Azure VMware Solutionが提供するプライベートクラウドとは?

Azure VMware Solutionが提供するプライベートクラウドとは?

プライベートクラウドは、企業や組織が専用のクラウドを構築する形態で、自由度が高く、独自のポリシーによる強固なセキュリティを実現できるメリットがあります。あらゆる企業や個人に向けてオープンにサービスを展開するパブリッククラウドとは異なり、企業内の部門のような閉じた環境に適しています。

Azure VMware Solutionは、既存のオンプレミスのVMware vSphere 環境をクラウドに拡張、移行、統合することにより、プライベートクラウドの効率化を行います。Azure VMware Solutionを活用したプライベートクラウドの特長や価値を紹介します。

Azure VMware Solutionのメリット

プライベートクラウドには、オンプレミス型とホステッド型があります。

オンプレミス型のプライベートクラウドは大企業や自治体向けであり、サーバーなどの設備投資が必要です。導入と運用のためのコストがかかります。

一方で、ホステッド型のプライベートクラウドは中小企業から大企業まで対象が幅広く、物理的なハードウェアを自社内に設置することが不要になります。運用コストを大幅に削減し、柔軟に拡張と縮小をすることが可能です。

VMwareはオンプレミス型とホステッド型のどちらのプライベートクラウドも構築することができます。自社内のクラウド環境をVMwareによって構築しているのであれば、Azure VMware Solutionスムーズに連携可能です。

データセンターのハイブリッド化、災害対策などの目的に効果的

Azure VMware Solutionの用途としては、まずオンプレミスのデータセンターをAzure上のプライベートクラウドと連携して、ハイブリッド化させることがあります。データなどの一部をAzureに移行し、社内のデータセンターを縮小、もしくは廃止してコストダウンすることが可能です。

事業継続計画(BCP)と災害復旧(DR)の対策にも適しています。Azure上の仮想マシンを対策用に用いる場合は、災害時以外は停止状態にすることで運用コストを削減します。仮想デスクトップVDIDaaS)を構築して、企業のIT環境をモダナイゼーションする目的にも使えます。

IaaSに移行できないVMware VMワークロードの移行

オンプレミスのVMware VMワークロードをクラウドに移行できない場合もあります。たとえばWindows 7、Windows Server 2008 R2などの、延長保守が終了したレガシーなOSを利用している場合です。移行時に業務を中断するダウンタイムを発生させることができない、IPアドレスを維持しながら移行しなければならない場合もあります。

このようなIaaSに移行が難しいシナリオにも、Azure VMware Solutionは役立ちます。

緊急時の対策という印象があるかもしれませんが、Azureの特典が得られるメリットがあります。特典にはAzure ハイブリッド特典のほか、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)のほか、Azureのネイティブなサービスにストレージやデータベースを統合できるメリットがあります。

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Azure VMware Solutionの構成と料金体系

Azure VMware Solutionは、オンプレミスのデータセンターのVMware Technology Stack とAzure上のVMware vSphere 環境をExpressRouteやVPNなどのサービスによって接続します。AzureのプライベートクラウドにはVMware vCenter Server®、VMware vSAN™、VMware vSphere®、VMware NSX-T Data Center™などが含まれます。

Azure VMware Solutionのハードウェア構成は以下になります。

  • モデル:AV36 (36cores)
  • CPU:Intel Xeon Gold 6140 2.3 GHz
  • メモリー:576 GB
  • ストレージ:vSAN Caching - 2 × 1.6 TB NVMe、vSAN Capacity - 8 × 1.92 TB SSD
  • ネットワーク:2 × Mellanox ConnectX- 2 Lx Dual Port 25 GbE

続いて、ソフトウェアの仕様です。基本コンポーネントに含まれるソフトウェアになります。

  • ESXi 6.7U3 Enterprise Plus
  • vCenter 6.7U3 Standard
  • vSAN 6.7 Enterprise
  • NSX-T 2.5 Advanced
  • HCX R139 Advanced(HCX Enterpriseエディションも選択可能)

料金は、1時間単位のPAYG(Pay as You Go)モデルと、1年間または3年間の予約インスタンスが利用できます。Azure VMware Solutionでプライベートクラウドを展開するためには、最小3ノード構成が必要です。最小構成を維持すれば、1ノード単位で追加や削除などの増減ができます。

責任分解モデルとは

一般的にプライベートクラウドは自由度が高くセキュリティを強化できる反面、運用コストが高くなる傾向があります。一方で、パブリッククラウドは自由度が制限される反面、短期間の導入と運用負荷の軽減が可能です。

Azure VMware Solutionでは、Azureのクラウドを利用することで、プライベートクラウドでありながら運用コストを削減するメリットを提供します。

導入企業の負荷を軽減するためにMicrosoftが管理する部分を設けている一方、利用者の自由度を確保するために「責任分担モデル」として、導入企業とMicrosoftそれぞれが構成・運用・展開する領域を定めていることが特長です。

Microsoftが構成・運用・展開のすべてを行うのは、物理的なインフラに関わるセキュリティ、ハードウェアの問題、そしてポータルの機能です。以下はMicrosoftがサービス事業者として責任を負います。

  • 物理的なインフラストラクチャーと物理的なセキュリティ
  • AzureおよびAzure VMware Solutionポータル
  • ハードウェアの障害対応
  • VMware ESXi™ ホストとホストのパッチ適用

一方で、サブスクリプションやアプリケーションなどのIDや、仮想マシンの環境は利用者が構成を決めることができ、Microsoftは構成の変更を行いません。しかし、次の項目の運用・展開はMicrosoftが行います。

  • ID 管理
  • NSX-T、vCenter、vSAN

構成・運用・展開のすべて、利用者にまかせているのは以下の部分です。

  • 仮想マシン
  • ゲストOS
  • アプリケーション

つまり運用面で煩雑な負荷が大きな部分はMicrosoftが責任を担当し、業務内容に合わせた環境の構成については、導入企業側で自由に設計できるということです。

Azure VMware Solutionの5つの価値

最後にAzure VMware Solutionの導入メリットとして、5つの価値をまとめます。

1. グローバルなリージョン:東日本リージョンの利用も可能

Azure VMware Solutionは2020年12月1日に、日本の東日本リージョンの提供を開始しました。当初は米国東部と西ヨーロッパのリージョンだけでしたが、米国西部、ヨーロッパ西部、オーストラリア東部に拡大し、日本のリージョンも利用できるようになりました。

今後は米国北部と南部、カナダ、ヨーロッパ北部とイギリス南部、東南アジアのリージョンの提供を予定しています。利用できるリージョンが増えると、海外拠点の多い企業でプライベートクラウド活用が可能になり、災害対策にも使えるようになります。

2. 互換性:既存 VMware vSphere 環境を活用、資産を継承

オンプレミスでVMwareを利用している場合は、VMware ネイティブのvSphere Client、 VMware Power CLIなど、使い慣れた技術やツールを利用できます。ネットワーク仮想化のNSX-Tは、vSphere ネットワークと完全な互換性があり、Azure上でvSphereクライアントやNSX-Tマネージャーなどを使えます。

VMware HCXは、オンプレミスのネットワークをクラウド側に L2延伸する機能を備えているため、IP アドレスや MAC アドレスの変更を加えずに移行可能です。また、VMware vSphere® vMotion®を利用して、起動中の仮想マシンをシャットダウンすることなく物理サーバーに移行し、バックアップやリカバリ時などのダウンタイムを抑えられます。

Azureに接続するときには、登録した情報にしたがってvSphere、HCX、NSX-T マネージャーが自動的に展開されるため、煩雑な認証処理が不要です。

3. クラウド統合:オンプレミスとAzureを統合管理

Azure ネイティブサービスと統合して、プライベートクラウド環境を強化します。スライダーによるリソースの拡張や縮小などシンプルな操作を備えています。NSX-T ネットワーク管理、Azure Arc によるハイブリッド管理も可能になります。

4. コスト削減:従量課金制による特典や予約など

従量課金モデルによるコスト削減のほか、Windows Server 2008 R2、SQL Server 2008 R2の拡張セキュリティ更新プログラムを無償で利用できるメリットがあります。

Azureハイブリッド特典を利用すると、ボリュームライセンス向けのソフトウェアアシュアランスで利用しているオンプレミスのWindows Server とSQL ServerのライセンスをAzureの料金体系に組み込めます。大幅なコスト削減を実現します。

5. 一貫性:契約やサポートの窓口を一本化

オンプレミスとAzure上でVMwareを利用することになりますが、サポートや契約の窓口はMicrosoftに一本化され、課題を切り分ける必要がなくなります。

Azure やVMware Software-Defined Data Center(SDDC)特有の課題も含めて、インシデントに対応します。VMware関連のサポートが必要なときは、MicrosoftとVMwareが連携し、2社のエンジニアによって課題の解決を行います。

まとめ

Azure VMware Solutionにより、オンプレミスのプライベートクラウドをAzureに拡張することが可能です。VMware HCXを搭載しているので、無停止状態のままの移行やIPアドレスなどの変更を加えずに移行できます。プライベートクラウドを活用するために、チェックしておきたいAzureのサービスです。

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