クラウドコンピューティング登場の背景と歴史とは

クラウドコンピューティング登場の背景と歴史とは

クラウドサービスが急速に普及した現在、その市場規模は今後も拡大していくと見られています。今やクラウドは当たり前になりましたが、その歴史や発展を知りたいという方もいるのではないでしょうか。利用の際は、クラウドコンピューティングが登場した歴史や背景、種類や導入するメリットなどを理解することが役立ちます。

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クラウドコンピューティングとは

スマートフォンやウェアラブルデバイスの普及により、「いつでも、どこでも、誰でも、何でも」ネットワークに繋ぐことのできるIoT(Internet of Things)が急速に進んでいます。
ITサービスがますます多様化していく中で、さまざまな機種のデバイスを管理し、そこから生成される大量のデータを効率的に収集・分析する必要が出てきました。そこで、これまで個々のストレージに保存していたあらゆるデータを、ネットワーク経由で一ヶ所に集約するサービスが登場しました。それが「クラウドコンピューティング」です。

クラウドコンピューティングは、略して「クラウド」とも呼ばれています。IT業界の慣習で、システム構成図を作成する際にネットワークの向こう側を「雲(クラウド)」のマークで表していたことがネーミングの由来です。

クラウドが登場する前は、写真や動画、メールなどのデータは自分のローカル端末(パソコンなど)に保管していました。

しかしクラウドでは、ネットワークという「雲の向こう側」にあるストレージやソフトウェアを使用します。現在、エクセルやワードなど多くの方々が利用するソフトウェアもクラウドサービスで提供されています。

では、クラウドサービスにはどのようなものがあるでしょうか。例えば「Apple Music」「Spotify」などをはじめとする音楽配信サービスは、日本を含め世界中にユーザが存在します。クラウド上に自分のミュージックライブラリを置くため、ユーザは場所を問わずさまざまなデバイスからお気に入りの音楽を楽しめる仕様です。

また、「Dropbox」「Google Drive」などのオンラインストレージもクラウドサービスの一つです。ネットワークを経由してユーザのコンピュータ上にあるコンテンツをアーカイブに保存するため、もしデバイスが盗まれたり壊れたりしても安全に復元できます。クラウド上に保管されたデータには、いつでも、どこでも、どの端末からでもアクセスできるのです。

クラウドコンピューティングの歴史

そもそもクラウドコンピューティングという概念は、1997年に南カリフォルニア大学の教授であったラムナト・チェラッパにより提唱されました。しかし、この時はまだ一般社会に普及しませんでした。

クラウドが本格的に注目されるようになったのは、それから9年後のことです。2006年にアメリカ・カリフォルニアで開かれた「サーチエンジン戦略会議」において、当時GoogleのCEOであったエリック・シュミットが再びクラウドというコンセプトに触れました。

これ以降、クラウドという言葉は本格的に広まったと言われています。クラウドという考え方そのものは実に20年以上も前から存在していたものの、言葉として具現化したのは比較的最近のこととも言われています。

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クラウドが登場する前は、自社内で情報システムを保有し、自社設備内で運用することが当たり前でした。しかし、こうした従来型のシステム運用は初期費用や管理コストがかかり、企業にとって大きな負担となっていました。

クラウドという技術が瞬く間に普及したのは、IT投資コストを削減し、より柔軟で統一性のある情報システムを構築しようという動きが広まったためです。クラウドが普及して以降、従来型の運用形態を「オンプレミス(on-premises)」と呼ぶようになり、両者を明確に区別するようになりました。

パブリッククラウドとプライベートクラウド

クラウドコンピューティングを運用するシステムには、パブリッククラウドプライベートクラウドの2種類があります。

パブリッククラウドとは

パブリッククラウドは、企業や個人を問わず利用できる万人向けの形態です。プロバイダがクラウド環境を共有しており、ユーザはローカル環境にソフトウェアを導入することなく、利用プランに応じて自由にサービスを使うことができます。申込み手続きも簡単で、オンラインで完結します。

プライベートクラウドとは

プライベートクラウドは、企業や組織が自社専用のクラウド環境を構築する形態です。
インターネットなどの公衆回線網からは切り離されて運用されるため、企業のポリシーに則った高度なセキュリティのもと柔軟に運用でき、セキュリティを重視する企業や官公庁、教育機関などで導入されているケースが多いです。

自社でインフラの構築・運用を行う「オンプレミス型」と、クラウド事業者からインフラをサービスとして提供を受ける「ホスティング型」の2つに分類されます。

クラウドコンピュータサービスの種類

上で説明したパブリッククラウドは、クラウドサービス事業者が提供する内容によってSaaSPaaSIaaSの3つに分類できます。

SaaSとは

SaaSは「Software as a Service」の頭文字をとった言葉であり、「サース」と読みます。従来はパッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネットを通じて提供するサービスのことを示します。SaaSには以下のようなメリットがあります。

  • インターネット上にデータを保存できる
  • さまざまなデバイス(パソコンやスマートフォンなど)からデータにアクセスできる
  • 複数のユーザが同じデータを共有・編集できる

SaaS型サービスの代表例として、オンラインストレージや、ブラウザ上で使用可能なオフィスソフトなどが挙げられます。

PaaSとは

PaaSは「Platform as a Service」の頭文字をとった言葉であり、「パース」と読みます。ソフトウェアが稼働するためのプラットフォーム一式(OSやハードウェアなど)を、インターネット上のサービスとして提供する形態です。SaaSの考え方をさらに深めたものとも言えるでしょう。

アプリケーションの開発に必要な環境がすでに整っているため、開発者は迅速かつ低コストでシステム開発を始めることができます。従来のホスティングサービスに近く、主に企業のネットサービス運用などで利用されています。

Google App EngineやMicrosoft Azureなどが代表的なサービスです。

IaaSとは

IaaSは「Infrastructure as a Service」の頭文字をとった言葉であり、「イァース」もしくは「アイアース」と読みます。情報システムの稼働に必要となる仮想サーバ、ハードディスク、ファイアウォールといったインフラを、インターネット上のサービスとして提供します。

PaaSと異なる点は、最低限の環境しか提供されないという点です。OSなどのソフトウェアはすべてユーザ側で導入・運用する必要があります。このため、アプリケーションやプラットフォームを自由に開発できるというメリットがあります。主に企業の情報システム運用で利用されています。
代表例なサービスとして、Google Compute EngineやAmazon Elastic Compute Cloud (EC2) が挙げられます。

クラウドコンピューティングのメリット

クラウドを導入するメリットは、主に次の5点が挙げられます。

コストを削減できる

従来のサービスと大きく異なるのは、クラウド型サービスの多くが従量課金制であるという点です。利用量に応じて費用が発生するため、必要以上に経費がかかることはありません。初期費用が無料であることも多く、低コストからスタートができます。また、サーバやソフトウェアライセンス、ネットワーク機器の購入費用もかかりません。

導入までがスムーズ

新たにクラウドを導入する場合、基本的にコンピュータ内でセットアップが完結します。オンプレミスでは新しいITリソースの導入に数週間〜数ヶ月かかることもありましたが、クラウドは利用登録をするだけ。WEB上から、サーバ台数の増減やスペック変更も可能です。結果として、検証や開発にかかるコストを大幅に削減できるのです。

時間や場所を問わず利用可能

クラウドサービスは、ネット環境さえあればいつでも、どこからでも利用できます。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットからもアクセス可能です。離れた場所にいる相手との共同作業も簡単にできるため、作業効率も大幅に向上するでしょう。仕事をする上で、必ずしもオフィスに出向く必要はありません。今注目を集めているテレワークや在宅勤務の普及にも大きく貢献するでしょう。

運用管理が不要

ソフトウェアのインストールやアプリケーションのアップデート作業は、すべてサービスプロバイダ側で実施します。データ管理やバックアップ作業も必要ないため、ユーザが運用管理をする負担の軽減につながります。

災害時の業務影響が少ない

地震などの自然災害が発生した場合、オンプレミスではサービス停止のリスクが高くなります。一方、ほとんどのクラウドは堅牢なデータセンタ内に設置されているため、電源供給や耐震面での安全度が高く、災害時のサービスへの影響を最小限に抑えることができます。

クラウドコンピューティングの課題

さまざまなメリットがあるクラウドですが、いくつか検討しておくべき課題もあります。

十分なセキュリティの確保

クラウドを導入する上で、最大の課題とも言われているのがセキュリティです。機密情報や個人情報を、外部のサーバに置くことに抵抗を感じるユーザも多いでしょう。サービスプロバイダの情報セキュリティ対策が十分でないと、通信回線上でデータを盗まれてしまうリスクがあります。
このため、契約するサービスプロバイダが十分なセキュリティ対策を行っているかどうか、事前にしっかりと確認する必要があります。また、ユーザ側もバックアップやアカウント管理などを十分に行い、企業であれば、社員や職員にポリシーを遵守させることが重要です。

十分なパフォーマンスの確保

クラウドはインターネット経由でサービスを利用します。したがって、トラフィック(通信料)が増加するとレスポンスの遅延が発生する場合があるのです。十分なプランニングをせずにクラウドに移行すると、ネットワークやアプリケーションパフォーマンスの低下、従業員の生産性低下、そして顧客の不満へと繋がるリスクがあります。

クラウドサービスを十分に活用するためには、クラウド上でトラフィック量が増大した場合でも応答速度を維持できる回線を選ぶ必要があります。

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