製造部門がCAD環境をVDI化するメリット

製造部門がCAD環境をVDI化するメリット

「CADをVDI化?パフォーマンスが著しく下がるじゃないか!」と思われた方も多いでしょう。確かに昔はCPUの消費が大きいグラフィカルなアプリケーション処理にはVDIは不向きである時代がありました。しかし、現在はそんなことはありません。GPUの発展によってCAD環境のVDI化は今や当たり前になっています。

高知工科大学では4つのワークステーション室に設置されている、600台以上ものマシンをVDIで仮想化しました。その結果、管理担当者の負担が大幅に減り、業務効率化にも成功しています。本田技術研究所は2017年からCAD環境のVDI化に取り組んでいます。これまで不可能と考えられてきた分野でのVDI化は、私たちにどのようなメリットをもたらすのでしょうか?

本記事では、製造部門がCAD環境をVDI化するメリットを紹介します。

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「VDI」と「vGPU」の関係

CAD環境をVDI化するメリットを紹介する前に、VDIとvGPUについてそれぞれ解説します。

VDIとは「Virtual Desktop Infrastructure」の略称で、「仮想デスクトップ基盤」を意味する言葉です。今日では広い意味でのデスクトップ仮想化を指すことが多いですが、実際はデスクトップ仮想化を実現するための方式の一種です。VDIはサーバーに仮想化専用ソフトウェア(VM)をインストールして、サーバーリソースを分割し、複数の仮想マシンを作ります。その仮想マシン上にOSやアプリケーションをインストールして、1つのデスクトップとして機能できるように環境を整えます。これをネットワークに置かれた端末を接続することで、ユーザーは通常通りデスクトップ業務がこなせるようになるというわけです。

一方、vGPUとは何でしょうか?3Dグラフィックを用いてコンピュータ上で製品設計・住宅設計・部品設計・組立シミュレーションなどが行えるCAD(Computer Aided Design)を使うためには、非常に高い演算処理能力が求められます。そこで仮想化可能なGPUとしてvGPUが存在します。

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そもそもGPUとは「Graphics Processing Unit」と呼ばれ、3Dグラフィックなどの画像描写を行う際に必要な演算処理を行うための半導体チップを指します。一般的な半導体チップであるCPUよりも圧倒的に高い演算処理能力を持ち、かつ3Dグラフィックの扱いに長けています。そして2013年に誕生したのがvGPUです。

vGPUは、複数の仮想マシンでGPUのリソースを分割して活用できるため、リソースの余剰を作らずにGPUをフル活用して資源消費率を高め、投資対効果を向上できるメリットがあります。それまでもGPUの仮想化は不可能ではなかったものの、vGPUの登場によってCAD環境のVDI化が一気に加速していきます。

「CAD on VDI」のメリット

VDI化されたCAD環境のことを「CAD on VDI」を呼びます。それでは、「CAD on VDI」によって得られる数々のメリットを紹介していきましょう。

1. 設計者やデザイナーの仕事環境を大きく改善する

従来のCAD環境で問題とされてきたのが、作業スペースを圧迫するワークステーションです。大きな筐体が発する騒音や排熱は、設計者やデザイナーの仕事環境を悪化させる大きな原因になっていました。これが「CAD on VDI」によって仮想化されるとワークステーションに必要なマシンはすべてサーバー上で管理されるようになるので、仕事環境は今までよりもずっと良くなります。騒音や排熱もなく、快適かつストレスフリーな職場を実現できます。

2. 設計者やデザイナーのワークスタイルを変革

設計者やデザイナーはワークステーションに縛れることが多く、働き方改革推進の対象外になってしまうケースが少なくありません。しかし、設計者やデザイナーでも自由な働き方を実現して、時間を有効的に使いたいと考えています。「CAD on VDI」があることで両者のワークスタイルは一変します。時には自宅やカフェでの仕事も可能ですし、クリエイターにとって何より欠かせない「集中とリラックス」を手にできます。

3. 「CAD画面を見ながら会議」が可能に

CADを操作できるのはワークステーションに限定されていたので、CADを見ながら会議室で打ち合わせなどほぼ不可能でした。企業によっては会議のためのワークステーションを台車で運ぶなどということが日常茶飯事です。「CAD on VDI」では端末がネットワークに接続されていれば、社内のどこにいてもCAD画面を表示して作業できます。会議中にいろいろと出てくるアイディアを即座に図面を片影することだって可能です。また、経営層や別部門の人員にCADを確認してもらいながらプレゼンテーションも可能になります。

4. 「CAD画面を見ながら社外ミーティング」も可能に

社内会議でのCAD操作だけでなく、社外ミーティングでの使用も可能になるのが「CAD on VDI」です。従来は図面を印刷してクライアント先に持ち込むのが当たり前でしたが、ノートパソコンやタブレットを使って取引先の会議室からでもCADが操作できるようになります。クライアントの意見をその場で反映することも可能なため、ビジネススピードは大幅にアップするでしょう。また、印刷費用の削減にもなります。

5. 運用コストの削減および設置スペースを転用

従来のCAD環境では、1人の設計者やデザイナーのために1台のワークステーションが必要でした。一方、「CAD on VDI」ではオフィスに設置する端末台数を削減できる可能性が高くなります。もしくは設計室などというファシリティもいらなくなる可能性もあるでしょう。その場合には、設置スペースを転用して有効活用できます。オフィススペースをもっと快適にすれば、生産性もアップするはずです。

6. セットアップ、パッチ適用、パージョンアップに追われない

ワークステーションの快適な利用および維持に欠かせないのが定期的なセットアップ、パッチ適用、OSやソフトウェアのバージョンアップといった作業です。これらの補助的業務は設計者やデザイナーの本業ではなく、設計作業の手を止める原因になります。「CAD on VDI」なら、こうした保守作業をデータセンター側で一括して行うことが可能になります。

7. オフィスレイアウト変更に伴う端末移動が不要に

オフィスレイアウトを変更すると、端末やワークステーションを移動するだけでなくLANや各種ケーブルの配線作業など、いろいろと手間がかかります。「CAD on VDI」ならば端末をさっと移動するだけで問題ないため、レイアウト変更がずっと簡単になるでしょう。

8. 図面データが外部に出ないためセキュリティ体制を強化

「CAD on VDI」では図面データを外部に持ち出す必要がありません。端末を経由して「CAD on VDI」を利用しても、図面データは端末ではなくサーバー上で管理されているからです。これによりセキュリティ体制が大幅に強化され、情報漏えい対策にもなります。

9. リモートアクセスの実現で災害対策も強化

「CAD on VDI」によってCAD環境がデータセンターで管理されるようになると、設計者やデザイナーの仕事環境はオフィスに縛られなくなります。そのため自然災害、事故などによって出社できない場合も、インターネットにさえ接続していれば業務を継続できます。また、オフィスが被災して図面データがすべて消失するなどのリスクも回避できます。

10. 海外チームとの情報共有が容易になる

「CAD on VDI」の場合、ソフトウェアやデータはサーバーに存在するために遠隔地の関係者との情報共有が容易になります。

いかがでしょうか?「CAD on VDI」にはこれほど素晴らしいメリットが多数あります。だからこそ多くの製造部門で導入が検討されているのです。この機会に、CAD環境の仮想化によるあらゆる利便性の向上に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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