仮想デスクトップ(VDI)導入で変わる業務のメリット・デメリットを解説
仮想デスクトップ

仮想デスクトップ(VDI)導入で変わる業務のメリット・デメリットを解説

テレワークやリモートワークが広く浸透しつつあり、多様な働き方が当たり前になってきました。仕事をしながら子育てや介護をする従業員が、継続して働きやすい仕組みを整備しなければ、優秀な人材を確保することが難しくなっていくでしょう。

ソフトウェアやハードウェアの発展にともない、仮想デスクトップ分野で従来難しいと言われていた高度なグラフィックス処理や動画への対応も問題なく動作するようになっており、テレワーク環境の整備などに活用できる現実的な選択肢として今、注目されています。

本記事では、仮想デスクトップ(VDI)の概要について解説し、導入時のメリット・デメリットから業務がどう変わっていくのかをわかりやすく解説していきます。

仮想デスクトップ(VDI)導入で変わる業務のメリット・デメリットを解説

Azure Virtual Desktop(AVD)とWindows365の違いを徹底解説!

仮想デスクトップ(VDI)とは?シンクライアントとの違い

まずは、混同されがちな「仮想デスクトップ」と「シンクライアント」の言葉の違いについて理解しておきましょう。

仮想デスクトップとは

サーバー上に複数のデスクトップ環境を動作させ、1つ1つのクライアント端末に画面転送することによって、クライアント端末で操作しているように動作させることができる仕組みです。

仮想化技術によって物理的なハードウェアの構成に捉われずに、サーバー上の仮想空間にいくつものCPUやメモリ、OS、ストレージなどの環境を構築できます。

実際には、サーバー上で動作している画面を手元のクライアント端末に画面転送しているだけなので、クライアント側にはデータが残らない仕組みになっています。

シンクライアントとは

シンクライアントとは、クライアント端末側では最低限の処理に留め、可能な限りサーバー側で処理を済ませる仕組みのことを指します。

シンクライアントの実装方式には「画面転送型」と「ネットワークブート型」の2つに大別でき、今回解説する仮想デスクトップ(VDI)は「画面転送型」に該当します。

サーバー側に構築されたOSやアプリケーションが動作しており、手元のクライアント端末ではあくまで画面転送処理しか行っていません。そのため、仮想デスクトップ(VDI)もシンクライアントの1つと捉えておけば良いでしょう。

仮想デスクトップ(VDI)の種類とは

仮想デスクトップには4つの種類があり、それぞれ用途に向いた特徴があります。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式

VDI方式は、仮想化技術を用いて1台のホストサーバー上で仮想環境を構築します。サーバー上で複数のクライアントOSを稼働させ、クライアント端末へ仮想デスクトップを転送する方式です。
実際に操作しているデスクトップはクライアント端末のOS上ではなく、接続先のサーバーで動作しているクライアントOSなので、実データがクライアント側に残らないメリットがあります。

SBC(Server Based Computing)方式

SBC方式は、サーバーにインストールされたOSやアプリケーションを、複数のユーザーが共有して利用する方式です。安価なリモートデスクトップ接続(RDS)ライセンスを利用して構築できますが、利用する業務アプリケーションなどが複数のユーザー利用に対応していなければなりません。

HDI(Hosted Desktop Infrastructure)方式

HDI方式は、1台の物理サーバーの画面を1つのクライアント端末へ転送する方式です。サーバーのリソースを1ユーザーが占有して利用できるため、リモートアクセスでも高いパフォーマンスを発揮できます。

DaaS(Desktop as a Service)方式

DaaSは、インターネット経由で仮想デスクトップを利用できるクラウドサービスの1つです。
VDI方式同様、サーバー上で動作しているクライアントOSに接続します。クライアント端末で仮想デスクトップを利用できますが、動作しているサーバーがクラウド上に存在しているのがポイントです。
自社でのサーバー調達や仮想環境の構築が不要で、スピーディーに仮想デスクトップ環境を構築できるのが魅力です。

仮想デスクトップ(VDI)導入の3つのメリット

ここでは、仮想デスクトップ(VDI)の導入のメリットを解説します。

メリット1. クライアント端末の管理コストを削減できる

仮想デスクトップ(VDI)を導入すると、端末の管理コストを削減できます。一般的に、従業員が使用する端末を準備する際、端末の調達からセットアップまでに一定の工数がかかります。

  • OSのセットアップ
  • ソフトウェアのインストール
  • セキュリティ対策ソフトのアクティベーションやアップデート 等

このような作業を、従業員に支給する端末1台1台にセットアップする必要があり、多くの工数を要します。従業員の異動や端末の故障が発生した場合も、その都度システム部門の担当者が現地に向かい、対応に追われている方もいるでしょう。

仮想デスクトップ(VDI)を導入すると、実際の業務で必要なクライアントOSの環境は、サーバー上の操作で一元管理・構築できます。従業員に配布する端末側のセットアップは、VDIに接続するためのアプリケーション設定やWindows認証設定など、最低限の範囲で済みます。端末の入れ替えで必要な作業も少なくなるので、システム部門の担当者も一般の従業員も、双方の負担を減らせます。

端末管理の運用作業を効率化・削減できるので、その分のコストの削減が期待できるでしょう。

また、仮想デスクトップ上で行っている処理は、サーバー上のクライアントOSが実行することになります。手元のクライアント端末側では、画面の転送処理のみなので、そこまで高いスペックではなくても導入できるのがメリットです。既存の業務端末の活用や端末の調達コストの削減もできるでしょう。

メリット2.クライアント端末にデータが残らないからセキュリティが高められる

テレワークや在宅勤務を実現するにあたって、セキュリティ対策は必須です。
業務端末では、ローカルドライブに作成中のファイルやデータが保存されていたり、ファイルサーバーからダウンロードしたデータが残っていたりすることもあるでしょう。その状態で端末を紛失してしまうと、端末内に残っているデータから重要な情報が漏えいしてしまうリスクがあります。

仮想デスクトップ(VDI)を導入すれば、クライアント端末側にデータを保持しないため、万が一端末を紛失してしまっても、そこからデータが漏えいするようなことはありません。
社内のテレワーク環境を整備する際には、こうしたセキュリティ対策も検討する必要がありますが、VDI方式であれば、セキュリティを高めながら導入を進められます。

メリット3.自分のデスクトップにどこからでもアクセスできる

インターネット経由で仮想デスクトップ(VDI)にアクセスできることによって、従業員がテレワークや在宅勤務できる体制を整えられます。従業員の多様な働き方を後押しするためには、どこでも仕事ができる環境が重要です。

  • 外出先での仕事が多い営業職が、会議の合間に資料を作成できる
  • 育児や介護をしている従業員でも、自宅で仕事ができる
  • 事故や災害発生時でも、安全な場所から業務を継続できる

このように、仮想デスクトップ(VDI)を導入してテレワーク可能な環境を整備することで、業務の効率化や非常時の事業継続の対策にもなります。

実際にテレワークの運用を開始するためには、VDI環境の整備に加えて、テレワーク時の通信機器や通信経路の運用整理(従業員にモバイルWi-Fi等の支給を行うのか、VPNを使用するのか)なども含めて検討すると良いでしょう。

仮想デスクトップ(VDI)のデメリット

次に、仮想デスクトップ(VDI)導入時に事前に把握しておきたいデメリットを解説します。

デメリット1.業務がネットワークに依存する

仮想デスクトップ(VDI)には、ネットワーク経由で接続をしています。そのため、回線が混み合っている場合、十分なパフォーマンスを発揮できない場合があります。ネットワーク障害が発生すると、そもそも仮想デスクトップにアクセスができなくなるため、全く仕事にならない時間帯も発生します。ネットワークの冗長化など、対策を講じておく必要があるでしょう。

また、VDI環境がネットワーク障害によって利用できない状況になっても、メールやチャットなどは別のデバイスや環境から利用できる状態にするなど、連絡手段を複数確立しておくことも大切です。

デメリット2.サーバーへの負荷が高いため保守管理がより重要になる

仮想デスクトップ(VDI)は、サーバーに構築した仮想環境に多くのユーザーがアクセスし、複数のクライアントOSが同時にサーバーのリソースを利用します。そのため、サーバーへの負荷が高くなります。
サーバーの負荷が運用に耐えられなくなってしまうと、動作が遅延したり接続ができない状況が続いたりして、通常の業務が滞ってしまいます。

VDI環境の構築時には十分なサーバーのスペックを検討することはもちろん、仮想環境やサーバーの監視も必要です。VDI環境が良いパフォーマンスを発揮できるよう、保守していくことが大切です。

仮想デスクトップ(VDI)導入時に検討すべきこと

続いて、仮想デスクトップ(VDI)を導入する時に検討すべきことを解説します。

運用負荷に耐えられるVDI環境の設定

仮想デスクトップ(VDI)環境を導入する時には、運用に耐えられる適切なリソースを確保する必要があります。VDI環境を運用するユーザー数や負荷を試算し、ホストサーバーのスペックや仮想環境の構成を適切に設定する必要があるからです。

適切な環境構築ができなければ、運用開始後に仮想デスクトップにアクセスしてもパフォーマンスが発揮できず、業務に影響がでてしまいます。VDI環境の構築に精通した担当者と、自社の利用想定などを共有しながら、環境の選定を進めましょう。

事業拡大等により、自社の状況(利用ユーザー数の増加や取り扱うアプリケーションの変更)が変わった場合、オンプレミスでのVDI環境では、当初のサイジングから簡単にはスケールアップやスケールアウトはできないこともあります。

拡張性を持ち合わせながら仮想デスクトップ(VDI)環境の導入を検討されている場合は、環境を後から増強できるDaaS方式もあわせて検討すると良いでしょう。

VDI環境のパフォーマンス監視体制

VDI環境を構築して運用を開始した後も、パフォーマンスの監視をしながら利用状況を把握する必要があります。
ホストサーバー上で仮想環境のクライアントOSが複数稼働しているため、サーバー全体だけではなくOS個別にパフォーマンスを監視する体制を整えるのが良いでしょう。

パフォーマンス監視が大切な理由を、「VDI環境にアクセスしにくい」という社内からの問い合わせを例に見てみます。

アクセスしにくい時間があった際、その事象が仮想デスクトップにアクセスが集中する始業時間帯であれば、一時的な負荷の高まりが原因かもしれません。様子を見て一過性なものと分かれば、恒久的な対応は不要と判断できる場合もあります。
一方、サーバーの慢性的なリソース不足で常にアクセスしにくい状況であれば、環境の構成変更を検討した方が良いでしょう。

このように、VDI環境のパフォーマンスを監視しながら、適切に運用していくことが重要です。
VDI環境の導入だけを検討せず、パフォーマンスの監視体制もあわせて検討することで、導入後の安定運用につながります。

とはいえ、VDI環境の監視環境(監視エージェントのインストールやアラート設定)を自社で構築するところまで手が回らないシステム管理者もいるでしょう。

DaaS方式の「Azure Virtual Desktop(AVD)」の場合は、AVDの監視に利用できる「Azure Monitor for Azure Virtual Desktop」が使用できます。
Azureのクラウドサービスを活用すれば、DaaSとあわせて監視環境も丸ごと用意できるので、検討してみてはいかがでしょうか。

社内からの問い合わせに迅速に対応できる体制

仮想デスクトップ(VDI)環境を自社に導入して運用を開始すると、システム部門には「VDIに接続できない」という問い合わせが社内から届くこともあるでしょう。

一般の従業員は、仮想デスクトップに接続できなければ仕事になりません。そのため、システム部門には早急な対応が求められます。

システム部門の担当者は、自社でVDI環境の運用を開始する前に、想定される問い合わせの対応策を確立しておくと良いでしょう。仮想環境の再起動手順やネットワークに関する切り分けチェックポイントの作成など、問い合わせに早急に対応できる体制を整えておくことが大切です。

Azure Virtual Desktopの提供で仮想デスクトップがより手軽に

DaaS方式のAVDが登場したことにより、企業の担当者の選択肢は広がりました。

仮想デスクトップは、従来、シトリックス システムズ社の「Citrix XenDesktop(シトリックス ゼンデスクトップ)」やVMware社の「VMware Horizon(ヴイエムウェア ホライゾン)」などが有名な製品です。

これらは現在、オンプレミス環境のみならずMicrosoft Azureなどのクラウド環境でも動作するようになっています。それぞれAzure上で動作する製品は「Citrix Cloud on Microsoft Azure」、「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」と呼ばれています。

そして、米国時間2019年9月30日、マイクロソフト社は、WindowsデスクトップとアプリケーションをMicrosoft Azure上で数分以内にデプロイ、スケーリングできる「Azure Virtual Desktop(AVD)」の一般提供を、日本を含む全世界で開始したと発表しました。

このように、マイクロソフト社が市場に本格的に参入したことにより、仮想デスクトップを導入検討したいと考えているユーザー企業にとっては、製品の選択肢が増えたことになります。

企業ごとに求められる性能やセキュリティの要件が幅広く複雑になっている昨今、ボトルネックになっていた課題がAVDの登場によって解消されるかもしれません。

まとめ

今回は、仮想デスクトップ(VDI)のメリット・デメリットを通じて業務がどう変わるのかを解説しました。一般の従業員の多様な働き方を実現したり、システム担当者の端末管理を効率化したり、VDI導入のメリットは多いです。一方で、ネットワークに依存し、環境のサイジングも慎重に検討する必要があるVDIの導入は、システム担当者が頭を悩ます部分も多いでしょう。
Azure Virtual Desktopの活用も視野に入れることで、サイジングや監視体制など、柔軟性をもった検討ができます。
ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

  • fb-button
  • line-button
  • linkedin-button

関連記事

VDI(仮想デスクトップ)とシンクライアントとの違いは?各方式の特徴
仮想デスクトップ
大規模なVDIを成功に導くポイントとは?導入失敗から学ぶ法則を紹介
仮想デスクトップ
製造部門がCAD環境をVDI化するメリット
仮想デスクトップ
Azure NetApp Filesを使ってみよう!(準備編)
クラウド移行(インフラ・DB)
最新プラットフォームへのスムーズな移行を実現する「ネットアップ データ移行サービス」とは?
ハイブリッドクラウド
仮想デスクトップを導入するメリットについて【ユーザー視点、管理者視点で解説!】
仮想デスクトップ
DaaSとは?VDIとの違いについても解説
仮想デスクトップ
主要クラウド型VDI(仮想デスクトップ)を徹底比較!
仮想デスクトップ
Horizon Cloud on Azureとは?AVDとの違いも解説
仮想デスクトップ
VMware Horizonとは?その基本を解説
仮想デスクトップ
導入前におさえておくDaaSのメリット・デメリット
仮想デスクトップ
ANFだから実現できる「フルマネージド ストレージサービス」とは
クラウド移行(インフラ・DB)
AVDの導入から運用まで成功に導くLakeside SysTrackとは?
仮想デスクトップ
デスクトップ仮想化とアプリケーション仮想化の違い
仮想デスクトップ
インターネット分離とは?AVDの登場で身近なセキュリティ対策へ
仮想デスクトップ
CADをクラウド化するメリットとは
仮想デスクトップ
AzureのVDI、期待が集まるAzure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)‎(AVD)
仮想デスクトップ
よくあるVDIのトラブルと対処法!ユーザー体験の可視化が重要
仮想デスクトップ
テレワーク推進企業が知っておきたい助成金について
仮想デスクトップ
RELATED SITES

関連サイト

CONTACT

サイト掲載の
お問い合わせ

TOP