仮想デスクトップ(VDI)とシンクライアントの違いとは?

仮想デスクトップ(VDI)とシンクライアントの違いとは?

通常、デスクトップPC内で管理されているデスクトップ環境(OS、アプリケーション、データなど)をサーバー側に集約するデスクトップ仮想化が注目されています。最近になりそのニーズを加速させているのが、働き方改革への取り組み活発化です。政府は2019年4月より、かねてから協議が重ねられてきた、国としての働き方改革を推進するための具体的な法案を試行し、多くの企業がその対応を推進しています。また、企業独自に取り組まれている働き方改革は、従業員に多様なワークスタイルを提案することで誰もが働いやすい環境を整え、労働生産性向上や離職率の低下などを目指しています。

そうした中でよく耳にするのが「仮想デスクトップ(以下VDI)」や「シンクライアント」といったソリューションです。どちらも同じような意味で使われることの多い言葉ですが、それぞれの違いとは何でしょうか?本記事では、この2つの言葉の違いをわかりやすく解説しています。

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VDIとシンクライアント

まず、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)について説明します。VDIには広義の意味と狭義の意味があり、2つの違いを簡潔に言い表すと次のようになります。

広義のVDI

通常ユーザーが使っているデスクトップPCにインストールされているOSやアプリケーション、保管されている諸々のデータをデスクトップPC内ではなく、サーバー側に集約管理すること。

狭義のVDI

デスクトップの仮想化にはいくつかの実装方式があり、狭義のVDIとはそのうちの1つの方式を指す。

一般的にVDIといえば広義の意味で考えらえることが多いと言えるでしょう。では、シンクライアントとは何でしょうか?

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結論から言うと「広義のVDIを正しく言い直した言葉」がシンクライアントです。シンクライアントの「Thin」は「薄い」という意味で、デスクトップPC内で管理されているデスクトップ環境をすべてそぎ落とした状態を指します。シンクライアントとはつまり、デスクトップ仮想化環境のために必要最低限の機能だけを備えたデスクトップPCのことであり、またデスクトップ仮想化技術全体を指す言葉でもあるのです。ただし、シンクライアント端末だけのことを指す場合もあるため注意が必要です。

シンクライアントを実装するためのいくつかの方式の中にVDIがある、というのが正しい理解です。しかし、シンクライアント実装の方式としてVDIが主流であることから、デスクトップ仮想化環境そのものをVDIと呼ぶことが多くなっています。

シンクライアントの実装方式

それでは、VDIを含めいくつかあるシンクライアントの実装方式を確認していきましょう。まず大分類として「ネットワークブート型」と「画面転送型」という2つのカテゴリがあり、後者の中に「SBC方式」「ブレードPC方式」「VDI方式」というさらに3つの分類が存在します。

ネットワークブート型

サーバー上で管理されているイメージファイルを使い、ネットワークを介してOSやアプリケーションをユーザーデスクトップPCで起動(ブート)する方式を指します。ネットワークを通じてデスクトップPCを起動することから、デスクトップPC内でデスクトップ環境を管理しているのと比べて起動にじかんがかかります。ただし、いったん起動すれば通常のデスクトップPCと同じような感覚で使うことができます。

ネットワークブート型は、複数ユーザーで同一のデスクトップ環境を使う場合は1つのイメージファイルを用意すれば良いので、IT管理者にとって業務負担がかなり軽くなるのが大きなメリットです。一方、ユーザーごとに異なるデスクトップ環境を使う場合は、個別にイメージファイルを用意するため管理が煩雑になることが多いです。

さらに、ネットワークを通じてデスクトップPCを起動するために、十分なネットワークやサーバーリソースを確保しなければいけません。この他、デスクトップPC側で作成したファイルはネットワークを通じてサーバーに集約されるため、ネットワークセキュリティの強化によって情報漏えい対策を講じる必要もあります。

画面転送型

ネットワークブート型に対し、画面転送型ではデスクトップPCが担う役割はほとんどありません。OSやアプリケーションの処理はすべてサーバー上で行われ、その結果多面をデスクトップPCに転送するという仕組みです。つまり、ユーザーが使うデスクトップPCは単なる画面出力機器となり、実質的な操作はすべてサーバー上で行われています。

SBC(Server Based Computing)方式

1台のサーバーに複数のユーザーが接続して同じデスクトップ環境を使用するのがSBC方式です。主にWindows Serverに標準搭載されているRDS(Remote Desktop Service)という機能を利用します。各ユーザーが使うデスクトップ環境は基本的に共通であり、ユーザーが独自のアプリケーションをインストールすることはできません。VDI方式に比べると利便性では劣るものの、効率よくリソースを使えるのでコストは低減します。

ブレードPC方式

ブレードPCとは、CPUやメモリ、ハードディスクといったパソコンの構成要素を、ブレードと呼ばれる基板に集約したデスクトップPCのことです。これをすべてのユーザー分用意し、サーバールームに設置します。各ユーザーが使っているデスクトップPCと1対1の関係で接続され、構造的にはユーザー専用の物理パソコンを遠隔で操作するようなものです。

ユーザー分のブレードPCを用意するのでコストは比較的高いですし、管理負担も大きくなります。ただし、ユーザーの1人1人が自分専用の物理マシンを用意されることから、グラフィック処理など高性能なスペックが要求される環境にいてもシンクライアントを実現できます。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式

サーバーに仮想化専用のソフトウェア(Microsoft Hyper-V、VMwareなど)をインストールして、その上にデスクトップPCが利用する仮想デスクトップ環境を実行するのがVDI方式です。1人のユーザーに対して1台の仮想マシン(サーバー上で仮想化された、デスクトップの基礎となる環境)を割り与えるため、1台のデスクトップPCを占有するのと同じ感覚で使用できます。最近ではもっとも一般的な方式です。

WVDの登場により大注目の「DaaS」について

いかがでしょうか?VDIとシンクライアントには意外な違いがあったと感じた方も多いかもしれません。最後に、シンクライアントを手軽に実装するためのサービスとして注目されているDaaS(Desktop as a Service)を紹介します。

DaaSというのは、本来はいずれかの方式によって実装するシンクライアントをクラウドサービスとして提供するものです。通常のVDI環境の構築にはサーバーの手配やVDIソフトウェアの設定や運用などさまざまな手間とコストがかかります。一方DaaSは、サービスを契約するだけで仮想デスクトップ環境が整えられ、即座に利用できるというメリットがあります。また、システムメンテナンスや運用はすべてサービス提供事業者が行うので、ユーザー企業としてはシンクライアント導入にかかる手間やコストを削減し、さらに運用負担まで低減できます。このようなメリットから仮想デスクトップを導入したい企業は、DaaSも視野に入れておくのが現代ビジネスのマストと言えます。

マイクロソフト社が提供するDaaSであるWVDが本格展開を始めたことによって多くの企業がDaaSに注目していると言えるでしょう。

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