon S3に関するよくある質問

Amazon EBSとAmazon S3は、AWSを代表するストレージサービスですが、その特性や用途は大きく異なります。両者は密接に関連しており、特にバックアップやデータ移行の文脈で共に利用されることが多いため、EBSとS3の使い分けに関する質問がよく寄せられます。この章では、S3との関連も含め、Amazon EBSに関するよくある質問とその回答を詳しく解説します。

Amazon EBSとS3の使い分け方はどうすればいいですか

Amazon EBSとAmazon S3は、それぞれ異なる目的のために設計されたストレージサービスです。どちらを利用すべきかは、データの用途やアクセスパターンによって決まります。EBSはEC2インスタンスに接続して使用する「仮想ハードディスク(ブロックストレージ)」、S3は単体で利用できる「インターネット上の大容量ストレージ(オブジェクトストレージ)」と理解すると分かりやすいでしょう。 主な違いを以下の表にまとめました。

項目 Amazon EBS Amazon S3
ストレージタイプ ブロックストレージ オブジェクトストレージ
主な用途 EC2インスタンスのOS・アプリケーション領域、データベース、高速な読み書きが必要な作業領域 バックアップ・アーカイブ、静的ウェブサイトのホスティング、大容量ファイルの保管・共有
アクセス
方法
EC2インスタンスにアタッチし、ファイルシステムとしてマウントして利用 HTTP/HTTPS経由でのAPIアクセス、またはAWSマネジメントコンソールから直接アクセス
パフォーマンス 非常に高速な読み書きが可能(低レイテンシー) 大量のデータを並列処理するスループットは高いが、個々のファイルの読み書き速度(レイテンシー)はEBSに劣る
料金体系 プロビジョニング(確保)したボリュームサイズに対して課金 実際に保存しているデータ量とリクエスト数に応じて課金

OSやデータベースのように頻繁な読み書きと高速な応答が求められるデータにはEBSを、バックアップデータや動画・画像ファイルのように一度書き込んだらあまり変更しないデータの長期保存にはS3を選ぶのが基本的な使い分けの基準です。

Amazon EBSの料金はEC2インスタンス停止中も発生しますか

はい、EC2インスタンスを停止しても、そのインスタンスにアタッチされているEBSボリュームの料金は発生し続けます。 これは、EBSボリュームがEC2インスタンスとは独立したリソースであり、インスタンスが停止していてもデータを保持するためにストレージ領域を確保し続けているためです。 PCの電源を切ってもハードディスクが物理的に存在し続けるのと同じイメージです。

もし長期間利用しないEC2インスタンスがある場合、コストを節約するためにはいくつかの方法があります。最も確実なのは、EBSボリュームのバックアップとして「スナップショット」を取得した上で、EBSボリューム自体を削除することです。 スナップショットのストレージ料金は、通常のEBSボリューム料金よりも安価に設定されています。 再び必要になった際に、スナップショットからEBSボリュームを復元できます。

Amazon EBSのボリュームタイプを後から変更できますか

はい、Amazon EBSのボリュームタイプは、EC2インスタンスを停止することなく後から変更できます。 この機能は「Elastic Volumes」と呼ばれ、AWSマネジメントコンソール、AWS CLI、またはSDKを使用してオンラインでボリュームのタイプ、サイズ、IOPS(秒あたりのI/O操作数)を変更することが可能です。 例えば、コストパフォーマンスに優れたgp3ボリュームへ、古いgp2ボリュームから移行するといった最適化が簡単に行えます。

ボリュームタイプの変更を適用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 変更処理中(ステータスが「optimizing」の間)、ボリュームのパフォーマンスは元の設定と新しい設定の中間の状態になりますが、元のパフォーマンスを下回ることはありません。
  • 変更処理は数分から数時間かかる場合がありますが、その間もボリュームは通常通り使用できます。
  • 一度変更を開始すると、次の変更リクエストまで最低6時間の間隔を空ける必要があります。
  • 万が一に備え、変更前にはスナップショットを取得してバックアップを取っておくことが強く推奨されます。

Amazon EBSのスナップショットとは何ですか

Amazon EBSスナップショットとは、特定の時点におけるEBSボリュームの完全なバックアップ(ポイントインタイムコピー)です。 このスナップショットは、高い耐久性を持つAmazon S3に保存されるため、データの保護に非常に有効です。

スナップショットの大きな特徴は「増分バックアップ」である点です。 最初のスナップショットはボリューム全体のデータをコピーしますが、2回目以降は前回スナップショット取得時からの変更部分(ブロック)のみが保存されます。 これにより、バックアップにかかる時間とストレージコストを大幅に節約できます。

スナップショットの主な用途は以下の通りです。

  • データのバックアップと復元: 誤操作や障害発生時に、特定の時点の状態にボリュームを復元できます。
  • 新しいEBSボリュームの作成: スナップショットを元に、同じデータを持つ新しいボリュームを複数作成できます。
  • リージョン間のデータ移行: スナップショットを別のAWSリージョンにコピーし、そこからボリュームを復元することで、簡単にデータを移行できます。

Amazon EBSを別のEC2インスタンスに付け替えられますか

はい、Amazon EBSボリュームは、あるEC2インスタンスから取り外し(デタッチ)、別のEC2インスタンスに取り付ける(アタッチ)ことが可能です。 ただし、これには一つ重要な条件があり、EBSボリュームと付け替え先のEC2インスタンスが同じアベイラビリティーゾーン(AZ)に存在している必要があります。

手順は以下の通りです。

  1. 元のEC2インスタンスからEBSボリュームを「デタッチ」します。OSがインストールされているルートボリュームをデタッチする場合は、事前にインスタンスを停止する必要があります。 データボリュームであれば、インスタンスを実行したままでもデタッチ可能です。
  2. ボリュームのステータスが「available(利用可能)」になったことを確認します。
  3. 付け替え先のEC2インスタンスを選択し、そのボリュームを「アタッチ」します。

この機能により、サーバーの障害時にデータボリュームを正常な待機サーバーに付け替えてサービスを迅速に復旧させたり、より高性能なインスタンスタイプにアップグレードする際にデータを簡単に移行したりすることが可能になります。

Amazon EBSとS3の使い分け方はどうすればいいですか

Amazon EBS(Elastic Block Store)とAmazon S3(Simple Storage Service)は、AWSが提供する代表的なストレージサービスですが、その特性と最適な用途は大きく異なります。結論から言うと、EC2インスタンスのOSやデータベースのように高速な読み書きが必要なデータにはEBSを、画像や動画、バックアップデータのように大容量のデータを安価に保存・配信したい場合はS3を選ぶのが基本です。

両者の技術的な違いを理解し、それぞれのユースケースを知ることで、より適切なサービス選択が可能になります。

EBSとS3の根本的な違いと比較

EBSとS3の最も大きな違いは、ストレージのタイプにあります。EBSは「ブロックストレージ」、S3は「オブジェクトストレージ」という仕組みを採用しています。

  • ブロックストレージ (EBS): データを「ブロック」という固定長の単位で管理します。 OSからは通常のハードディスクのように認識され、ファイルシステムを構築して利用します。 高速なデータの読み書きや頻繁な更新に適しています。
  • オブジェクトストレージ (S3): データを「オブジェクト」という単位で管理します。 ファイルそのものに加えて、作成日などのメタデータも一緒に保存します。 HTTP/HTTPS経由でアクセスし、データの更新はファイル全体の上書きで行うため、更新頻度の高いデータには向きません。

この違いにより、パフォーマンス、アクセス方法、料金体系などに差が生まれます。以下の表で主な違いをまとめました。

比較項目 Amazon EBS Amazon S3
ストレージタイプ ブロックストレージ オブジェクトストレージ
主な用途 EC2インスタンスのブートボリューム、データベース、高速な読み書きが必要なアプリケーションのデータ保存 バックアップ・アーカイブ、静的ウェブサイトホスティング、大容量コンテンツ(画像、動画)の保存・配信、データレイク
アクセス方法 EC2インスタンスにアタッチしてマウント API、SDK、マネジメントコンソール (HTTP/HTTPS)
パフォーマンス 高IOPS、低レイテンシ。SSD/HDDなどパフォーマンスを選択可能。 スループットは高いが、レイテンシはEBSより大きい。
容量 ボリュームごとに上限あり (最大16TBなど) 実質無制限
共有 原則として単一のEC2インスタンスからのみマウント可能 URLを通じて複数ユーザー・サーバーから同時アクセス可能
料金 プロビジョニングした容量に対して課金。S3より比較的高価。 保存したデータ量とリクエスト数に応じた従量課金。EBSより安価。

具体的なユースケース別使い分け

上記の特性を踏まえ、具体的な利用シーンごとにどちらのストレージが適しているかを解説します。

EBSが適しているユースケース

EBSは、高速なレスポンスとデータの頻繁な更新が求められる場面で真価を発揮します。

  • EC2インスタンスのOS領域: EC2インスタンスを起動するためのブートボリュームとして必須です。
  • データベースのデータストア: トランザクションが多く、高速な読み書きが要求されるリレーショナルデータベース(MySQL, PostgreSQLなど)の保存先として最適です。
  • アプリケーションの実行環境: サーバー上で動作する業務アプリケーションなど、処理中に頻繁にファイルアクセスが発生するシステムのストレージに適しています。
  • 高速なデータ処理が必要なワークロード: リアルタイムでのデータ処理や分析など、低レイテンシが重要となるワークロードに利用されます。

S3が適しているユースケース

S3は、大容量のデータを長期間、安価かつ安全に保存したい場面で活躍します。

  • バックアップとアーカイブ: EBSのスナップショットやデータベースのバックアップファイルの保存先として最適です。 非常に高い耐久性(99.999999999%)を誇ります。
  • 静的コンテンツの配信: 画像、動画、CSS、JavaScriptファイルなどを保存し、ウェブサイトやアプリケーションに直接配信する用途で広く使われています。
  • データレイクの基盤: あらゆる形式の生データをそのままの形で大量に保存し、ビッグデータ分析の元データとして活用できます。
  • ログファイルの集約: 各種サーバーやアプリケーションから出力されるログファイルを一元的に収集・保管する場所として利用されます。

【結論】判断に迷ったら「データのアクセス速度と更新頻度」で考えよう

もしEBSとS3のどちらを使うべきか迷った場合は、「そのデータをEC2インスタンスから高速に読み書きする必要があるか、頻繁に更新するか」を基準に判断してください。

「Yes」であればEBS、「No」であればS3が適しています。

実際には、EBSとS3を組み合わせて利用する構成が一般的です。例えば、「EC2インスタンスとEBSでアプリケーションを稼働させ、そこで生成された成果物やバックアップデータを安価なS3に保存する」といったハイブリッドな構成は、コストとパフォーマンスのバランスに優れた鉄板の構成と言えるでしょう。

Amazon EBSの料金はEC2インスタンス停止中も発生しますか

結論から言うと、EC2インスタンスを停止しても、アタッチされているEBSボリュームの料金は発生し続けます。 これは、EC2インスタンスとEBSボリュームが独立したサービスであり、EBSはインスタンスの状態にかかわらずデータを永続的に保持するために設計されているためです。

EC2インスタンスの料金はインスタンスが「実行中」の場合にのみ課金されますが、EBSボリュームは確保されたストレージ容量に対して、削除されるまで課金が継続します。 そのため、開発環境やテスト環境で長期間利用しないEC2インスタンスがある場合、意図せずEBSのコストがかさむ可能性があるため注意が必要です。

EC2インスタンス停止中に発生するEBS料金の内訳

EC2インスタンスが停止している間に発生するEBSの料金は、主にプロビジョニングされたストレージの料金です。 EBSボリュームの料金は、主に以下の要素で構成されています。

料金項目 EC2インスタンス実行中 EC2インスタンス停止中 説明
ストレージ料金 発生 発生 確保したボリュームサイズ(GB)に対して発生する月額料金。インスタンスの状態に関わらず課金されます。
IOPS料金 (io1, io2) 発生 発生 プロビジョニングしたIOPS(1秒あたりのI/O操作数)に対して発生する料金。ストレージ料金同様、インスタンスの状態に依存しません。
スループット料金 (gp3) 発生 発生 設定したスループット(MB/秒)に対して発生する料金。これもインスタンスの状態とは無関係に課金されます。

このように、EBSの主要な料金項目はEC2インスタンスの状態とは連動していません。インスタンスを停止することは、あくまでコンピュータの電源をオフにするようなもので、データを保存しているハードディスク(EBSボリューム)がなくなるわけではない、と考えると分かりやすいでしょう。

EC2インスタンス停止中のEBS料金を節約する方法

長期間利用しないEC2インスタンスに紐づくEBSのコストを節約するには、いくつかの方法があります。最も効果的なのは、データをバックアップした上でEBSボリュームを削除することです。

スナップショットを活用したコスト削減の手順

EBSボリュームのデータを保持しつつコストを抑える最も一般的な方法は、EBSスナップショットを作成し、元のEBSボリュームを削除することです。 EBSスナップショットはAmazon S3に差分バックアップとして保存され、通常、EBSボリュームをそのまま保持するよりもストレージ料金が安価になります。 具体的な手順は以下の通りです。

  1. EBSスナップショットの作成: コストを削減したいEBSボリュームのスナップショットを作成します。これにより、ボリュームのその時点での完全なバックアップが取得されます。
  2. スナップショット完了の確認: スナップショットの作成が100%完了したことをAWSマネジメントコンソールで確認します。
  3. EBSボリュームの削除: スナップショットが正常に作成されたことを確認した後、元のEBSボリュームを削除します。 これにより、EBSボリュームのストレージ料金の課金が停止します。
  4. (利用再開時)スナップショットからボリュームを復元: 再びデータが必要になった際に、保存しておいたスナップショットから新しいEBSボリュームを復元します。 復元後は、新しいボリュームをEC2インスタンスにアタッチして利用を再開できます。

この方法により、EBSボリュームを維持するコストを、より安価なスナップショットの保管料金に置き換えることができます。 ただし、ボリュームの復元には多少の時間がかかるため、即時性が求められる本番環境などでの利用には注意が必要です。開発・検証環境など、長期間利用しないことが分かっている場合に特に有効なコスト削減策と言えるでしょう。より詳しい料金については、Amazon EBS の料金ページで確認することをおすすめします。

Amazon EBSのボリュームタイプを後から変更できますか

はい、Amazon EBSのボリュームタイプは、EC2インスタンスにアタッチしたままで、後から変更することが可能です。 この機能は「Amazon EBS Elastic Volumes」と呼ばれ、アプリケーションの要件変化に応じて、ボリュームのタイプだけでなく、サイズ、IOPS(1秒あたりのI/O処理回数)、スループットも柔軟に変更できます。 最も大きなメリットは、EC2インスタンスを停止することなく、オンラインで変更作業が完了する点です。 これにより、サービス提供を継続しながら、コスト最適化やパフォーマンスチューニングを動的に行うことができます。

例えば、コストパフォーマンスに優れたgp2から、さらにコスト効率が良くベースライン性能も高いgp3への変更や、より高いI/O性能が求められるようになった場合にgp3からio2へ変更するといったことが可能です。 変更作業はAWSマネジメントコンソール、AWS CLI、またはSDKから簡単に行えます。

ボリュームタイプ変更の具体的な手順(AWSマネジメントコンソール)

AWSマネジメントコンソールを利用すれば、画面の指示に従うだけで直感的にボリュームタイプを変更できます。 以下にその基本的な手順を示します。

  1. AWSマネジメントコンソールにサインインし、EC2のダッシュボードを開きます。
  2. ナビゲーションペインから「ボリューム」を選択し、変更したいEBSボリュームの一覧を表示します。
  3. 対象のボリュームを選択し、「アクション」メニューから「ボリュームの変更」をクリックします。
  4. 「ボリュームの変更」画面で、現在の設定が表示されます。ここで「ボリュームタイプ」のプルダウンメニューから、変更したい新しいタイプ(例:gp3)を選択します。
  5. 新しいボリュームタイプに合わせて、必要であればサイズ、IOPS、スループットの値を調整します。
  6. 設定内容を確認し、「変更」ボタンをクリックすると、変更プロセスが開始されます。

変更が開始されると、ボリュームのステータスが「modifying(変更中)」となり、その後「optimizing(最適化中)」に変わります。 この最適化プロセスが完了すると、ステータスは「in-use(使用中)」に戻り、変更は完全に適用されます。最適化中でもボリュームは通常通り使用可能ですが、パフォーマンスが一時的に低下する可能性があります。

ボリュームタイプ変更時の注意点

手軽に変更できる一方で、いくつかの注意点も存在します。安全に運用するためにも、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。

  • 変更の頻度制限: 同じボリュームに対して変更操作を行えるのは、前回の変更から最低6時間経過している必要があります。 頻繁な変更はできないため、計画的に実施することが重要です。
  • パフォーマンスへの一時的な影響: ボリュームの変更直後から最適化プロセスが完了するまでの間、ボリュームのパフォーマンスが完全に発揮されない可能性があります。 クリティカルなワークロードの場合は、利用が少ない時間帯に変更作業を行うなどの配慮が推奨されます。
  • 料金体系の変更: ボリュームタイプを変更すると、その時点から新しいタイプの料金が適用されます。 例えば、より高性能なタイプに変更した場合はコストが増加し、gp2からgp3へ変更した場合はコストが削減される可能性があります。 変更前にAWS公式の料金ページでコストを確認しましょう。
  • 旧世代インスタンスタイプのサポート: ごく一部の古い世代のインスタンスタイプでは、Elastic Volumes機能がサポートされていない場合があります。 その場合、インスタンスを一度停止し、ボリュームをデタッチしてから変更作業を行う必要があります。
  • 変更前のスナップショット取得: 必須ではありませんが、万が一の事態に備えて、重要なデータが含まれるボリュームを変更する前にはスナップショットを作成しておくことがベストプラクティスとされています。 これにより、何か問題が発生した場合でも、スナップショットからボリュームを復元し、元の状態に戻すことができます。

Amazon EBSのスナップショットとは何ですか

Amazon EBSのスナップショットとは、Amazon EBSボリュームのある特定の時点の状態を丸ごとバックアップする機能です。 このスナップショットは、データのバックアップや災害復旧、あるいは新しいEBSボリュームの複製元として利用できます。 作成されたスナップショットは、高い耐久性を誇るAmazon S3に自動的に保存されるため、安心してデータを保管できます。

EBSスナップショットの主な特徴

EBSスナップショットには、AWS環境でのデータ保護と運用を効率化するための、いくつかの重要な特徴があります。

  • ポイントインタイムバックアップ: 特定の瞬間のボリュームの状態を正確に捉え、バックアップとして保存します。
  • 増分バックアップ: 初回のスナップショットはボリューム全体のフルバックアップですが、2回目以降は前回のスナップショットから変更されたデータブロックのみが保存される「増分」形式です。 これにより、バックアップ時間の短縮とストレージコストの節約が実現します。
  • 高い耐久性: スナップショットは、99.999999999%の耐久性を持つAmazon S3に保存され、データはリージョン内の複数のアベイラビリティゾーンに自動で複製されます。 これにより、単一の障害でデータが失われるリスクを大幅に低減します。
  • 柔軟な復元: スナップショットから新しいEBSボリュームを作成したり、Amazonマシンイメージ(AMI)を作成してEC2インスタンスを起動したりと、様々な方法でデータを復元・活用できます。
  • リージョン間コピー: 災害対策(DR)や地理的に異なる場所でのサービス展開のために、スナップショットを別のAWSリージョンにコピーできます。

スナップショットの仕組み:増分バックアップとは

EBSスナップショットの大きな特徴である「増分バックアップ」は、効率的なデータ保護を実現する重要な仕組みです。 最初のスナップショットを作成すると、ボリューム内の全データブロックがS3にコピーされます(フルバックアップ)。

しかし、2回目以降のスナップショットでは、前回のスナップショット作成時から変更があったデータブロックだけが新たに保存されます。 例えば、100GBのボリュームで初回スナップショットを取得した後、5GB分のデータを変更した場合、2回目のスナップショットで保存されるデータ量は5GB分のみとなります。

この仕組みにより、スナップショット作成にかかる時間が最小限に抑えられ、ストレージコストも節約できます。 ユーザーは、復元の際にどのスナップショットがどのデータを保持しているかを意識する必要はありません。最新のスナップショットを指定するだけで、AWSが自動的に必要なデータブロックをすべて参照し、ボリュームを完全に復元してくれます。

スナップショットからの復元方法

取得したスナップショットは、データやシステムに問題が発生した際に、元の状態に戻すために利用します。主な復元方法は以下の通りです。

  1. 新しいEBSボリュームとして復元する: 最も一般的な方法です。スナップショットを選択し、それを元に新しいEBSボリュームを作成します。 作成されたボリュームは、元のボリュームの完全なレプリカとなり、任意のEC2インスタンスにアタッチして利用できます。 既存のボリュームに直接上書き復元することはできないため、新しいボリュームを作成し、インスタンスに付け替える手順となります。
  2. Amazonマシンイメージ(AMI)を作成してインスタンスを復元する: ルートボリューム(OSが含まれるボリューム)のスナップショットからは、AMIを作成できます。 このAMIを使うことで、OSやアプリケーションの設定を含んだEC2インスタンス全体を丸ごと復元することが可能です。
  3. 高速スナップショット復元(Fast Snapshot Restore)を利用する: 通常、スナップショットから作成されたボリュームは、データへの初回アクセス時にS3からの読み込みが発生し、遅延が生じることがあります。 高速スナップショット復元(FSR)を有効にすると、ボリューム作成時にデータが完全に初期化され、この遅延をなくすことができます。 ただし、FSRの利用には追加料金が発生します。

スナップショットの料金体系

EBSスナップショットの料金は、主にAmazon S3に保存されているデータの量に基づいて計算されます。 料金体系は増分バックアップの仕組みと密接に関連しており、いくつかのポイントがあります。

  • ストレージ量に応じた課金: 課金は、スナップショットが消費するストレージ容量(GB)と保存期間に応じて月単位で発生します。
  • 増分保存によるコスト削減: 2回目以降のスナップショットでは変更されたブロックのみが保存されるため、データの変更が少なければコストを低く抑えられます。
  • スナップショット削除時の注意点: あるスナップショットを削除しても、そのスナップショットに含まれるデータブロックが他のスナップショットから参照されている場合、そのデータブロックは削除されず、課金対象として残ります。 料金を削減するには、不要になった一連のスナップショットをまとめて削除する必要があります。
  • 追加料金が発生する機能: 高速スナップショット復元(FSR)の有効化や、スナップショットのリージョン間コピー、長期保管用のアーカイブ階層への移動など、特定の機能を利用する際には追加料金が発生します。

詳細な料金については、Amazon EBS の料金ページで確認することをお勧めします。

Amazon EBSを別のEC2インスタンスに付け替えられますか

はい、Amazon EBSボリュームは、あるEC2インスタンスから取り外して(デタッチ)、別のEC2インスタンスに取り付ける(アタッチする)ことが可能です。 これにより、データの移行やインスタンスのアップグレード、障害発生時の復旧などを柔軟に行うことができます。ただし、付け替えにはいくつかの重要な前提条件と注意点があります。

最も重要な制約は、EBSボリュームと付け替え先のEC2インスタンスが、同じアベイラビリティゾーン(AZ)に存在している必要があるという点です。 アベイラビリティゾーンは、AWSリージョン内にある物理的に独立したデータセンター群を指します。EBSボリュームは特定のAZに属するリソースであるため、異なるAZにあるEC2インスタンスに直接アタッチすることはできません。

EBSボリュームのデタッチとアタッチの基本手順

EBSボリュームの付け替えは、主に「デタッチ」と「アタッチ」の2つのステップで行います。 以下にAWSマネジメントコンソールを利用した基本的な手順を解説します。

  1. 元のEC2インスタンスからEBSボリュームをデタッチ(取り外し)する
    まず、付け替えたいEBSボリュームがアタッチされている元のEC2インスタンスからボリュームを安全に取り外します。データの整合性を保つため、可能であればインスタンスを停止してからデタッチ作業を行うことが推奨されます。 AWSマネジメントコンソールのEC2ダッシュボードから「ボリューム」を選択し、対象のボリュームを選んで「アクション」メニューから「ボリュームのデタッチ」を実行します。
  2. 別のEC2インスタンスへEBSボリュームをアタッチ(取り付け)する
    デタッチが完了し、ボリュームのステータスが「available(利用可能)」になったことを確認したら、次に取り付け先のEC2インスタンスにアタッチします。 同じく「ボリューム」画面で対象のボリュームを選択し、「アクション」メニューから「ボリュームのアタッチ」を選びます。 表示された画面で、アタッチ先のインスタンスIDと、インスタンス内で認識させるためのデバイス名(例: /dev/sdf)を指定してアタッチを実行します。
  3. OS上でボリュームをマウントする
    アタッチが完了しても、OSが自動的にストレージとして認識するわけではありません。インスタンスにログインし、OSのコマンドを使って新しいボリュームをフォーマット(初回のみ)し、特定のディレクトリに「マウント」するという作業が必要です。 これにより、初めてファイルやデータを読み書きできるようになります。

付け替えを行う際の重要な注意点

EBSボリュームの付け替えは便利な機能ですが、安全かつ確実に行うためにはいくつかの注意点を理解しておく必要があります。

アベイラビリティゾーン(AZ)の制約

前述の通り、EBSボリュームは作成されたアベイラビリティゾーンから移動できません。そのため、異なるAZにあるEC2インスタンスに直接付け替えることはできません。 もしAZを越えてデータを移行したい場合は、一度EBSボリュームのスナップショット(バックアップ)を作成し、そのスナップショットから目的のAZに新しいEBSボリュームを復元するという手順を踏む必要があります。

ファイルシステムのマウントとデータの整合性

ボリュームをインスタンスからデタッチする前には、必ずOS内でアンマウント処理を行うことが強く推奨されます。 これを怠ると、書き込み中のデータが破損するなど、ファイルシステムの不整合を引き起こす可能性があります。特にデータベースなど、常にデータの書き込みが発生しているアプリケーションが稼働している場合は、アプリケーションを停止し、インスタンス自体も停止させてから作業を行うのが最も安全です。

ルートボリュームの付け替え

EC2インスタンスが起動するために使用されるOSが入った「ルートボリューム」の付け替えは、データボリュームの付け替えとは手順や制約が異なります。 従来はインスタンスの停止が必須でしたが、現在では特定の条件下でインスタンスを実行したままルートボリュームを交換する機能も提供されています。 ただし、OSの起動に関わる重要な操作であるため、手順を慎重に確認し、事前にスナップショットを取得しておくことが不可欠です。

EBS付け替えの具体的な活用シナリオ

EBSボリュームの付け替えは、以下のような様々なシナリオで活用できます。

  • インスタンスのスケールアップ・スケールダウン
    CPUやメモリのスペックを変更するために新しいEC2インスタンスに乗り換える際、データが保存されたEBSボリュームを付け替えるだけで、データ移行の手間を大幅に削減できます。
  • 障害発生時の迅速な復旧
    EC2インスタンス自体に何らかの障害が発生して起動しなくなった場合でも、データボリュームを正常な待機インスタンスに付け替えることで、迅速にサービスを復旧させることが可能です。
  • OSのアップグレードや変更
    現在のデータはそのままに、OSだけを新しいバージョンにしたい場合、新しいOSでEC2インスタンスを起動し、既存のデータボリュームをアタッチして利用することができます。
  • 特定データのバッチ処理
    大量のデータ分析やバッチ処理を行うために、一時的に高性能なインスタンスが必要な場合、データボリュームをそのインスタンスにアタッチして処理を行い、完了後に元のインスタンスに戻すといった使い方も考えられます。

まとめ

本記事では、AWSの基本的なストレージサービスであるAmazon EBSについて、その概要から種類、S3との違い、料金体系、運用方法までを網羅的に解説しました。EC2インスタンスを利用する上で、EBSの理解は不可欠です。

この記事で学んだ重要なポイントを以下にまとめます。

  • Amazon EBSの役割: EC2インスタンスにアタッチして利用する、OSやデータベースなどに適した高速なブロックストレージです。サーバーに接続する仮想的なハードディスクと考えると分かりやすいでしょう。
  • 最適なボリュームタイプの選択: 汎用SSD(gp3/gp2)、プロビジョンドIOPS SSD(io2/io1)、HDD(st1/sc1)といった多彩なタイプが存在します。特にgp3は、gp2に比べて高いコストパフォーマンスを提供するため、多くのユースケースで第一候補となります。
  • S3との明確な使い分け: EBSは「サーバー用の高速ディスク」、S3は「大容量データを安価に保管・共有するためのオブジェクトストレージ」という明確な違いがあります。OSやアプリケーションにはEBS、バックアップや静的コンテンツの配信にはS3、というように用途に応じて使い分けることがコストとパフォーマンスを最適化する鍵です。
  • 料金体系の注意点: EBSボリュームは、確保した容量に対して料金が発生し、アタッチしているEC2インスタンスを停止しても課金は継続します。不要になったボリュームは速やかに削除することがコスト削減の基本です。
  • 効率的なバックアップ戦略: スナップショット機能により、任意の時点のボリュームを簡単にバックアップできます。Amazon Data Lifecycle Managerを使えば、スナップショットの作成・世代管理・削除を自動化でき、手動での運用ミスや手間を大幅に削減可能です。

Amazon EBSは、AWSでスケーラブルかつ信頼性の高いシステムを構築するための基盤となるサービスです。この記事で得た知識を活かし、ぜひあなたのAWS環境のストレージ設計を見直してみてください。まずはAWSの無料利用枠を活用して、実際にEBSボリュームを作成し、EC2インスタンスにアタッチしてみることから始めましょう。手を動かして試すことが、理解を深める一番の近道です。

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